Trekking
雲取山   【日本百名山】2011/12/31-2012/01/01
東京都西多摩郡奥多摩町/埼玉県秩父市
山梨県北都留郡丹波山村 [2017m]
所要時間:11時間43分
消費カロリー:計測せず
年越し登山で耐寒訓練GPSログ記録はこちら(別窓)


1日目 12/31(土) 【 鴨沢 → 雲取山 → 雲取山荘 】
2日目 1/1(日) 【 雲取山荘 → 雲取山 → 鴨沢 】


★ 2日目 1/1(日) 【 雲取山荘 → 雲取山 → 鴨沢 】

そんなこんなで18時半には眠りについた… のですが、
小屋の喧噪が響き渡ってきて起こされることしばし。

やがて、年越しのカウントダウンが始まりました(^-^;
おいおいもう24時かよ… まあ、一年に一度のイベントですもんね。今日はしょうがない。


このテン場は樹林帯の中にあるため風は軽減されるものの、そうはいってもやはり尾根。
今日はレインフライでの幕営なので、テント内に容赦なく風が吹き込んできます。
冬用外張りが使えないという意味で、この時期が実は一番寒いのかも。

一時間おきに寝たり起きたりを繰り返して、気づけばもう4時近く。
さて! テント内はどんだけ寒いのかな… と、期待しながら温度計を見てみると、

テント内温度は−3℃

…あれれ、思ったよりずっと暖かいですね。
ちなみに外の温度計は−10℃と、こちらも拍子抜けでした。

ですので、耐寒訓練にはならず(;・∀・)
シュラフはもちろん暖かすぎで、頭までは入れられませんでした。
ただ、不安要素はマットかな…
コンフォートシステムパッドは結局エアーを入れるものなので、その空気を介して
地面の冷気が伝わってくる気がしました。
今日は支障があるほどではなかったですけど、これ以上寒くなるときついかも。
サーマレストのようなロール(折りたたみ)マットの方が賢明だと思います。

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今日はこの後、山頂で初日の出を見て、そのまま鴨沢に下山してしまうプランです。
いったん山頂まで行ってからまたここに戻ってくるのは面倒なので、テントはこの時点で撤収。
風はビュウビュウだし、外は寒いしで、少々過酷な撤収でした。

準備が終わって山荘前まで行くと、泊まり客も皆、山頂を目指すようで大賑わい。
他の人につられるように、5:42、山頂に向けて出発しました。



■新年早々の運試し

真っ暗な山道を、列をなして登ること40分少々(寝起きなのでペース上がらず)で
山頂の先にある避難小屋に到着(6:26)

日の出を待つ

日の出にはまだ20〜30分ほどの猶予がありますが、小屋周辺は日の出を待つ人々でいっぱい。
この日はBSフジ「絶景百名山」の取材クルーも来ていました。
なお、小屋のあたりは南東側(=日の出方向)が斜面で、日の出が見られるスペースは広いため
場所取りにはあまり神経質にならなくても大丈夫だと思います。

ガスは切れるか…

ですので、あとは日の出を待つだけ… なのですが、今日は少々問題がありました。
それは、西側からひっきりなしにガスが流れてくること。

この写真の時はまだマシな状態で、一時期は100m先も見えなくなるほどでした。
ガスの流れてくる先を見てみると、無限に沸いて出ているわけではなさそうなので
いずれは消えてくれるんでしょうけど、日の出まではもう時間もなく…

新年早々、これは運試しだなぁ、なんて、寝ぼけた頭でぼんやりと考えていました。
とはいえ、こりゃいくらなんでも間に合わないだろ…
TVクルーも残念だったね、という感じだったのですが…

2012年の初日の出

…なんと、間に合ってしまったのでした。

これはびっくり、まさにドンピシャのタイミングでガスが晴れてくれました。
早くもラッキーですね! これで今年の運を全て使い果たした気もするけど(笑)
ともかく、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

ちょっと中途半端な画ですが、山頂直下からの初日の出パノラマはこちら↓

雲取山山頂直下から初日の出を望む
クリックで拡大(2649*600 350KB 画面下スクロールバーで右方向へ)



■格好つけにはご用心

さて、そんなご来光イベントが終わると
周囲の人々も三々五々に、それぞれの目的地に向かって散っていきます。
ある程度ばらけて下山渋滞にならないタイミングまで待ち、我々も下山を開始しました。

