Trekking【日本百名山】
西大巓・西吾妻山2014/09/23
山形県米沢市/福島県耶麻郡北塩原村 [2035m]所要時間:4時間43分
消費カロリー:計測せず
展望のない山? いえいえ、とんでもないGPSログ記録はこちら(別窓)

天狗岩から西吾妻山を望む

■Introduction

今年の8月はひたすら雨のまま終わってしまいました。
9月になると天候は回復しましたが、ブランク開けでいきなりテント泊登山は厳しいので、まずは近場で足慣らしをしたいところ。

ということで、今回は以前から宿題として残っていた福島・裏磐梯の西大巓(にしだいてん)に向かうことにしました。
この山は積雪期に何度か訪れていますが、晴れていたことがないんですよね〜
展望が良いらしいので、一度は晴れた山頂を踏んでみたいと思っていたのです。



■出遅れた…

西大巓は、日本百名山である吾妻連峰の最高峰・西吾妻山とセットで登られるのが一般的。
大半の方々のメインターゲットは西吾妻山なので、簡単に西吾妻山に到達できるコースとして山形の天元台高原から入山する人が多いです。

しかし自分としては展望のない西吾妻山は重要ではなく、今日の目標はあくまで西大巓。
冬道と夏道がどう違うのかにも興味があるので、いつものように福島のグランデコスノーリゾートからアプローチすることにしました。

グランデコスノーリゾート駐車場

ということでグランデコの駐車場へ。
ちなみに時刻はもう10時過ぎです。遅いですね。

いやっ、ゴンドラの運行が8:30からなので「今日は久々にのんびり出発だ〜」とか思っていたら、家を出たのが8時過ぎになってしまいまして…(;・∀・)

ゴンドラは16時で運行終了ですから、山にいられる時間は約5時間半。
西吾妻山まで足を延ばすのは無理かな…と思いながら、ゴンドラに乗り込みました。

ゴンドラ山頂駅へ

春にお世話になったゲレンデを見下ろしながら。
今はまだ初心者コースを滑るのが精一杯ですが、次のシーズンはレベルアップしたいものです。

ゴンドラ山頂駅

ゴンドラ山頂駅着、10:31。
冬道だとここから更にリフトに乗っていくのですが、夏道はこの山頂駅からスタートします。

時間が中途半端なので、周りに登山者はほとんどいません。
なんとなく焦燥感に駆られながらのスタートになりました。



■西大巓までは一気に

登山道は山頂駅を出て右手にあります。

西吾妻山登山口

なんかちょっと不安になる細道ですが(笑) ここが入り口。
出だしの10分ほどは見晴らしのいい道で、そこからは樹林帯に入ります。

登山道は岩だらけ

さて、この登山道ですが、久々にハードな道でした。

傾斜は男体山や富士山を優に上回り、その平均勾配はなんと27%。
地面は岩ゴロで一歩一歩の段差が激しく登りにくいですし、視界もほとんどなし。
行けども行けども傾斜も景色も変わらない単調な登りが延々と続きます。
こりゃ、久々の登山にしてはちょっとキツイぞ…

さらに、どうも雲が出てきてしまったようで、後方にあった磐梯山が見えなくなってしまいました。
展望が期待できないので、この時点で西吾妻山方面に行く気はゼロに(´・ω・`)


こうなったらもう今日は全力でトレーニングすることにしましょう。
登山も慣れてくると、目的地までの距離や標高差を自然に計算してペースを組めるようになってきますが、
今回はそれを無視して、休憩せずに登り切れる最大スピードで西大巓まで登り切ることにします。
道中にいらした何名かの登山者を追い抜き、一気に山頂を目指しました。

山頂直下は急勾配

そうして、ハイペースで1時間ほど登ると、ようやく視界が開けてきました。

西吾妻山は雲の中

右手には西吾妻山に続く登山道が見えていますが、その西吾妻山はガスの中です。
う〜ん、残念。

山頂まであとわずか

ともあれ、西大巓だけは登っておきましょう。
最後の最後、ようやく見晴らしが良くなった登山道を駆け抜けて…

西大巓・山頂

11:49、とりあえず西大巓の山頂に到着しました。

この山に来たのは三度目、山頂まで登ったのは二度目。
しかしすっきり晴れたことは一度もありません。
今日はいけるかな、と思っていたのですが、またも磐梯山すら見えませんでした。
うまくいきませんね…



