Trekking
外秩父七峰縦走2012/04/22
埼玉県比企郡小川町/ときがわ町
/秩父郡東秩父村/大里郡寄居町
所要時間:10時間41分
[876m(剣ヶ峰)]消費カロリー:計測せず
雨の中を歩く ただ達成感を得るためにGPSログ記録はこちら(別窓)

堂平山へ

■Introduction

一昨年のクリスマスに外秩父七峰縦走ハイキング大会のコースを歩いてみたところ、
体力的に厳しくはあるものの、何とか歩き通すことができるのが分かりました。

こうなると、大会に出たくなるのが人の性というものです。
今年も夏のテント泊に向けて体力を整え始めなければならない時期になってきましたから、
半強制的に42.195km歩かされるこういったイベントは、
なかなか自主的にトレーニングできない僕のようなヘタレにはまさにピッタリ。
ということで「第27回外秩父七峰縦走ハイキング大会」に参加してみました。

一昨年の寒空とは違って、今回は4月のハイキングですから
きっと穏やかな山歩きを楽しむこともできるだろう、と
申し込みの時点では考えていたのですが…

※今回の写真は、SONYのDSC-WX7で撮っています。



■大会に向けて ― 1日で完歩するために ―

さて、今回のレポートは、大会に特化した話を書いていこうと思います。
コースの様子などは、前回の記録をご参照ください。

今回の目標は、一日での全行程完歩です。
しかし、前回下見で歩いた時は、歩き通すのに13時間46分もかかっていました。
大会は6:30開始、18:30終了なので制限時間は12時間。これではタイムオーバーになってしまいます。
そこで、準備は抜かりないように、装備や当日までの過ごし方をよく考えておくことにしました。

<装備について>

まず、最も重要なのはシューズ選び。
これは、当日の路面状況や、過去の大会の記録を見る限り、ベストはトレランシューズでしょう。
僕はあいにくトレランシューズが手元にないため、ランニングシューズで代用。
ちなみに、実際の大会でも、トレランシューズ・ランニングシューズが大勢を占めていました。
コースの半分以上が舗装路なので、トレッキングシューズだと厳しいでしょうね。
登山靴の方もわずかに見受けられましたが、あれはよほど慣れていないと無理だと思います。

次に荷物ですが、これはもうできるだけ軽量化するに限ります。
最低限必要なのは(雨が降りそうなら)レインウェアと、食料、飲料のみ。
ザックも当然小さいものでOKです。30L以下のザック使用者が大半。
中にはザックでなくビニール袋だけで参加するベテランもいました。

ウェアは… こればかりは当日の天候しだいなのでなんとも。
Tシャツ1枚で歩いても暑かった大会もあるようですが、
今回の大会は小川町の時点で10℃、一番寒かった堂平山で5℃。Tシャツでは死んでしまいます。
後半になると体力が落ちて熱生成がおぼつかなくなるので、
保温用のウェアは1枚用意しておいた方がいいかもしれません。


<体力作りについて>

普段まったく運動をせずに、いきなり42.195km歩こうというのは無謀です。
ですので、多少なりとも事前にトレーニングをしておくことをお勧めします。
僕の場合は三週間前から週三回、3〜4km程度のジョギングをしていました。
この程度でも、やるのとやらないのとでは全然違いますよ。


<当日の会場入りについて>

この大会、体力が十分でも、制限時間に歩き通せない場合があります。
というのは、スタートが少しでも遅れると、各所で渋滞が発生するためです。
そこで、会場入りは少しでも早くする必要があります。

会場へ直接車で乗り付けるのは禁止ですし、池袋方面からの始発だと遅くなってしまうので
今回我々は、寄居の「HOTEL CITY PLAZA 寄居」に前泊しました。
このホテル、雰囲気としては少々古いかな、という気もしますが
リーズナブルですし、大浴場もあって、ビジネスホテルにしてはなかなかいいホテルだと思います。



■スピーディな出発だぜ! …あれっ?

