Trekking【日本百名山】
蝶ヶ岳・常念岳2010/09/10-11
長野県松本市/安曇野市 [2857m(常念岳)]所要時間:16時間41分
消費カロリー:9529kcal
目の前に広がるは槍穂の絶景GPSログ記録はこちら(別窓)


1日目 9/10(金) 【 三股 → 蝶ヶ岳 】
2日目 9/11(土) 【 蝶ヶ岳 → 常念岳 → 三股 】


★ 2日目 9/11(土) 【 蝶ヶ岳 → 常念岳 → 三股 】

ひとしきり星の撮影を終えて今度こそ寝たところ、3時には起きようと思いつつ爆睡…
周りのテントが撤収準備を始めた音で起きた時は4時半になっていました。
ありがとう、周りのテントの人! あやうく日の出を見逃して泣くところでした(^-^;

朝食の準備は後回しにして、三脚を片手にサンダルで蝶ヶ岳山頂まで登ってみます。
(この、サンダルで山頂まで行けるってお手軽さがいいんですよね〜)
ご来光を見に蝶ヶ岳山頂に集まったのは、自分達を含めてもたったの五人。
蝶ヶ岳ヒュッテ泊の方々は、ヒュッテそばの"瞑想の丘"の方に集まっていましたが、
それでも十人いるかどうかというところです。

一部の方々は既に出発した後ですし、テン泊組の中にはもはやご来光など見飽きているのか
寝てらっしゃる方々もいましたので、これが全員って訳じゃないですけど
それにしてもずいぶん少ないですね。
ヒュッテ泊の方の話としては、昨晩は「二畳に一人」だったそうで、やっぱり北アに来るなら
平日がいいなあ、とつくづく思ったのでした。

5:20頃、待望のご来光。

蝶ヶ岳山頂からのご来光
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今日も快晴。ホント、自分らの山行は、ここ一番ってところではついてますね(^-^)

そして振り返れば、朝日に染まる槍・穂高連峰の勇姿が。

蝶ヶ岳山頂直下からアルペングリューエンの槍穂を望む
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こちらも快晴ですね! 今日も一日、好展望が期待できそうです。



■蝶槍までは至福の稜線歩き

ご来光を満喫したら、テントに戻ってのんびり朝食と撤収作業を開始。
あまりにも雰囲気が良かったのでずいぶんゆっくりしてしまいました。
名残惜しいですが、遅くなりすぎるのもまずいので、7:30、常念岳に向かって出発。

雲海が輝く安曇野市

眼下では安曇野市が輝く雲海に包み込まれていて、とても爽やかな眺めが広がっています。

さらば蝶ヶ岳、また来る日まで!

蝶ヶ岳のテン場はとても快適なテン場でした。ヒュッテの従業員さんにも丁寧に応対してもらって
気持ちよく一晩が過ごせたことに感謝、感謝です。いつかまた来たいなぁ。

…と、綺麗にまとめたところで何ですが、ここで一つ大失態をやらかしました。
というのは、朝、各自のザックに水を分けた時に、プラティバスに残っていた水を
捨ててしまったのです。
この時、水の持ち合わせは1Lずつ… これから夏の太陽の下、9時間行動するのに
水が1Lで足りるかどうかは考えるまでもありません。

今になって思い返しても、なんであの時に水を捨てていいと言ったのか分からないんですよね。
常念の登りで頭が一杯だったのだろうか… これが後々、大問題に繋がることになります。

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さて、水のことは一旦忘れて(実際この時は気にしていなかった)常念岳に向かって進みましょう。

最高の稜線歩き

ここから蝶槍までは気持ちの良い稜線歩きになります。右手には果てしなく広がる雲海、
そして左手には雲一つない槍穂の絶景が広がっていて、至福の一時でした。
おかげで、写真を撮りまくっていてちっとも進まなかったりもしますが(^-^;

そんな幸せな登山道なので、特に疲労もザックの重さも感じないうちに蝶槍に到着(8:22)。

蝶槍、天を衝く

アルペンガイドだと西に巻けるようなのですが、どこが巻き道か分からなかったので
ピークを踏んでいきました。
この辺りでは一番高いところですので展望は抜群。余裕がある時はここでゆっくりしたいですね。



■高いよ〜怖いよ〜!

蝶槍を過ぎると、登山道は徐々にハードになってきます。まずはここから200mほど急降下。

稜線を左に進んで… あれ、その先は?

