Trekking
高瀬ダム〜新穂高温泉2013/07/21-25
長野県大町市/富山県富山市/岐阜県高山市
[2924m(野口五郎岳)]
所要時間:32時間42分
消費カロリー:18398kcal
雨、雨、雨… 試練の五日間GPSログ記録はこちら(別窓)

花と雨の西鎌

■Introduction

今の職場は、夏休みが9日間もある恵まれた環境です。
もし別の職場に移ったら、これほど連続した休みを取れるとは限らないでしょうし、
運が悪ければ定年まで長期縦走のチャンスは得られないかもしれません。

と考えれば、今のこの休みを活かさない手はないでしょう。
山歩きを始めて4年目、山で寝泊まりする経験もだいぶ積んできましたから
ここは一つ、一週間程度の縦走にチャレンジしてみようと思いました。

今回向かった先は、裏銀座の入り口、高瀬ダム。
本来はここから槍を経由して、燕岳まで行くはずだったのですが…

※2日目以降へのショートカットはこちら。

1日目 7/21(日) 【 高瀬ダム → 烏帽子小屋 】
2日目 7/22(月) 【 烏帽子小屋 → 雲ノ平 】
3日目 7/23(火) 【 雲ノ平 → 双六小屋 】
4日目 7/24(水) 【 双六小屋 → 西鎌敗退 → わさび平小屋 】
5日目 7/25(木) 【 わさび平小屋 → 新穂高温泉 】


※今回は悪天候のため予定通りのルートを歩き通すことはできず、途中で下山しています。
更に3日目の朝にカメラ(D90)が浸水で壊れたため、そこから写真もなくなります。
よって何かの参考になる登山記にはなりません。お暇な方だけご覧ください。


★ 1日目 7/21(日) 【 高瀬ダム → 烏帽子小屋 】

9日間の休みを活かす長期縦走…と考えるも、いいアイデアはなかなか思い浮かばず。
3日間とか、逆に2週間などであればいくつも選択肢があるのですが
9日間というのは微妙な長さなのでした。

今回の夏休みに行きたかったのは、今更ながらですが表銀座です。
そこで最初に考えたのは、立山→槍→燕の縦走。
しかしこれは自分の足だと予備日がなくギリギリになります。
それならと、立山→薬師平をスキップできる折立から燕の縦走を考えましたが
これは出発地と到着地が離れすぎているため、マイカーだと行き帰りのどちらかが面倒です。

そこで、高瀬ダムから烏帽子に登り、裏銀座経由で槍に向かい、表銀座で燕へ向かうことに。
このプランなら入山は信濃大町駅、下山は穂高駅なのでアクセスはいいですし
道中の日程も余裕があるので、悪天の時は停滞することもできて現実的です。

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ということで、栃木から深夜の高速を走って信濃大町駅へ。

マイカー登山なので車をどこに置くかは考えどころですが、
今回は信濃大町から登山口のある高瀬ダムまでタクシーで送ってもらう都合で
信濃大町駅前にあるアルプス第一交通さんの駐車場で預かってもらうことにしました。
(台数に制限があると思うので、要事前確認です)

信濃大町駅

予約した時間に10分ほど遅刻して(やっちまった…)信濃大町駅に到着。
すると、駅前の事務所で待っている登山者2名が目に入りました。

日曜日なので今日から入山する人はいないだろ、と思っていたのですが
そのお二人と自分を相乗りさせてあげようとして、タクシーは待ってくれていたのです。
自分一人だからちょっとくらい遅れても… と考えていたのは間違いで反省。

車を預かってもらいタクシーに荷物を積み替えて、高瀬ダムまで乗せてもらいます。
運転手さんもさすがは地元、山に詳しく、楽しい道中でした(^-^)

高瀬ダム

七倉でいったん停まって登山届を提出し、高瀬ダムで降車したのが6:31。

栃木から冷房をガンガン入れて走ってきた道のりとは一変し、
湖面を吹き渡る風は長袖シャツでも肌寒いほど。
非日常の世界に足を踏み入れたことを実感させてくれました。



■山に来たぞ!

一息ついてからのんびり出発(6:44)
まずは登山口を目指して、トンネルを抜け、つり橋を渡ります。

行くはずだった山々

不動沢・濁沢キャンプ場を過ぎると、左手には常念山脈が見えてきました。
その中には、一週間後に到着する予定の燕岳も。

朝の清廉な空気の中、しばし足を止めて山々を眺めます。
同乗していたお二人や後続車で来た方はすでに先に行ってしまって周囲に人影はなく
ほとんど何の音もしない湖畔でこうしてたたずんでいると
まるで異世界に来たかのような違和感があり、普段の日常から隔絶されたことを強く感じます。

これだよ! こういうのを求めて山に来たんだよ!

普段、北アへの入山口は上高地や新穂高温泉を使うことが多く
それらの場所は人でごった返しているため、どうしても俗っぽい印象をぬぐえません。
それに引き替えこの静かなこと! 夏の北アでこうも簡単に一人になれるとは思いませんでした。
まさに孤独な縦走の出発点としてふさわしい場所です。気分は上々(゚∀゚)

最終水場

キャンプ場から10分少々で最終水場へ。
第一水場や第二水場があるのかは謎なので、気分的にはいきなり最終です(^-^;

裏銀座の稜線には水場がないので、プラティバスをここで満タンにしていきましたが
要煮沸の注意書きがある通り、地上を流れる区間が長い水なのか
よく見ると細かい木片などがかなり混じっていました。

タクシーを降車してからここまで15分程度ですから、ここで水を汲むよりも
下界で汲んできた方がいいのでは、と思います。



■北アルプス三大急登の実力はいかほど?

