Trekking
唐松岳2012/07/25-26
長野県北安曇郡白馬村/富山県黒部市 [2696m]所要時間:5時間45分
期待をはるかに超えてGPSログ記録はこちら(別窓)


1日目 7/25(水) 【 白馬八方 → 唐松岳頂上山荘 】
2日目 7/26(木) 【 唐松岳頂上山荘 → 唐松岳 → 白馬八方 】


2日目 7/26(木) 【 唐松岳 → 八方池山荘 】

そして安定の寝坊である。

翌26日も、山荘前の人々の話し声で目が覚めました。

山荘から自分のテントまではゆうに100mは離れているんですけど、ここは山。
風が強くなければ、100m先の声は普通に聞こえるんですよね。
条件がいいと、300m先で話している内容が苦もなく聞き取れたりします。

もっともそれも善し悪しで、例えばテントを登山道から離れたところに張っているのに
夜中なんかは登山道を歩く人の足音がすぐそばのように聞こえてビビったりすることも。

夜明けの立山

さて、なぜ山荘前で人々が話しているかといえば、ご来光の時間が間近だからです。
時計を見ると時刻は4:33。日の出までの猶予は20分もありません。
やっちまった\(^o^)/

でも、まあいいか。テントを出ればそこは完全な晴れの世界。
ご来光の瞬間を綺麗に撮れなかったとしても、大展望が臨めるのが確実なだけで充分です。
サブザックに最低限の荷物をつめて山荘へ。

唐松岳頂上山荘

既に大半の方がご来光ポジションに移動したため、山荘前は閑散としています。

山荘の裏手は稜線が高くなっていて展望がいいため、生徒さん達や近場で済ませたい方々はそちらに、
そしてそれ以外の方々は20分ほど先にある山頂に向かったようです。
自分はもうご来光の瞬間をいい場所で見るのは諦めているため、まっすぐ山頂に向かいました。

登山道からご来光を臨む
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山荘から歩きはじめて間もない4:50、東の空から太陽が顔をのぞかせました。
(稜線の右端に人がたくさんいますが、そこが山荘の裏手の展望ポジション)

それにしても、東側はとんでもない雲海ですね!( ゚д゚)
よくある凪いだような雲海と違って、雲の一つ一つに躍動感があります。
こりゃ、山頂からの景色は凄そうだぞ…!

唐松岳・山頂

唐松岳山頂着、4:56。
ご来光を見た方々は徐々に引きあげ始めた時間でしたので、思ったより混んでいませんでした。
早速、山頂からのパノラマの撮影を開始。
ご来光も気になりますが、まずはモルゲンロートの西側方面を撮ってみます。

唐松岳山頂から西方面を望む
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五竜から立山・剱、猫又山や毛勝山を挟んで白馬三山まで。
五竜の何とも言えない色合いがすばらしく綺麗です。
後立山の中ではあまり目立たない五竜ですが、実は一番山容が立派な山かも、と思ったり。

ここでいったん一休み。人が少なくなるまで待ち、いよいよ東側の展望へ。

唐松岳山頂から東方面を望む
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うひゃひゃ、なんだこりゃ! これはもう笑うしかない(゚∀゚)

山でのご来光はこれまで何度も見てきましたけど、これを書いている2014年の時点でも
これを越える光景は見たことがないです。そのくらい、凄まじい眺めでした。
1日の始まり、という穏やかなものではなく、まるで今まさに天地が生み出されたかのような
迫力に満ちていて。

雲海
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この雲の陰影なんてもう感動ものですよ。自分は腕がないのでただの雲の写真になってますけど
撮る人が撮れば、かなりの画になったのではないかと思います。

こうしてしばらく、刻々と移り変わる景色をただただ見つめ続けていました。

唐松岳山頂からの360°パノラマ
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そうしているうちに、気がつくと山頂には自分しかいなくなっていました。
くどいですが、折角なので山頂からの360°パノラマを追加。