蝶槍からこの光景を見た時は思わず笑いました。だって、稜線を左に進んでいくと、
最終的にはあの画面中央に見える、はるか下の稜線にいるわけですからね。
その間の道は見えないし、どんだけ落ちるのかと(^-^;

結局、再び樹林帯まで下りることになります。

木漏れ日が綺麗、でも暑いのよ

そして、樹林帯に入ってしまうと風が吹かないので暑くて、ここでようやく
水が足りないことに気づいたのでした…
しかしここではどうしようもないので、飲み過ぎないように気をつけながらともかく進むことに。

水のことさえ考えなければ、ここの樹林帯歩きはなかなか楽しいです。
アップダウンは大したことありませんし、たまに展望が開けて歩いてきた道のりが一望できたり、
逆に常念岳の堂々たる姿が見られたりしますからね。
池塘あり、お花畑ありと変化にも富んでいます。

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そして樹林帯を抜けると、いよいよ本日の核心部である常念岳への登りの始まり。
ここから山頂までは岩場歩きになります。

いよいよ正念場へ

最低鞍部から常念岳までの高低差は400m。決して厳しい高さではありません。
距離も見た目では大したことなさそうです。

でも… 実際に歩いてみるとこれが全然進まない…

まず第一に、「ここで自分が石を落としたら、下のあの人死ぬだろうな…」なんてところは
普段の山行では滅多にないので緊張しますし、それ以前にこうやってずっと岩場を歩くこと自体が
初めての経験と言っていいくらいなので、思うようなペースで進めないのです。

ちなみにこの蝶〜常念は、登山界では「北アルプス入門コース」という位置づけで
"危険箇所なし"ということになっています。確かに世間様のブログなどを見ていても、結構みんな
楽勝でした〜♪ という感じの山行記が多いです。なので油断していたんですけど…

いやいや…入門の定義がおかしいでしょ

これ、入門コースなんだ…(汗)
多分、高所恐怖症ではない人にとっては何てことのないところなんでしょうね。
ですので、一般的な認識の方が多分正しいんでしょう。でも、僕にとってはこのレベルでも
余裕が全然ないのです。神経すり減りまくり。
たまに「ここなら絶対落っこちないな」なんてところに着くと、心底安心するくらいでした。

近いのか遠いのか…

あ〜、このくらいの登り、岩場じゃなかったらほんの一息なんだけどなぁ。
画像右のピークまでですらやたら遠く感じます。

僕の登山の当面の目標は奥穂登頂で、この登りに入るまでは「次、奥穂行っちゃう?」なんて
ノリだったんですが、とてもじゃないけどこの状態じゃ奥穂なんて絶対無理だ(^-^;
岩場歩きの回数を増やして、多少なりとも高所恐怖症を克服しないと…

山頂はもう目の前

そんな感じで、とにかくこの登りは僕にとってはとてもきつかったです。
それでも下山してくる方々に励まされながら登り続けて、そして…

常念岳山頂

12:20、ようやく常念岳山頂に辿り着きました。
蝶ヶ岳から実に4.50もかけての登頂です。コースタイムは4.15なので凄まじく遅いですけど
とにかくこの時は、安堵感で一杯でしたね。これでもう怖い岩場登りはしなくて済むという(笑)



■一難去ってまた一難

そんな常念岳山頂はまさに遮るもののない360°の展望、なんですが
今回のように蝶から登ってくる場合は、ここまでの稜線で見てきた景色と別に変わりませんし、
何より岩だらけで、落ちたら死ぬ!と思うところも多くてどうにも落ち着きません。
あまり広くもありませんので、山頂は他の方に譲って、少し下りたところでパノラマ撮影。

常念岳山頂からの展望(西〜北東方面)
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しかし、こうして見ると燕岳は遙か彼方ですね。
一時期は、燕から蝶まで二泊三日で縦走しようかとも考えていたんですけど、
ちょっと今の体力では厳しそうです(^-^;

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さて、時間も時間ですのでそそくさと山頂を後にして下山しましょう。

後は三股に下るだけですが、問題なのは水の残量…
確認してみると、セーブしながら来ただけあって、あと400mLほど残っています。
今にして思えば、一旦常念山荘まで行って水を補給してくるのがベストの選択だったんでしょうけど
この時は疲れていたのでザックをデポするという発想がなくて、
「このザックを背負ったまま山荘まで往復するのは嫌だな… 400mLあれば何とかなるか…」と、
結局そのまま前常念に下りることに。これが第二のミスでした。

で、そんな前常念岳への道のりはと言うと…

前常念へも岩だらけ

いつまで続くの、この岩場(T▽T)

幸い高度感はさほどでもないんですけど、歩きにくいので、下りのわりにはペースが上がりません。
しかもだんだん疲労が蓄積してきて…
むしろ三股から登ってくる人々の方が元気そうに見えたり(^-^;
前常念に着いた頃にはもう半分グロッキー状態でした。

でもねえ、前常念岳まではまだ良かったんですよ。
前常念岳に辿り着いてもその先に道が見えないので、嫌な予感はしたんですけど…

岩場の後はザレ場…

ヒィ――((((;゚Д゚)))――!!!

