Trekking
高瀬ダム〜新穂高温泉2013/07/21-25
長野県大町市/富山県富山市/岐阜県高山市
[2924m(野口五郎岳)]
所要時間:32時間42分
消費カロリー:18398kcal
雨、雨、雨… 試練の五日間GPSログ記録はこちら(別窓)


1日目 7/21(日) 【 高瀬ダム → 烏帽子小屋 】
2日目 7/22(月) 【 烏帽子小屋 → 雲ノ平 】
3日目 7/23(火) 【 雲ノ平 → 双六小屋 】
4日目 7/24(水) 【 双六小屋 → 西鎌敗退 → わさび平小屋 】
5日目 7/25(木) 【 わさび平小屋 → 新穂高温泉 】


★ 3日目 7/23(火) 【 雲ノ平 → 双六小屋 】

3日目の朝、聞こえてくるのはテントを叩く雨の音。

夜が明けても風雨は続いていました。フライと地面の間から風と共に雨が吹き込むため
インナーテントも下の方はだいぶ濡れてしまっています。
今回は天気が悪くなることを考えて、夏山にしては珍しくシュラフカバーを持ってきていたのですが
これが大正解。シュラフの足下などはどうしてもテントに触れて濡れてしまうので
シュラフカバーがなかったら悲惨なことになるところでした。

雲ノ平・テント場1

この雨では歩く気にならないため、テントでゴロゴロして時間をつぶすも、天候回復の気配はなし。

さて、どうするか…

最初に考えたのは、予備日はあるので今日は停滞するというプランでした。
しかし、明日以降晴れるのであればともかく、この先ずっと天気が悪いという予報が出ているのに
停滞していて何かいいことがあるのかは疑問です。
しかも、雲ノ平から延びるルートは沢を横断するルートが多いため、雨が降り続いて水かさが増すと
通れないルートが発生し、行き先が制限されてしまいます。

動くなら早い方がいいか… ということで、とりあえず三俣山荘に向かって出発することに。
テントも数組は先に出発し、残りはどうやら停滞を決めたようです。判断の分かれるところですね。

雲ノ平

登山に本気で取り組むようになると、いつかは訪れたいと思うようになるのがこの秘境・雲ノ平。

しかし今回たどり着いた雲ノ平は「コレジャナイ」感で一杯でした(^-^;
雨もさることながら、雪に埋もれている部分が多くて。まだちょっと時期的に早いのかもしれません。

雲ノ平・テント場2

一瞬小雨になった瞬間をついて、雲ノ平テント場の全景をパチリ。

右手にある建物がトイレで、水場は左手の奥の方にあります。
一見広そうに見えますが、意外に張れる数が少ないのでご注意を。
今回は一応泊ったとはいえ、全然満喫した感がないのでテント場紹介の方には載せません。
またいつか、リベンジしに来ます。

※そしてこの一枚を最後に、デジカメ(D90)は故障してしまいました。
 レインカバーを掛けていたとはいえ、この雨の中でずっとザックにしまわずにいたのは
 無理があったようです…(´・ω・`)
 そのため、これ以降はiPhone4Sでどうにか撮った数枚の写真しか残っていません。
 文章主体になりますがご了承のほどを。



■恐怖の雪渓

雲ノ平から三俣山荘へ向かうルートは3つあります。

1. 祖父岳を巻いて黒部源流を通るルート
2. 祖父岳を越え、岩苔乗越から黒部源流に降りるルート
3. ワリモ北分岐まで進み、ワリモ岳→鷲羽岳を越える稜線ルート

展望のない今、3.の稜線ルートは疲れる&危ないだけなので、1.か2.にしたいところ。
楽なのは1.なので、最初は1.のルートを進んでいきました。

ただ危惧されるのは、この雨でホントにこのルートは通れるのか?ということ。
進んでいくうちに登山道が池になり、不安を感じたのでいったん戻って仕切り直し。
祖父岳を越えて2.のルートを進むことにしました。