それでは、当日の様子を書いていきたいと思います。

「HOTEL CITY PLAZA 寄居」を出発したのは3:15。
寄居駅には駐車場が一ヶ所しかなく、あまり遅く着くと停められなくなるとのことでしたので
余裕を持って相当早めに出ることにしました。

ところが… ホテルの外に出てみると、チェックインの時はほぼ満車だった駐車場がガラガラに!
みなさん、もう出発された後のようです。どんだけ気合入ってるんだ…

ここからはファミマで買出し→すき屋で腹ごしらえをして、寄居駅南口有料駐車場へ。

寄居駅南口有料駐車場

駐車場に着いたのは4時頃。先発組で満車になっていたらどうしよう…と不安でしたが
この時間にはまだ3割ほどの入りでした。(最終的に満車になったのは5時過ぎ)

ともかく、これでまずは一安心。5:20の始発で小川町に向かいます。

なお、この電車、ヤマレコなどにUPされている写真だと混んでいるように見えると思いますが
実際には混んでいるのは先頭車両だけで、後方の車両には余裕があります。
ちなみに先頭が混むのは、小川町の改札に一番近いからですね。
自分たちはそこまで前に行く必要性を感じなかったため、後方からのんびりと。

出発を待つ

そのため、小川町の受付に並んだ時には、だいぶ後ろの方になりました。

とは言え、まだこれはマシな部類。
受付からのまっすぐな列は我々のすぐ後ろで終了し、その後に来た方々は
ロータリーをはさんで反対側に並ぶことになります。

列はロータリーの向こうまで

池袋方面から来る電車は到着が遅いので、もし始発で来たとしても、こんな遠くまで行く羽目に。
これだとさすがに道中の渋滞が厳しそうですね。前泊して正解でした。



■あいにくの空模様

大会は今年も繰上げで6:00過ぎにスタート。
受付に参加カードを提出して、記念品と地図をいただきます。
参加費無料なのにありがたいことです。

官ノ倉山の鎖場で渋滞することが明白なので、最初はできるだけ順位を上げておきたいところですが…
みんなペースが早いこと早いこと(^-^; もはやハイキングというより競歩の域です。

官ノ倉山の渋滞

おかげで鎖場はごらんの有様。
でも、早めに到着しただけあって、実際にはそれほど待たされずにすみました。
官ノ倉山CP通過、7:25。

※なお、本気で渋滞を避けたいのなら、東武竹沢駅からのBコースを選ぶべきですね。
 同じ時間に受付をした人でも、Bコース組の方がCP着は遥かに早かったようでした。

ここから一旦市街地に降り、和紙の里を目指して歩いていきます。

和紙の里

今日の天気予報は曇りのち雨。
山にガスがかかっているところを見ても、いずれ雨になるのは確実なようです。

ジョギングシューズで来てしまっているので、山歩きの途中で雨になるのは避けたいもの。
先を急ぎましょう。

和紙の里

和紙の里到着が8:01。
この先、しばらくトイレがないので、ここでトイレに…と思ったら、
みんな同じことを考えるようで、トイレは大混雑。
おかげでかなりの時間をロスしてしまいました。

この先、こういったランドマークには、即席の販売ブースが設けられていまして
軽食などの購入が可能になっています。
しかし、我々には食事休憩する余裕はないのでした。
トイレを出たら休むまもなく笠山に向かって出発です。

萩平

荻平に向かって。

和紙の里から笠山への取り付きまでは、単調な林道歩きが延々と続き
ソロで歩いている時は精神的につらい区間になりますが、
大会では周りに引っ張られるのか、それほど苦痛には感じませんでした。
七峰縦走コースの登山道は全般的に狭く、追い抜きが困難ですので
舗装路は周りに迷惑をかけることなく追い抜きができる貴重な区間でもあります。

なお、荻平までと、荻平から笠山へ向かう途中に、それぞれ一ヶ所ずつ
コースの分岐があります(舗装路を歩き続けるか、登山道に入るか)
今回、我々は二度とも舗装路を選びまして、結果としては
最初の舗装路歩きは、舗装路の方が明らかに楽なので正解、
二度目の舗装路歩きは遠回り過ぎるため失敗、と言ったところでした。