やっぱりこんな下りだったか_| ̄|○
昨日、蝶への登りの途中で見たこれ↓はやっぱり下山道だったのね…

急降下

ちなみに上の写真は、下り後半のザレ場に差しかかってから撮ったものです。
下りはじめは岩場で、そっちの方が怖かったんですが写真はありません。
たぶん、撮ってる余裕もなかったんでしょう…

とにかくこの時ほど「早く樹林帯に辿り着きたい!」と思ったことはありませんでした。
後で登山ブログめぐりをしていたら、へっぽこ主婦さんが同じ事を書いていて思わず笑いが。
そうそう、高所恐怖症持ちにとっては、きつくても怖くない樹林帯の方がまだマシなんですよね…

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そして、樹林帯に着いたら着いたでまたもや問題発生。
今度は遂に水がなくなりました(汗) そりゃそうだ…

三股からここまでは樹林帯の急登でして、登りに使うとかなり疲れるルートですが
今回は下りていくだけ。しかも登山道の整備はもはや感動するくらい完璧で、
登山道というよりは単なる坂道といったレベルなので、厳しい段差などは皆無に等しく、
体調に問題なければ一時間に500〜600mぐらいは簡単に下りられる区間なのです。

でも、水がないからなぁ…
この辺りは風が吹かないのでこの時間でも暑くて、歩いているとどうしても汗が出てきます。
体外に排出されるだけされて補給ができないというのは恐怖でしたね。
今まで脱水症状になったことがないので、具体的にどのような症状が起きるのか分からないし、
歩いていて突然倒れたりしたら、それはもはや遭難です。
さすがにこんなアホなことで人様に迷惑をかけるわけには…

ということで怖くなって、仕方ないので弟に先に下りてもらい、水を持って登り返してもらう
ことにしました。何という屈辱的な事態だ…_| ̄|○

で、僕は1900m地点で大休止していたんですけど、弟がここまで登り返してくるのを待っていたら
夜になるだろうし、それまで水が飲めないのはそれはそれで問題だろう、と思いまして
結局、待たずに下りることにしました。登山道が歩きやすくて本当に助かりました。
1400m辺りまで下りたところで弟と合流し、水をもらった時の安堵感は
もう言葉では言い表せません(笑)

そんなこんなで駐車場着が18:29。ちょうどヘッデンが必要になるような時間でした。
常念岳山頂からは6時間11分… いろんな意味で、こんなに神経を使った下山は初めてでしたね。
次からは水だけは万全にしておこうと心に誓ったのでした。



…とまあ、最後はいろんな意味でズタボロになってしまいましたが、
振り返ってみれば終始好天に恵まれて、まさに夏の北アルプスを思う存分満喫できた今回の登山。
今年の登山のメインイベントとして、とても満足した山行になりました。

特に蝶ヶ岳の展望や過ごしやすさは感動ものでしたね。機会があれば二度三度と訪れたくなるくらい
お気に入りの山になりました。三股からは危険箇所も全くありませんし、初めてテン泊・山小屋泊を
しようという入門者には、是非ともこの山をお勧めしたいと思います。
常念岳は… 高所恐怖症でない人にはお勧め(^-^;



■余談1

この日は本当はそのまま栃木まで帰る予定だったのですが、下山した時にはそんな気力はなく…
結局、豊科駅前のビジネスホテル「ホテルルートインコート安曇野豊科駅南」に逃げ込みました。
(旅行でもビジネスホテル泊の方が好きなんですよね。干渉されなくて気楽なので)
でまあ、ビジネスホテルなので泊まれればいいや、って感じで適当にここを選んだんですけど、
何気にこの辺のルートインは大浴場(人工温泉ですが)があるし、朝食はバイキング形式だったり、
ビジネスホテルにしてはなかなか旅行気分にさせてくれるのでした。
何気にこのホテルは気に入りました。次にあの辺に行く時はまたお世話になろうかと思います。
それと、ここで売っている「信州安曇野の天然水」はめちゃ飲みやすくて感動。

■余談2

中央道経由でここまで来たのは初めてなので、帰り道では"あれ"を食べない手はないですよね!
ということで翌日はソフトクリーム祭りです。
まずは、お土産を買いに立ち寄った梓川SAでのこの一品。

安曇野牛乳&りんごソフト

安曇野牛乳&りんごソフト(\300)
この"りんご"の方はソフトクリームには珍しくシャーベットに近い食感。
リンゴっぽい色と風味を付けただけのなんちゃってりんごとは一線を画す、本格的な味わいです。
ただ、牛乳ソフトとこのリンゴシャーベットが異質すぎてうまく同居できていない感じがしました。
ミックスではなくて個別に一つずつ食べてみたかったなぁ… 次に行った時はそうしてみましょう。

続きまして、八ヶ岳PAからはこちら。

八ヶ岳プレミアムキングソフト

八ヶ岳プレミアムキングソフト(\380?)
ご覧の通り、そのサイズで非常にインパクトがある一品。食感はさっぱり系です。
これ、さっぱり系でホント良かったですよ。濃厚系でこのサイズだったら食えない…
僕としてはかなり好きな部類のソフトクリームでした。ただ、いかんせん大きすぎて
この後に別のソフトクリームを食べる気が失せたのが困りもの(^-^;
八ヶ岳PAはソフトクリームの種類が豊富なので、次に訪れるのが楽しみです。

EXIT