Trekking【日本百名山】 | |
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折立〜新穂高温泉 | 2014/07/21-24 |
長野県大町市/富山県富山市/岐阜県高山市 [2924m (鷲羽岳)] | 所要時間:26時間31分 |
消費カロリー:計測せず | |
今年も槍は越えられず | GPSログ記録はこちら(別窓) |
0日目 7/20(日) 【 穂高駅 → 立山駅 】 1日目 7/21(月) 【 立山駅 → 薬師峠 】 2日目 7/22(火) 【 薬師峠 → 雲ノ平 】 3日目 7/23(水) 【 雲ノ平 → 双六小屋 】 4日目 7/24(木) 【 双六小屋 → 新穂高温泉 】 ★ 2日目 7/22(火) 【 薬師峠 → 雲ノ平 】 縦走2日目。今日は薬師沢経由で雲ノ平に向かいます。 初めて足を踏み入れるエリアなので楽しみな一日です。 ![]() ただ、天気はちょっと気がかりで… ![]() 上空は晴れているものの、稜線はどんよりとした雲で覆われています。 雨は降らないにしても、視界は悪そうですね。 歩いているうちに雲が流れてくれればいいんだけど…と思いながら、5:50、テント場を出発。 ■いつもなら晴れないんだけど 太郎平小屋を過ぎる頃には、あたりは真っ白になってしまいました。 ![]() 晴れた時の展望だけが山の醍醐味だと言う気はなく、曇りは曇りで、雨は雨でそれぞれの風情があるものですが、そうは言っても初めて歩くルートは晴れて欲しいんですよね。 何も見えないと「そこに行った」という実感が沸かないもので。 う〜ん、これじゃまた来年も来ないといけないかな、なんて思いながら歩いていきました。 すると、私の山行にしては珍しいことに… ![]() 晴れてきた━━━━(゚∀゚)━━━━! へえぇ、いつもは悪化する一方なのに、たまにはこういうこともあるもんですね。 今回の山旅はついてるかも!?なんて、この時は思ったものでした。 ![]() とにかく、これで憂いはなくなって一安心。ガンガン行きましょう! 今日のルートは、太郎平小屋から薬師沢小屋までが下り、そこから雲ノ平までが登りでして、最初は薬師沢まで約240mほど下ることになります。 斜度はかなり急ですが、整備されているため降りるのは簡単でした。 太郎平小屋から50分ほど歩くと、沢音が大きくなってきて… ![]() まずは薬師沢の第一徒渉点に到着です。(7:02) ■北アルプスの新たな一面 ここからは沢沿いをゆるゆると歩いて薬師沢小屋へ。 そして今になって振り返れば、この山旅でこの区間こそが最も楽しかった場所だったかもしれません。 ![]() 高低差の少ない道をのんびり歩いていきます。 平日なので他の登山者の姿はほとんどなく、風もなく、聞こえてくるのは沢の音と鳥のさえずりだけ。 北アルプスにこんな穏やかなところがあったのか…なんて驚くほど、そこには信じがたいまでの安らぎの空間が広がっていました。 ![]() 北アルプスの最大の魅力は、雄大な山並みを眺めながらの稜線歩きである… そう言いきってしまったとしても、同意してくれる方は多いと思います。 青い空の下に浮かぶ、日本を代表する名峰たち… テレビや雑誌、ネットでそんな光景を見れば、いつかは自分の目でその景色を見たいと思うのは自然なこと。 私もそんな世界に憧れて、ここ北アルプスの稜線を繰り返し歩いてきました。 ただ、稜線は本来、人間が生きていくのには不向きな場所です。 水を得ることができませんし、天候が悪ければ生命すら脅かされます。 山小屋がなければ、とても長期滞在することはできないでしょう。 それにひきかえ、この沢の何と穏やかなことか… 両側を尾根に囲まれ、それでいて圧迫感のないこの場所でベンチに腰掛けていると、ここでならずっと生きていけるかもしれない…とさえ感じます。 北アルプスも山ですから、尾根もあれば谷もあるのは当たり前。でも、これまでずっと稜線しか追いかけてこなかった身にとっては、北アでこんな場所に出会うのは新鮮な驚きだったのです。 ![]() そしてそんな沢に彩りを添えてくれるのが、今が盛りと咲き誇る草花たち。 山の斜面から幾筋もの流れが注ぎ込むこの沢は、草花にとってはまさに天国なのでしょう。 水滴をまとい、朝日に輝く花を見ていると「水は生命の源」という言葉はまさに真理だと思わずにはいられません。 稜線の厳しい環境でけなげに咲く花は美しいものです。 しかしこの沢で、夏の日差しの下、大地を埋め尽くすほどに伸びゆく緑を見ていると、そういったけなげさとは対極の… 圧倒的なまでの生命力を感じました。 草花は動きも語りもしません。 でもここには溢れんばかりの命があり、そして生きようとする意志が驚くほど強く伝わってきます。 そんな彼らを見ていると実感するのでした。ああ、生きるってこういうことなのか…! と。 ![]() ピークは踏まない。大展望もない。 でもこの薬師沢小屋への道は、これまでにないくらいお気に入りの道になりました。 今日は時間の制約があるので、ゆっくり雰囲気を楽しんでいる余裕はありません。 でも次にまた来られたら、今度はただここでのんびりするだけの旅をしてみたい。 