ただこの2.のルートも結局は沢を通るわけで、最後まで行けるのかドキドキです。
ここで黒部源流まで降りた後、また登り返すのは体力的にキツイので…
出発が8時過ぎだったので祖父岳を越えても誰もおらず、実は通れないんじゃないかと不安に。

なので、初めて下から登ってくる人を見た時は嬉しかったですね〜!
とりあえずこれで通れることは分かりました。

ちなみに歩いてきたのは若い単独女性で、三俣から水晶に行くとのこと。
楽しそうだったのが印象的でした。この程度の雨は楽しめるようでないと本物でないということか…

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さて、通れることが分かったのは好材料なものの、このルートは一筋縄ではいきませんでした。
何がって、下の方はまだ雪渓が残っていまして、問題はその下に沢が流れているために
雪渓が不安定な状態になっていること。

雪渓

これは立山で撮った参考画像ですが、この下に水がゴウゴウと流れていると思ってください。
先に進むにはこの上に乗らないといけないのですが、地面からの高さが高い上に
端っこは果たして自分の体重を支えられるだけの強度があるのか、見るからに疑問ですよね。

それに乗ったら乗ったで、どこの雪が厚くてどこが薄い(下に水が流れている)のか
上から見てもさっぱり分かりません。
中央だから安心だとは限らないし(むしろ中央は危ない)、かと言って端は不安です。
一応ベンガラでルートは書いてあるものの、この雨で雪解けが一気に進んでいる状態では
いつ書かれたのか分からないベンガラを盲信するのも躊躇してしまいます。
周りに人はいないので、踏み抜いたら人知れず死亡確定(><)

雪渓を抜けるまで、本当にヒヤヒヤものでした。
なんとか三俣山荘に転がり込んだのはもうお昼過ぎ。4時間の道中で4人しか人に会いませんでした。
ここは本当にシーズンの北アルプスなのだろうか…(;・∀・)



■おや…?

山荘のスタッフさんと自分しかいない「天望レストラン」でオムライスをいただき、ホッと一息。
4時間ほど風雨に打たれてきた身としては、ここはまるで天国のように感じました。

しかしその天国から外を見ると、テント場にある吹き流しが真横を向いています。
今までは沢沿い歩きだったのでまだ良かったのですが、ここからは強風地帯に突入。
あの中を歩きたくはないものです。

でも、今日はできれば双六小屋まで前進したいんですよね。
ここ三俣にテントを張ってもいいけれど、ここからだと次の目的地
(槍か、最悪下山するとして新穂高温泉)がちょっと遠いので。

なので、覚悟を決めて双六へ出発。
当然、三俣蓮華岳も双六岳も通らない巻き道ルートで歩きます。
ここの巻き道ルートは、巻き道にしてはえらく疲れるルートなんですけど
この風雨で稜線は通りたくないから仕方なく…(´ヘ`;)

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しかし、そんな雨の中をブルーな気分でトボトボ歩いていくと
心なしか視界が明るくなってきた気がします。雨も小降りになってきたような…?

この道は稜線で風が遮られるため、そのせいかな?と思っていたのですが
やがてレインウェアを叩く雨の音がすっかりなくなり、フードを持ち上げてみると…

双六への巻き道

雨が上がった―――(゚∀゚)―――!!

晴れたわけではなく、また降るかも…? という天気ではありますが
ここ24時間ほどずっと雨でしたから、止んでくれただけでまるで世界が変わったように感じます。

こうなると急にやる気が出てきますね! 人が変わったかのように軽やかな足取りで歩いて…

双六小屋

15:08、双六山荘に到着しました。

双六小屋前から

小屋前から広がる展望。晴れのち曇りでならちょっとガッカリする眺めかもしれませんが
雨のち曇りの今では、こんなに気分のいい眺めがあるだろうか、と思ってしまうほど気分爽快でした。

双六への巻き道

テントの設営も雨が降っていない今は容易。
干せるものは全部干して、少しでも乾くのを期待しましょう。

双六への巻き道

日暮れ間際には雲も切れ、青空が覗くように。
これはひょっとしたら…? と、明日に淡い希望を抱いて眠りについたのでした。

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