Trekking
唐松岳2012/07/25-26
長野県北安曇郡白馬村/富山県黒部市 [2696m]所要時間:5時間45分
期待をはるかに超えてGPSログ記録はこちら(別窓)

唐松岳山頂からご来光を望む

■Introduction

計画していた四泊五日の山旅があっさり中止になってしまった今年の夏休み。
このままむざむざ栃木に帰るわけにはいきません。
たとえ一日だけでも、充実した山登りがしたい…!

そんな想いで向かったのがこの山でした。
北アの中では初心者向けと言われる山ですが、果たして悔いのない登山ができたのでしょうか…?

※2日目へのショートカットはこちら。

1日目 7/25(水) 【 白馬八方 → 唐松岳頂上山荘 】
2日目 7/26(木) 【 唐松岳頂上山荘 → 唐松岳 → 白馬八方 】


1日目 7/25(水) 【 八方池山荘 → 唐松岳 】

前日、薬師岳から下りて、安曇野のルートインにチェックインしたのが22時近く。
すぐに寝られるはずもなく、それでいて起きたのは早朝と、今日も睡眠不足で始まりました。

さて、今日の目的地ですが、悩んだあげく唐松岳に決めました。
白馬や五竜は、晴れるかどうかの一発勝負に賭けるにしてはいささか登りがハードなので
疲労も残る今、無難なのは唐松かな、と思ったのです。
唐松自体は二度目の訪問になりますけど、前回(子供の頃)はガスで何も見えませんでしたから
新鮮な気持ちで登れますしね。

ちなみに今日の天気予報は(長野側は)激晴れ。完全な晴れマークです!
これでこそ、わざわざ富山から長野まで走ってきた甲斐があるというもの。
期待に胸を膨らませながら、登山口である白馬八方の第三駐車場に向かいました。
そこには晴れ渡った後立山の絶景が…!

白馬八方 第3駐車場

なんだこれ (´;ω;`)

どういうことなの…


くどいですが天気予報では今日は快晴です。しかしどう見ても昨日の薬師より曇っています。
加えて言うと、実は小雨まで降っています。
なめてんのか。

この時点でテンションはゼロ。帰りたい気分で一杯になりました。
でも、あのガスガスの薬師で今年の夏休みが終わりというのでは、あまりにもむなしすぎます。
そこでさんざん逡巡した結果、とりあえず登るだけは登ってみよう、と。
今日はダメでも明日は晴れるかもしれませんしね。…薬師と同じ結果になりそうですけどね!

今朝の時点では、気分によっては唐松から五竜まで足を伸ばそうかな、なんて
考えていたりもしたんですけど、もう明らかにダメパターンにはまってるっぽいので
今日は唐松岳頂上山荘でテント泊し、明日はそのまま往路を戻ることに決定。
天気が悪いうえに疲れるのでは悲惨なので、荷物も最低限のものだけにします。
ただ、ザックはイーサー70しかなく、ぺっちゃんこになっているとかっこ悪いため
中身は圧縮せず、いかにも荷物でパンパンになっているかのように見せかけました(^-^;



■観光客侮りがたし

リフトを乗り継いで、八方池山荘に降り立ったのは9:00。

リフト終点

「上はもしかしたら晴れているかも?」という一縷の望みもむなしく
やはり小雨がぱらついていました。

行く手もどんより

行く手もどんより。しかしこれも覚悟の上です。
9:03、上がらないテンションをむりやり上げて、頂上山荘への道を歩き出しました。

木道

初めは稜線南側の、観光客用の木道を登っていきます。
稜線の登山道を通らないあたり、やる気のなさが感じられますね(笑)
木道は大きな段差がないので歩くのが楽なのです。

なお、周りにいる人々のほとんどは八方池まで往復する観光客の方々なので
デカザックの自分は少々目立っており、「おっ、本格派だ!」なんて言われたりします。
観光客の方々は軽装ですし行程も短いので(更にいうとペース配分は考えてないっぽいのでw)
意外と登るのが早く、もし荷物満載だったら流れについていけなかったかも…
ハリボテザックのおかげで、登山者の威厳はなんとか保てたようでよかったです(^-^;

学校登山

第二ケルンで稜線の登山道と合流。
前方には中学生でしょうか、おそらく地元の学校登山の生徒さんが列をなしています。

北アは、特にこの八方尾根などはシーズンの休日は激混みになるわけですが
それを外してこうして平日に来ると、今度は学校登山と鉢合わせすることが多いです。
変なところで追いついたりすれ違ったりすると、人数が多いので大変。

でも、今日は後で彼らに助けられることになるのでした。

八方池

八方池着、10:04。
ここに来るのは三度目ですが、白馬三山が綺麗に見えたことは一度もありません。
今日も残念な感じですね。
ちょうど学校登山の生徒さん達が休憩に入ったこともあり、
八方池の散策はスキップして先を急ぐことにしました。



■ガスの中へ

八方池から先は本格的な登山道。道幅も一気に狭くなります。

登山道

学校登山の集団を追い抜いたのはこのため。この先での追い越し・すれ違いは困難です。
自分は別に急いでいないのでいいですが、時間に余裕のないスケジュールの場合はご注意を。

視界は広い

もっとも、道そのものは特に難しかったり、厳しいところはありません。
傾斜も八方池までとさほど変わらず、緩めの登りが山荘まで続きます。
稜線歩きですから視界が開けるところも多く、これで晴れていれば言うことはないんですが

レンズ雲

左手に目を向けるといくつものレンズ雲が。今日の好天は期待できなさそうです(´・ω・`)

雪渓

なお、7月後半ではまだ完全な雪解けにはいたらず、雪渓がいくつか残っていました。
今回は軽アイゼンは持ってきませんでしたし不要でしたけど、
北アの他のルートではまだ軽アイゼンがないと危険というところもあるようなので
この時期に登山する場合は、事前に山荘などから情報を得ておいた方がいいでしょうね。

難所?