笠山へ

舗装路歩きが終わると、いよいよ全行程の中で最高にきつい登りが始まります。
登山道は再び長い長い渋滞になりました。

今回、自分の体験や、他の方の記録を見て考えたところ、
こういった長い登りの渋滞の中で、どれだけ周りと比べて余裕を持てるか、が
42.195kmを一日で歩けるかどうかの重要なポイントだと感じました。

要は、全体のペースに合わせて登っていった時に自分も息切れするようであれば以後は苦しくなり、
逆に「遅いなぁ、もっと早く登れるのに」と思えれば、こういう渋滞は休憩に等しく
後の行程に向けて体力を温存できることになります。

自分らだけで登っていたら(ハイペースで飛ばして)途中でバテたかもしれないこの登りも
渋滞が幸いしてゆっくりペースだったため、この日は余裕で通過できました。
ここで疲労しなかったのは大きかったですね。
事前準備のなんちゃってジョギングも、それなりに効果があったようです。



■ついに雨が…

笠山CP通過、10:25。順位は700位前後とのことでした。

さて、山にはガスがかかっていたので当然ですが、山頂に近づくにつれ辺りには霧が立ち込め、
やがて霧雨、そして小降りの雨という、恐れていた事態になってきました。
この時の気温は5℃。長袖アンダー+半袖Tシャツで歩いていたため、さすがに寒くなってきます。

しかし、道中は狭い上に、周りも立ち止まって着替えようという雰囲気ではありません。
そこで、この服装のまま堂平山CPまで一気に行くことにしました。
堂平山への登りも勢いに任せてノンストップで登りきり…

堂平山CP

11:03、堂平山CPに到着。
前回フリーで歩いた時と比べて1時間ほどタイムを縮められています。
これなら完歩できるか?と、希望が見えてきました。

寒いのでレインウェアを羽織り、トイレ休憩と菓子パンひとつ、それにアミノバイタルを摂取。
そうそう、大会の食料に関しては、アミノ酸の適度な補充と、いかに行動食を採れるかどうかが
重要だと思います。
アミノ酸不足は疲労につながりますし、食事ものんびり座って食べる時間は取れないですから、
歩きながら食べられるものを多めに用意しておくのがいいでしょう。
小さいパンやおにぎりだと、例えば笠山などでの渋滞の時に、さっと食べられるので便利ですよ。
おにぎりを行動食にしたのは今回が初めてかも(笑)


長時間の休憩を取る余裕はなく、また疲労が溜まっているわけでもないので、早々に行動再開。
次の剣ヶ峰CPはここからすぐ先です。

剣ヶ峰CP

剣ヶ峰CP通過、11:29。

ここから次の大霧山CPまでは6.1kmの長い道のり。
参加者にも徐々に疲労の色が見え始め、周囲の会話もめっきり少なくなってきました(^-^;

ところで、冒頭でトレランシューズがお勧め、と書きましたが、その理由は下り坂にあります。
特に今日のような雨の日だと、ジョギングシューズではグリップが効かないんですよね。
ですので下りは結構怖くて、長い下りに入ると神経が磨り減ります。

特にこの剣ヶ峰〜大霧山間(および、大霧山からの下り)は、急な下り坂が多いので要注意。
周囲でも転倒されている方がちらほら見受けられました。くれぐれも頭だけは打たないように!

大霧山CP

大霧山CP到着13:13。山頂は文字通り大霧に包まれていました。



■最後は己との戦い

大霧山からの長く急な下り坂をクリアすると、あとはもう顕著な登り・下りはありません。
残るは制限時間と、自分の体力との勝負のみです。頑張るぞ!