■西吾妻山は展望がないけれど

しかし、そんな山頂でしばらく休憩していると、雲が少しずつ切れてきました。

西吾妻山へ

まだ西大巓からの展望はバッチリといえるほどではないものの、西吾妻山への登山道はすっかり見通せるようになっています。

こうなると、ここで降りてしまうのはもったいない気がしてきました。
西吾妻山に登るかどうかはともかく、この先は景色が良さそうなので、とりあえず向こうにある天狗岩というスポットまで行ってみることにします。
戻ってくる頃には、西大巓ももっと晴れてくれるかもしれませんしね。

登り返しが怖い

登山道は稜線の南東側をトラバースしているため、山頂からはだいぶ下ることになります。
せっかく稼いだ高度が…と思いますが、稜線には道がないので仕方ないですね。

なお余談ですが、積雪期はこのトラバース道は雪崩で危ないため、逆に稜線を通るルートがメインになったり。

西吾妻山への分岐

登り返してしばらく歩くと、天狗岩と西吾妻山への分岐にたどりつきます。
(ここまで、西大巓から30分ほど)

西吾妻山の山頂はもうすぐそこなので、せっかくですから寄っていきましょうか。

ここは百名山?

木道をしばらく進んでから山道へ。
ホントにここは百名山なのか!?と思うような草ボーボーの道(笑)を少し登ると…

西吾妻山・山頂

はい、西吾妻山の山頂に到着です(12:50)

見晴らしがないのはもちろんのこと、開けたスペースがこの画像に写っている部分しかなく、これまで登った山の中でも一二を争うほど寂しい山頂でした(^-^;
座れる場所もないので、他の登山者の皆さんも写真だけ撮って通過していきます。
自分もこの一枚だけ撮って、30秒も経たないうちに山頂を後にしました。



■日だまりの午後、秋の気配を感じて

とはいえ、山頂の展望がないのは分かっていたことなので、ここまではOK。
ここが目的地だと悲しくなりそうですけど、目的地はここではなく天狗岩です。

天狗岩へ

山頂を通過してそのまま進んでいくと、木々の間からその天狗岩が見えてきます。

天狗岩

山頂から10分少々で、天狗岩に到着。

…って、ここが天狗岩なのかは実は謎です。
西吾妻山から北方面に進んだところに、このような露岩地帯がありまして、地図を見るかぎりここが天狗岩だと思うのですが、
この辺り一帯を天狗岩と呼ぶのか、それともどこかに天狗岩という岩があるのかが分からないので…

ガイドブックにも明確に書いてありませんし、ネットで探したら自分の記事が出てくる始末(笑)
だめだこりゃ。
ということで、とりあえず今回はここを天狗岩と称しますが、信じないでください(;・∀・)

天狗岩から南西方面の展望
クリックで拡大(3847*600 976KB 画面下スクロールバーで右方向へ)

まあ名称はともかくとして、ここからの眺めが今回の山旅で一番の嬉しいサプライズでした。
見てください、この開放感!

ここまでの道中は(西大巓の山頂を除くと)視界が開けているところは少なく、西吾妻山の山頂にいたってはあの有様でしたから、
その反動か、こうして大展望が広がると余計に爽快感がありますね。
しかも木々はところどころ赤く色づき、単調になりがちな樹林帯の眺めにアクセントをつけてくれています。

米沢市

更に、北方には米沢市が望めます。
これまで登ってきた福島の山(磐梯山や安達太良山)からは、吾妻連峰が邪魔で山形方面はよく見えないのですが、今はその吾妻連峰にいるので視界を遮るものはありません。
山形方面は普段目にすることが少ないので、こうして見られるのはちょっと感動的ですらあります。

いいじゃん、いいじゃん、西吾妻山!(・∀・)
事前情報では山頂のあの展望のなさだけが印象的でしたから、ろくに下調べもせずに地図だけ持ってきたのですが、予想外の展望に恵まれて大満足だったのでした。

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この少し先に梵天岩というスポットがあり、そちらの展望もとても良いようです。
でも今日はゴンドラの時間も迫っていますし、天狗岩からの眺めで満足してしまったので、進むのはここで終了。
のんびりお昼を食べたら、西大巓に戻ることにしましょう。

