Trekking【日本百名山】
笠ヶ岳2013/08/03-04
岐阜県高山市 [2898m]所要時間:11時間44分
噂通りだぜ笠新道!GPSログ記録はこちら(別窓)

ガスの笠新道

■Introduction

悪夢の裏銀座敗退から一週間。
下山した直後は「もうしばらく山はいいや…」と思ったものの、すぐにそんな気持ちは薄れ
また北アルプスに向かうことになりました。

今回挑戦したのは奥飛騨の名峰・笠ヶ岳。ずっと登りたいと思っていた山の一つです。
北アルプスの端にあり縦走コースに組み入れにくいので、ここで一度登っておくことにしました。
天候に恵まれなかった先週のリベンジと意気込んだのですが…

※2日目へのショートカットはこちら。

1日目 8/3(土) 【 新穂高温泉 → 笠ヶ岳 】
2日目 8/4(日) 【 笠ヶ岳 → 新穂高温泉 】


★ 1日目 8/3(土) 【 新穂高温泉 → 笠ヶ岳 】

今回の笠ヶ岳登山は、定番の新穂高温泉から笠新道を登るルートを選びました。

ですのでもう通い慣れた新穂高温泉に向かい、そして予想通り下の駐車場には停められず(笑)
例によって鍋平園地の駐車場に到着。

鍋平園地の駐車場

今日・明日の天気予報は晴れですが、空はいまにも雨が降り出しそうなほどどんよりしています。
あれ、そんなはずは…と思って笠ヶ岳山荘のライブカメラを見てみると、上はドピーカン。
ある程度登れば雲の上に抜けられるようなので、今日はそれを励みに登ることにしましょう。

装備を調えて、5:11、駐車場を出発。



■登山口が遠い…

ロープウェイの始発を待っている余裕はないので、徒歩で笠新道に向かいます。

新穂高温泉

車道をトタトタ歩いて、新穂高温泉通過が6:03。
…いつも思うんですが、この鍋平→新穂高温泉の無駄な行程が、
ここから始まる登山をよけいにハードなものにしている気がします。
下りとはいえ、意外に効いているのでは…

笠新道登山口

そして、いつもは横目で眺めながら通過する笠新道登山口に着いたのは7:05でした。
「あっちはベテランが登る道だな…」と思っていた笠新道に、自分が登る日が来るとは…

ここから目的地である笠ヶ岳山荘へは、標高差約1,360m、コースタイム7時間の道のり。
三俣→蝶ヶ岳や上高地→涸沢、西沢渓谷→甲武信ヶ岳のコースタイムが約6時間ですから
登りの長さでいえばこれまでで最長です。
はっきり言って自信はなく、後半はバテバテになるのが目に見えていますが、
本気で山登りを始めてからもう4年となれば、そろそろこのレベルはクリアできなければなりません。
覚悟を決めて、いざ登山開始!



■ペースを守って

さてその笠新道、出だしは写真のように樹林帯の中の、土の道で始まります。

笠新道1

標高差はハンパないですけど、道はつづら折りなので斜度はさほどでもありません。
超・長丁場なので、いつもよりも更にゆっくりと、ペースを死守して登っていきます。

標高1,360mの登山口から頑張って1時間半ほど登ると…

笠新道2

標高下がった! ( ゚д゚ )

こんな写真を撮っている余裕があるくらい、前半部分は余裕がありました。
登山道はとてもよく整備されていて、大きな段差がなく楽に登っていけます。

笠新道3

更に、高度が上がってくると後方に木がなくなり、穂高から焼岳までが見通せるように。
実に気分爽快です。
この辺りまでは「笠新道、恐れていたほどでもないな!」と思っていました。



■すみません、もう疲れました

しかし、ここは噂に名高い笠新道。そう簡単にいくはずもなく…

笠新道4

3時間ほど登った頃から、登山道がだいぶ岩だらけになってきました。
そのため一歩の上昇量が高くなり、体力がジワジワ削れていきます。

また、分かっていたことではありますが、ガスに突入して見通しもなくなりました。
多分に気分的な問題でしょうけど、ガスっていると行軍ペースが下がるんですよね…
これが終盤ならまだ勢いで突破できるんですけど、まだまだ途中なので
疲れも相まってやる気ないモードに(;・∀・)

杓子平

こうして、ヘロヘロになりながら杓子平にたどり着いたのは11:42。
登山口から4時間半を越えての到着です。コースタイムが4:20なので情けなさ満点。

しかもご覧の通り、見通しは全くありません。
花の楽園って聞いて楽しみにしていたのに〜(T▽T)
…ただ、晴れている時はここから山頂が見えるのですが、それがあまりに遠くて
心が折れるらしく、そういう点ではむしろ見えなくて良かったのかも…



■山頂はどれだぁ!