今回の唐松登山、実はそれほど大展望を期待していたわけではなかったのです。
薬師があんなだったので、せめてご来光くらいは見られないかな… という程度の期待値でした。
どうしても唐松は簡単、初心者向けという世間の風潮がありますから
展望はそれほど優れていないんだろうな、と思っていましたし。

ところがどっこい、とんでもない勘違いですよ。
去年は鹿島槍、そしてこの翌年は白馬に登って、どちらも天候には恵まれましたけど
それでもこの唐松からの眺めが最高だったと思うほどの絶景。
麓から3時間で登れて、これほどの景色が見られる山が他にあるでしょうか。

あ〜、こっちに廻ってきて本当に良かった!
この一山だけで今年の夏休みはもう大、大、大満足です!(^-^)



■雲海に向かって

さて、名残惜しい気もしますが、景色は十二分に堪能しましたので、そろそろ撤収準備に入りますか。
まずはテントに戻りましょう。

テント場

そのテント、テントサイトが分かりやすいように写すとこんな感じになっていまして
自分のテントは一番下、雪渓の右側にあるのがそれになります。
…ちょっと下に張りすぎた気がする(^-^;

テント

でも、降りてきて改めて見ると、これはこれでありかな、と思ったり。
周りに建物がないし他のテントもないので、まさに"野宿"しているという感じがします。
整備されている広いテント場よりも、山にいるんだ、という非日常感がより強く感じられますね。
便利ではないけれど、味のあるテント場だったな、という印象でした。

さらば唐松

荷物をまとめ終えて、7:43、下山開始。
さようなら唐松岳、いい山だったよ、また来るからな!

五龍岳

それと五竜、次はそっちにも行くんでよろしく(゚∀゚)

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そして、この下山行程もこれまた気分爽快。

雲海に浮かぶ八方尾根と五竜岳
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目の前はご覧の通りの大雲海。まさに天上散歩です。
いや〜、素晴らしい! 下山でこんなに気分がいいのは初めてかも。
これこそ登山の醍醐味、といったところでしょうか。

道中では本気縦走の若いお兄さんとすれ違いました。
「こんにちわ〜、縦走ですか?」
「はい、そちらも縦走ですか?」
「いえ、一泊で下山中です(キリッ)」
「なんでですか!? その荷物は何ですか(笑)」
なんて。山屋から見ても縦走ザックに見えるとは、ハリボテ作戦大成功です( ̄ー ̄)

八方池が見えた

やがて雲間に八方池が見えてきました。たどり着くまでに雲に覆われそうだな… と思いましたが

八方池

滑り込みセーフ! 昨日とはまるで違う、色鮮やかな湖面が出迎えてくれました。
(このちょっと後にはガスっちゃったんですよ、ホントギリギリでした)

八方池
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そしてお約束の、湖面に映る白馬三山。
白馬が雲に隠れてますけど、これだけ見えていれば充分でしょ!
これぞ北アルプスという眺めに、観光客の方々のテンションも昨日とは段違いでした。
みなさん楽しそうで何より(^-^)

八方池山荘

そしてここまで来れば、もう後はウィニングランのようなものです。
のんびり歩いて、10:26、八方池山荘に帰還。
2日間の短くも充実した山歩きは、こうして終わりを迎えたのでした。



前々から計画していた雲ノ平周回があっけなく中止になり、思いつきで臨んだ今回の山旅。
しかしいざ登ってみれば、そこには期待を遙かに上回る世界が広がっていて
この夏休みを忘れがたいものにしてくれました。

白馬八方へ

百名山が並び立つ北アルプスにおいて、少々地味な感のあるこの唐松岳ですが
行程のほぼ全てが尾根なのに加えて八方池もあり、景色の良さは最高レベル。
初めて北アルプスに登る時は、ぜひ候補に考えてほしい山です。
登山の楽しさを改めて実感できる山旅になると思いますよ。

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