さて、ここが濁沢登山口で、いよいよ登山が始まります。

今日の行程はここから「北アルプス三大急登」の一つであるブナ立尾根を登って烏帽子小屋まで。
ただでさえ毎年キツイキツイと言っているシーズン最初の縦走なのに、初日に三大急登を登るプラン…
しかも今年のザックは9日分の食料を満載した超重量とくれば、大苦戦は必至の予感。
どうなることやら…

ブナ立尾根

そして出だしからこの急登である(;・∀・)

登山口からゴールの烏帽子小屋までの標高差は約1,200m。ひたすらの登りになります。
ただ、いざ登ってみると、道はつづら折れなのでそこまでハードではない印象でした。

番号札12

それに、ありがたいのは約100mおきにこのような番号札があること。
コースタイムが5時間半と長丁場なので、こうして目安があるのは精神的に助かります。

番号札8

ただですね… それがあってもやっぱり長いのですよ…
登っても登っても全然進んでいる気がしない(><)

そして暑い! 超重量ザック+急登の負荷で汗ダラダラ。
顔から地面に向かって汗がポタポタと落ちていきます。
中盤まではこの暑さがあって相当きつかったです。

崩れゆく稜線

なので上部に来て、風が吹き抜けるようになるとだいぶ楽になりました。

…ところで、正面の船窪岳側の稜線、ずいぶん崩壊が進んでいますね。

崩壊地

と思ったら、こちらも崩壊が目立ってきました(;゚д゚)
この辺は登山道間際まで崩れていて足場がもろいので、崖っぷちに近寄らないように要注意。

新緑

登り始めてから4時間強。ゴールはまだ見えてこず、体力はだいぶ失われてきています。

ただ今日は時間の制約がない登山なのが救いです。テン場争奪戦は起きないでしょうし
どんなに遅くとも昼過ぎには着くので、雷を恐れる必要もなし。
急いで疲れてもしかたないので、のんびり行くことにしましょう。

見上げれば夏の日差しに新緑がまぶしく、風もさわやか。
トンボが飛んでいるおかげで羽虫もいないし、荷物が重いことを除けば気持ちのいい登山でした。

視界が開けた

やがて頭上に木がなくなりました。よし、あと一息だ!

烏帽子小屋

こうして、登ること約5時間でようやく烏帽子小屋に到着しました(11:51)
ふぅ、初日からハードだった…


■テントを張る場所はよく考えて

さて、着いたからには早くこの重いザックから解放されたいもの。
小屋で申し込みをして、まっすぐテント場に向かいます。

烏帽子小屋・テント場1

テント場は、小屋から裏銀座縦走路側に進んだ道沿いにあります。
公称20張りにしては広い(長い)テント場でして、小屋からすぐのこの場所から…

烏帽子小屋・テント場2

この先、一番下のひょうたん池の脇のスペースまではかなりの距離です。
ひょうたん池の周りは展望は良さそうなんですけど、虫がいるのと小屋(トイレ)が遠いのが難点。

烏帽子小屋・テント場3

そこで、誰も張りそうにない中間点付近にテントを設営。

…ただこれは失敗でした… 直射日光がテントを照りつけて暑いのなんの。
とてもテントの中には居られません。
できるだけ日光が木々に遮られるところに張った方が良かったな、と思ったのでした。

これで今日のミッションは完了。一般的にはここで烏帽子岳を往復することになるのですが
今回の山旅でもっともきつい二日目に疲労を持ち越したくないので、行動はここまで。
あとは小屋の周りでダラダラ過ごすことにします(^-^;

烏帽子小屋
クリックで少し拡大(1072*712)

ということで、写真を撮りに小屋へ。

それにしてもこの小屋の青い屋根、きれいですね〜
空は全面晴れているという訳じゃないんですが、この方向だけ見るとまさに夏の空で
今が一番楽しく登山ができる時期だというのが実感できる展望です。
毎年思うけど、夏の北アルプスは最高!
この記録を書いているのは翌年の春なんですけど、今すぐこの場をもう一度訪れたい気分になりました。

烏帽子小屋前からのパノラマ
クリックで拡大(2876*600 688KB 画面下スクロールバーで右方向へ)

小屋の前からの展望がこちら。
一番奥の大きなカールを持つのが薬師岳、その手前が赤牛岳で、そこから右に下っていくのが読売新道。
一時期はあの読売新道を登ってやろうかと思ってたりもしたんですけど、
こうして実際に見ると笑えるくらい長い… やらなくて正解でした(;・∀・)

イワギキョウ

なお、パノラマ写真だと分からないと思いますけど、小屋前にはイワギキョウが群生しています。
全般的に雰囲気のいい小屋ですね。日差しが強くなければ小屋前でのんびりしたいところでした。

烏帽子小屋裏からのパノラマ
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小屋の裏手に少し登ると、今度は東側・常念山脈が見えます。
画像中央やや右、のこぎりの歯のようにギザギザしたピークが並んで見えるのが燕岳。
今回の旅の最終目的地になります。

本当ならそのまま左方向に進んで餓鬼岳も踏んでいきたいところですが、
燕岳から下山して中房温泉に浸かるというプランは捨てがたく。
餓鬼岳は、また別の機会にとっておくことにしましょう。

三ツ岳

夕方になると日もかげり、ようやくテントの中でゆっくりできるように。
明日はあの三ツ岳を越えていきます。また朝っぱらから登りかぁ、大丈夫かな…

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