※余談ですが、この日、グローブはBDのソロイストを使用していました。
 このソロイスト、対応温度の下限が−26℃というなかなか低温寄りのスペックで
 2月の天狗岳などではその実力を遺憾なく発揮してくれたものですが、
 日が昇り、0℃近くまで気温が上昇した雲取山では暑いのなんの…!
 結局、下山し始めた直後には耐えきれずに外すハメに。

 インサレーションのプリマロフトは少々濡れたくらいでは保温性が落ちないこともあり
 厳冬期には本当に頼りになるグローブですが、今回の山行にはオーバースペックだったかも。


石尾根から西方面を望む
クリックで拡大(3445*600 804KB 画面下スクロールバーで右方向へ)

下山途中、避難小屋から少し下ったところで、パノラマをもう一枚。
お正月と言えばやはり富士山は外せないので。

何回登っても決して面白いとは思えない富士山ですが、こうして遠くから見ると、やはり
風格に関しては他の山とは別格です。さすが、日本一の山。

奥多摩小屋テント場周辺

小雲取山の下り(凍結注意!)を慎重に下り終えると、やがて、奥多摩小屋のテン場が見えてきます。
既に述べた通り、こちらの方が遙かに広いテン場になっています。写真に写っているのはほんの一部。
鴨沢から来たならこちらに張って、空身で山頂を往復するのがスマートかな…

ただし、展望がいい代償として、こちらの方が風を強く受けるようです。
特に冬場は風が吹き抜けやすくなっている分、要注意ですね。

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さて、あとは樹林帯を一気に下り降りるだけです。
傾斜が緩い、というのは下り行程ではかなりのメリットで、足裁きに気を遣わなくてすむので
何も考えずにスピードが出せます。そのため、この山は例外的に下りが苦じゃないのでした。

※もっともそれも、体力が残っていればですけどね。
 前回は日帰りで帰路はバテていたので、ただひたすらダラダラ降りていくだけのキツイ山行でした…

ということで、先行パーティを無駄に追い抜いたりして(何のために小屋前で待ったんだ…)
さっそうと駆け下りていきます。
ブナ坂の先で山ガール二人をさっとパスして、そのまま勢いよく七ツ石山の巻き道に入り
タイトな左コーナーを、アイスバーンもものともせずに駆け抜け…

…ようとして、大転倒!
しかも道がアイスバーンな上に、崖側に傾斜しているので、両手をついても止まらない!
人生\(^o^)/オワタ

――― 結局、何とか道の端で持ちこたえましたが、
右半身は完全に道をはみ出ていて、あと10cm滑っていたら滑落確定でした。

滑っている間はこう思ったものです「おいおい、新年早々、雲取山でヘリに乗るのかよ…」と(;・∀・)
あわやとんでもない迷惑をかけるところでした。みなさんもアイスバーンの通過は慎重に…


ちなみに、この巻き道や小雲取山の斜面のように、あからさまに凍っているのが見える場面では
危険なのが一目で分かるのでいいですが、もう一つ、気を付けるべき場所がありまして
それは「ここは標高1150m」の看板から少し下にある水場になります。

この水場は冬になると、登山道をまたぐように凍る上に、その表面が落ち葉に隠れて見えなくなるため
一種のトラップ状態になります。登りではともかく、下りで気づかずにその氷に乗ると
100%転倒して悲惨なことになりますので(経験談)、通行の際はご注意を。

留浦バス停駐車場に帰還

長〜い下りを終え、駐車場に着いたのは10:31。
こうして年越し山行は無事に終わったのでした。 …あと少しでヘリに乗るところでしたが…



初の雪山テント泊に挑んだ今回の雲取山。
実際には思ったほど寒くなく拍子抜けでしたが、初日の出は見られたので、結果オーライとしましょう。

今回の鴨沢コースには技術的に難しいところは全くないので、
初めてテント泊にチャレンジする人の多くがこのコースを選ぶという話も納得です。
冬場は見通しも良くなりますしね。
特に石尾根から見える山並みは、ここが東京であることを忘れさせるほど。

ただ、技術的には楽でも体力的には中級レベル。
特に寒い時期に体力を使い切ってしまうのは、低体温症で命を失うことにもつながりかねませんから
ご自分の体力と荷物の重さ、行動時間は十分に検討して、余裕のある計画を立ててください。

また、冬場はたとえ登山道の大半に雪がなくても、日陰は凍っていると思うべきです。
山頂を目指すのなら、せめて軽アイゼンは用意しておきましょう。

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