さて、この登山道が恐ろしいのは、登山口から約1,100m登ったこの杓子平ですら
まだゴールにはほど遠いこと。

笠新道5

ここからはまず稜線(笠新道分岐)まで約300mほど登ります。
たったの300m、されど300m…
体力満タンな頃の300mは一瞬でも、今の身体での300mは無限の道のりに感じます。

笠新道6

しかも斜度がきついんですよね…
周りを雷鳥がパタパタ歩き回っていますが、お前たちに構っている余裕はない!(笑)
おい〜、これホントに300m!? 500mはあるだろ… とぼやきながらひたすら上へ。

笠新道分岐

杓子平から1時間46分かかって稜線(笠新道分岐)に出た頃にはもう瀕死でした。
しかも、稜線を越えたら向こう側は晴れているかも?という淡い期待もむなしく、空はこの有様…

山頂はどこ?1

それに、稜線に出てからもまだまだ道のりは続くのです。
晴れていれば稜線漫歩のこの道も、ガスっていると偽山頂に苦しめられるように。

山頂はどこ?2

アップダウンがいくつも続き、その先のガスの中にピークが見え
「あれが山頂か!?」とぬか喜びしては、ガッカリするのを繰り返して進んでいきます。

他の登山者の方々も一様に疲れ果てた表情をしていました
生気のない顔で、長いですよね…、長いですね…、とお互いに口にしながらヨロヨロと。
これは辛かった(><)

笠ヶ岳・テント場1

こうして、やっとの思いでテント場に到着(14:35)
登り始めてから実に7時間半の道のりでした。よ、ようやく休める…!



■ありがとう、笠ヶ岳山荘!

ところがぎっちょん、試練はまだ終わってないぜ!

まず、ここのテント場は上の写真で見ると一見広く見えますが、このどこにでも張れるわけではなく
ガレ場の中の整地してあるスペースに張ることになります。
で、この時間ではもうそのほとんどが埋まってまして…

うっ、こりゃヤバイ、と思いながらテント場をぐるぐる巡って、何とか空きスペースを確保。
危ないところでした。あと30分遅れたら岩の上に張る羽目になったかも(;・∀・)


そして場所を確保したら、今度は山荘にテントの申し込みに行くわけですが
これも一筋縄ではいきません。というのも、テント場から山荘が遠くて…

笠ヶ岳・テント場2

これは後から撮った写真でして、手前が自分のテントになります。
この2張りがテント場の一番上に張ってあるテント=つまり一番山荘に近いテントです。
そして山荘はというと、その遙か上方に(^-^;

山荘への道のり

しかもその道中は登山道などという生ぬるい道ではなく、普通にガレ場です。
それに加えて雪渓の横断もあり、テント場だからサンダルでくつろぐか…などといった
のんきな目論見をぶち壊してくれるのでした。

いや、これホントにけっこうきついですよ… トイレへの往復が憂鬱になるレベルです。
体感的には道が悪い分、鹿島槍の冷池よりきついかも。

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ということで、これだけだとこのテント場は、もう一度来たいとは思わないテント場になりそうです。
しかし! そうしてたどり着いた笠ヶ岳山荘にはご褒美があったのでした。

笠ヶ岳山荘

※超・手ぶれ写真ですみません(><)自分で見てても酔いそう…

受付兼売店でテントの申し込みをして、ふと上を見るとそこには「アイス」の文字が。
マジで!?と思いつつ注文してみると、なんとクーリッシュじゃないですか!

いや〜、これはありがたかったですね! 道中、冗談で「山荘にアイス売ってないかな〜」なんて
言ってましたけど、まさか本当に売っているとは思っていませんでしたし、
しかもクーリッシュというところが分かってらっしゃる!
喉がカラカラなので、ここで濃厚バニラアイスとか出されても食べにくいんですよね。
この状況では、クーリッシュの爽快感は最高です(゚∀゚)

これで、テント場から遠いという欠点はまあ大目に見るか、と思ったのでした(笑)



■雲海の中の孤島

こうしてテントを張り終え、しばらくお昼寝。
今日はもう展望はダメだろうな… と思っていたら、夕方になってようやくガスが切れてきたので
山頂に登ってみることにしました。

笠ヶ岳・テント場3
クリックでテント場を拡大(1072*712)

テント場の全景はこちら。
右端に雪渓があり、一分ほど下ったところに水場があります(雪解け水なので雪渓が溶けたら終わり)

テントはざっと数えた感じ40張りほど張られていました。
まだ余裕があるように見えますが、これはもうキャパオーバー。
かなり無理のあるところに張らざるを得なかった人も出ています。混みそうな日は注意しましょう。

笠ヶ岳・テント場4
クリックで拡大(1072*712)

山荘を過ぎて山頂まであとわずかに迫ったころには、抜戸岳の先までがガスを抜けました。
槍の穂先も見えて、これは…!と期待するも、残念ながら好天の気配はここまで。
この後、雲が切れることはありませんでした。

笠ヶ岳・山頂

ですので、山頂から見えるのは雲だけ。
この笠ヶ岳の稜線だけが雲をかぶっておらず、周りは360°雲に囲まれているという
ある意味奇妙な光景でした。

もし晴れていれば、これまでの山の中でも屈指の大展望が望めるはずの山頂なので残念!
明日に期待することにしましょう。

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