素晴らしい雰囲気

天狗岩から「天狗岩/西吾妻山の分岐」までは、木道が整備されています。
そしてまた、この木道周辺の雰囲気が素晴らしいのですよ(^-^)

周囲に高い木がないので頭上が大きく開けていて、ここは北アルプスの雲ノ平かと思うような景色の中を歩いていきます。
山を覆っていたガスはすっかりとれて、風は穏やか。
降り注ぐ日差しも真夏のようなギラギラしたものではなく、心地よい暖かさです。

秋の山は日の入りが早くなりますし、少し天候が崩れただけで冬山のような厳しい状況になるため
夏山よりも危険性は増すわけですが、その反面、好天に恵まれた時の過ごしやすさは年間を通しても随一。
こうして今日は序盤の不安から一転、最高の登山日和となったのでした。

西大巓へ

木道を抜け、西大巓へ。
西大巓の山頂もスッキリ晴れています。今度こそ展望が期待できるかな!?

西大巓・山頂

14:08、西大巓に到着。

山頂を踏むこと三回にして、ようやくここからの景色を堪能できる機会がきました。
よく「西大巓の山頂は360°の眺望」なんて書かれていたりするのですが、自分には360°開けているようには思えませんでしたし、
大抵の写真も↑のような山頂だけの写真なので、具体的にここから何がどう見えるのか、一度撮っておきたいと考えていたのです。

西大巓・山頂からの展望
クリックで拡大(6065*600 2.08MB 画面下スクロールバーで右方向へ)

というわけで西大巓からの展望はこちら。
西吾妻山から始まり、沼ノ平火口が白く見えているのが安達太良山、そこから猪苗代湖を挟んで磐梯山。
写っていない真北方面はハイマツに遮られていて見えないので、北東から北西までおよそ270°に渡って見渡せる、といったところでしょうか。
遠方はかすんでいますけど、最初に来た時に比べればこれだけ見えただけで御の字です(^-^)

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山頂の雰囲気が良かったのでのんびりしつつ、茨城から来たという若い男性と少し山談義。
その方はまだ山歴は長くないのですが、この夏にはあっさり男体山に登ってきたそうです。

ちなみに自分は、初めて男体山に登った翌日は身体がズタボロで会社を休みました(笑)
若い人はさすがですね。まあ体型的にもスポーツマンっぽく、自分とはセンスが違う感じでしたけど。

ゴンドラ山頂駅

さて、後は下りるだけです。
急傾斜なので時間がかかるかな…と思いきや、下りは難しくなくポンポン下りられて、あっさりと山頂駅に到着。

〆はこれ

山頂駅横のレストランでお約束のコイツをゲットして…

ゴンドラ山麓駅

15:43、山麓駅に戻ってきました。お疲れさまでした。



こうして、予想外に楽しいものになった今回の登山。
西大巓だけで下山しなくて良かった…(;・∀・)

今回は天狗岩で引き返しましたが、梵天岩まで行けば一切経山方面に展望が開けますし、その先には池塘やお花畑もあるそうです。
夏は高山植物の宝庫になり、秋は紅葉が見事。
「展望のない山」と軽く見ていた頃とは一変し、またいつか再訪してみたい山の一つになりました。

それと余談ですが、グランデコ従業員の方々の接客態度にはいつも感心させられます。
正直、この時期は儲かっているとは思えないのに(しかも登山者はあまりお金を落とさないのに)、物腰は丁寧そのもの。
ゴンドラの従業員の方とか、10台に1人乗っているかどうかという客を見つけると乗車側から降車側に走ってきてくれたりしますからね。
歩いても余裕で間に合うのに、仕事にプライドを持っているんだろうなと思います。

冬も何度か来ていますけど、ここでは面倒くさそうに働いている人を見たことがなく、嫌な思いをしたこともなし。
単に登るだけなら天元台の方が楽ですが、気分がいいので次もこちらから登ろうと思います。
ゴンドラの料金も半額くらいですしね。


あ、ただ一つ心残りが。
帰りは隣のホテルグランデコの温泉に寄るつもりが、時間を考えておらず間に合いませんでした。
(日帰り温泉の利用時間は12:00〜16:00)
汚れたまま長時間ドライブしたくないので、ここで温泉に入れるなら願ったりかなったり。
次はもっと早くから行動しなくては(^-^;

EXIT