秩父高原牧場(彩の国ふれあい牧場)

秩父高原牧場着、13:51。

ここで時間を逆算してみると、17:00前後にはゴールにたどり着けそうなペースで来ています。
心理的にだいぶ余裕ができたので、ソフトクリームを食べていくことにしました。
ソフトクリームマニアとしては、ここは外せないのです。

この頃になると風も強くなってきて、吹きさらしの牧場は寒かったため
今日は行列はないだろう…と思いましたが、売店には長蛇とはいかないまでも、それなりの列が。
みんな、こんな寒いのによく食べるなぁ…

で、実際に味わってみると、甘さあっさりの濃厚系でした(濃厚度はかなりのもの)
あっさり系が好きな僕としては微妙なんですけど、
真夏でない時期はこっちの方がおいしいと感じるかもしれませんね。
長歩きで脳の糖分が足りなくなっているので、こうして砂糖を補給できるのはありがたいです。
売り子さんの接客姿勢も好印象でした。

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最終リタイヤ地点の二本木峠を過ぎると、雨はいよいよ本降りに。

こうなるといよいよ話をする余裕はなくなり、もうリタイヤすることもできないため
みんなただ黙々とゴールに向かって歩いていきます。
その姿はもはや競技者というよりも敗残兵といった感がありました(^-^;

皇鈴山CP通過14:40、登谷山CP通過15:00、そしてそこから長い長〜い舗装路をひたすら歩き…

ゴール!

16:49、ゴーーール! これでもう歩かなくてすむと思うと実に嬉しかったり(笑)

なんと16時台にゴールできました。
他の人と比べてしまうと、別に早くもなんともないタイムですが
当初は18:00頃に滑り込みでゴールできるかどうか…と考えていたので、自分としては十分満足。
なんたって、前回は20時過ぎでしたからね(^-^; 大幅な進歩です。

完歩記念品の帽子も頂いて、充実した気分で帰路についたのでした。



■42.195kmを歩き終えて―――

まずはじめに、この悪天候の中、大会運営にご尽力頂いた関係各位に御礼申し上げます。
ありがとうございました。


自分自身に関しては、制限時間内に完歩できて良かった、の一言に尽きます。
下見の時の経験から考えて、二本木峠で時間切れかな… と思っていましたので。
装備やペース配分の見直しが功を奏した形になりました。

なお、ペースに関して言うなら、速く歩こうとか、前の人を追い抜いてやろう、と考えるよりも
全体のペースに合わせて、とにかく休まずに歩き続けることが重要だと感じました。

大会というだけあって全体のペースは相当速いです。
今回、自分たちは無理に急いだわけではなく、特に下りでは多くの方に追い抜かれたりしましたが
それでもGPSログを見ると「全体平均速度」が4.1km/hもあります。
これは通常の山登りではありえないハイペースで、これを見ても全体の流れがいかに速いかが
よく分かると思います。ですので、周りについていけさえすれば完歩は余裕です。


あとは、いかに移動しながら食料を口にできるかと、アミノ酸を欠かさないことも大切。
特にアミノ酸は効果覿面!
今回は、出発前にアミノバイタルカプシを1袋、堂平山と大霧山でアミノバイタルゼリーを
1パックずつ採りまして、おかげで顕著な疲労を感じることなく歩けた上に
翌日以降、筋肉痛になることもありませんでした。
(筋肉痛にならなかったのは、帰宅してからプロテイン牛乳を飲んだせいかもしれませんけど)

大霧山で飲んだものは、それからおよそ40分後、白石峠にさしかかった時に効果が出始めまして
急に足が軽くなり「あ、効いたな」というのがはっきりと分かりました。
いつもは、下山した後に筋肉痛にならなかった場合に、効果があったんだろうな… と
何となく思う程度で、こうしてはっきり効いたと実感したのは初めてでしたね。お勧めです。


一つ心残りがあるとすれば、道中やゴール後の露店で買い物をする余裕がなかったこと。
道路を占拠したりして地元には多少なりとも迷惑がかかっていると思うので、
せめて何か買い物をするなどして還元するのが人として正しい姿勢だと考えます。
来年も参加するかどうかは分かりませんが、参加するなら今度はもっと行程を楽しもうと思いました。

EXIT