終盤、写真で見ると怖い崩落地を越えて…(実際は怖くないですよ、ご心配なく)

唐松岳頂上山荘

12:03、唐松岳頂上山荘に到着。八方池山荘を出てからちょうど3時間の道のりでした。



■そして奇跡が

さて、何も見えないし強風が吹き荒れていて寒いので、今日は唐松岳の山頂は踏まずに
とっととテントを張って休むことにします。寝不足ですしね。

テント場

で、そのテント設営ですが…
ここのテント場は「テント場」という広いスペースがあるわけではありません。
山荘の西側斜面につづら折りの登山道があり、そのコーナーごとにテントが2〜3張りほど
設営できるスペースがあります。この一つ一つがテント場になります。

一つのコーナーに設営できる数が少ないので、
混んでいる時はかなり下りていかなければなりません。
今日は平日でしたので先客さんはまだ4組でしたが、せっかく空いているのに
すぐ隣に張るのもなぁ…と思って下っていった結果、だいぶ下の方に張ることに。

テント設営

こんな感じで。山荘は遙かかなたになりました(;・∀・)


さて、こうしてテントの設営が終わると、することがなくなりました。
ガスは一向に消えず、テントの正面には立山や剱があるはずなのですが

何も見えない

当然何も見えません。

しかも、雨はやんだものの風がかなり強く、更にここは地形的に吹き上げで吹くので
ダブルウォールのテントは風をはらんでしまってバタバタと揺れ、少々不安な状況です。
こういう時はシングルウォールのテントが欲しくなりますね〜

なお、山荘でテントの受付ついでに天気予報を見ると、やはり今日は快晴だと言っています。
これのどこが快晴だと言うのでしょう。もう今日は半分過ぎてるんですけど…(´ヘ`;)
でも、そこまで言うからにはそのうち晴れるんだろう、晴れるに違いない、と思いつつ
30分おきに外を見ては落胆することを4〜5回繰り返していたら、いつしか眠りに落ちていました。

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そうして、2時間ほども過ぎた頃でしょうか。
ふと、人々の声で目が覚めました。どうも山荘の方で生徒さん達が何か騒いでいるようです。
時刻はもう19時近く。いくらなんでも今到着したはずもないだろうし、何かな…と思って
テントを出てみると…

ガスが晴れた!

Σ(゚Д゚)!? 唐松が見えてる!

そして振り返れば…

五竜岳

そこには、今まさに霧の中から姿を現そうとしている五竜岳が。
キタ――(゚∀゚)――!!! ついに晴れが来た!

日没まで間もない今になって、遂に訪れたシャッターチャンス。
一分一秒たりとも無駄にはできません。カメラをひっつかんでテントを飛び出しました。

山荘が遠い!

とにかく、まずは山荘(稜線)まで登り返さなければなりません。
しかし、山荘ははるか頭上にあります(^-^;
くそっ、なんでこんな下に張っちまったんだ!

ようやく稜線へ

息も絶え絶え、10分かけて山荘まで登り返すと、山荘前では生徒さん達が歓声を上げていました。
ありがとう君達! 君達がいなかったら確実に寝過ごすところだったよ。

それにしても晴れてくれて本当に良かった。もしガスったままだったとしたら
彼らの学校登山はただ辛かっただけという記憶になってしまうかもしれませんでしたからね。
これで少しでもいい思い出になってくれれば、と思ったのでした。

唐松岳頂上山荘から西方面を望む
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そんな山荘前から。晴れを待ち望んでいた宿泊客の方々が続々と出てきました。

本格的な三脚を持った方もたくさん。特にテント泊の方々は気合い入りまくりなのか
かなり重量級の三脚を持って走り回っています。
いくら楽な登山道といっても、テントとあの三脚を持ってここまで登ってくるのは
それなりの苦労があると思うんですけど、本気で写真やってるんでしょうね。
アルミの軽量三脚しか持ってこず、しかもそれをトランクに置いてきた自分は一体(^-^;

立山・剱
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結局、安曇野側が雲だらけだったこともあって、撮影は山荘周辺だけにとどまりました。
登山靴を履いてくれば山頂まで行けたんですけど、慌てていたのでサンダルで来てしまい…

でも、晴れてくれただけで充分満足です(^-^)
正直、今日はもう晴れないんだと諦めていましたから。

半端に雲が残ったおかげで印象的になった空と、たなびく雲の上に浮かぶ立山・剱の夕景。
この景色が見られただけでも、雲ノ平を諦めた甲斐があったというものです。

立山・剱

藍色に変わりゆく北アルプスの空。
風もすっかり穏やかになり、今日という日は静かに暮れていったのでした。

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