もしかしたら、自分が山に求めているものの真の姿を、この地が体現してくれているのかもしれません。 ![]() 8:21、薬師沢小屋に到着。 ここまでは思っていたよりずっと楽しく、幸せな山歩きになりました。 ■なんだこの道… しかし、そんな情緒のある山歩きはここまで。今日はここからが正念場です。 まずは小屋前の橋を渡って対岸へ。 ![]() 自分は高所恐怖症なので、数年前まではこんな橋はとても渡れませんでした。 もし渡っている間に橋が落ちたら… なんて考えてしまって。 でもこうして何度も山に行っていると、単に足を滑らせたり一歩つまずいただけで落ちてしまうところを何度も通るわけでして… それに比べれば、こうして人が整備してくれている構造物は遙かに安全ですよね。 そんなわけで、いつの間にかこの程度は平気になっていました。 ![]() 橋を渡ってほどなく、右手に雲ノ平へ直登する道が現れます。 ちなみに、正面は高天原へ至る大東新道。そういえば昨日テント場でお会いした9泊10日の猛者は、昨日雲ノ平から薬師峠に来る時に、高天原を経由して来たんでしたね。 コースタイムは直登コースに比べて2時間10分増し。超人か! いつかは自分もそのくらい歩けるようになりたいですね。きっと、見えるものも違ってくるはず。 ----- さて、ではいよいよ登りに取りかかりましょう。 この薬師沢→雲ノ平の直登コースは、厳しいので有名なところです。 直登を登り切ったところにある雲ノ平の木道まで、標高差はおよそ400m。 ネットにもきつかったという感想が溢れていて、件の9泊10日の猛者も「あそこは大変だからね」と言っていました。 薬師沢小屋の方の話では、昨日ここを通過した方が転倒して骨折したとも… ただですね、そうは言ってもたかだか400mの登り。 なぜかコースタイムが2時間10分もかかることになっているのは気になりますが、さすがにちょっと大げさでしょう。 …と、登る前までは思っていました。 ![]() しかし登り初めてすぐに、それが誤りだったことに気づかされます。 序盤の滑りやすい土の道を越えると、そこから先はとにかく岩、岩、岩! 画像のような岩だらけの超・急坂をひたすら直登します。 段差が大きいので脚力で身体を引き上げねばならず、悲鳴を上げる脚の筋肉。 風は全く吹かないので身体はオーバーヒートし、頭ももうろうとしてきます。 なんだこの道… 急登すぎるので労力の割に高度は上がらず。 振り返ると太郎平小屋が見えて、それと同じ高さまで登り返さなければいけないわけですが、どれだけ登ってもまだ太郎平小屋が上に見えます。 あまりの辛さと疲労で、地面にしたたり落ちる汗を眺めながら放心状態に。 なぜ俺はこんなところでこんな苦行に耐えているのか… 今すぐ涼しい自宅に帰ってアイスを食べたい… そんな思いが頭の中をグルグル回ります(笑) ここは本当に厳しかった… 特にテント泊装備で登る方はご注意を(;・∀・) ![]() そんなわけで、雲ノ平まで登り切った時にはもう屍のような有様。 去年と違って雪はほとんどなく、雲ノ平の期待通りの風景が広がっているわけですが、そんな景色を楽しむ余力はゼロです。 ほとんど高低差のない木道でさえ歩くのに一苦労。ひいぃ、きっつい…! ![]() 12:31、雲ノ平山荘にたどり着いた時には思わずザックを放り投げました(^-^; もう一歩も歩く気力もなく、ベンチに座り込みます。 あ〜っ、疲れた… 今日は心底疲れた… ■日本最後の秘境で ただそうは言ってもまだ6時間しか歩いていないわけで、しばらく休んでいたら何とか動けるようにはなりました。 山荘でテントの申し込みをして、ついでに雲ノ平山荘Tシャツもゲットして、テント場に向かいます。 ![]() 小屋からテント場方面に向かって。 テント場は前方の丘の向こう側にあります。戻ってくるのは大変なので、小屋に用事があるなら先に済ませておくのをお勧め。 ![]() 丘を越えると、眼下にテント場が見えます。 広そうに見えますが、実際に張れる場所は多くないので、時期によっては過酷な争奪戦が繰り広げられるテント場です。 ![]() というのも、近づけば分かる通り、ここのほとんどは岩場なのです。 その中にテントが張れる場所がポツン、ポツン… とある感じ。 混雑日に遅れて到着すると、最悪、張れないかもしれないかもしれません。 一方、今日はただの火曜日ですから6張だけ。これぞ平日休みの醍醐味ですね(^-^) ![]() テントを張り終えたら疲労のあまり昼寝してしまい、気づけばもう日の入り近くでした。 空は曇り気味で、綺麗な夕焼けとはならず。 でも、前のテントのお二人はそんな空をいつまでも眺めていました。 日本最後の秘境と言われるこの雲ノ平。 ここを訪問するのは二回目ですが、正直に言って世間で言われているほどの秘境感は感じられません。 ただ、こうして周りに山しかない、まさに"北アルプス最深部"で夕暮れの空を眺めていると、確かにここにはここにしかない空気が流れていて、その雰囲気はこれまでに泊ったどのテント場とも違っていたのでした。 >3日目へ |
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