Snow Trekking | |
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甲武信ヶ岳 【日本百名山】 | 2012/12/31-2013/01/01 |
山梨県山梨市/埼玉県秩父市/長野県南佐久郡川上村 [2475m] | 所要時間:11時間48分 |
消費カロリー:計測せず | |
今度こそ雪山で年越しを! | GPSログ記録はこちら(別窓) |
■Introduction 毎年恒例(?)の「年越しを山頂で迎えよう」シリーズ。 去年は雲取山でしたから、今年は少しレベルアップしようと思います。 そこで選んだ山がこの甲武信ヶ岳。 雲取山よりも雪が多く、小屋が営業していて、山頂から富士山&ご来光が見える上に、北アルプスなどと比べれば厳しくない…と、今の自分たちにとってはまさに狙い所バッチリの山です。 …しかし実際のところ、幕営装備での雪山登山はやはりそう簡単にはいかなかったのでした… ※2日目へのショートカットはこちら。 1日目 12/31 (月) 【 西沢渓谷 → 甲武信小屋 】 2日目 1/1 (火) 【 甲武信小屋 → 甲武信ヶ岳 → 西沢渓谷 】 ★ 1日目 12/31 (月) 【 西沢渓谷 → 甲武信ヶ岳 】 今回の登山は冬場ということもあり、一番人がいそうな南方面からのルート、すなわち西沢渓谷→徳ちゃん新道で甲武信に登ることにします。 道の駅みとみでトイレをお借りし、そのすぐ先にある西沢渓谷の無料駐車場に着いたのが6:00頃。 さすがに年末年始に登ろうという人は多くないようで、駐車場は閑散としています。 ちょうど二日前に雪が降ったばかりなので、駐車場は完全凍結。寒さに震えながら装備を調えました。 そして背負ったザックはハンパない重さです(;・∀・) この年末年始は気温がかなり下がりそうなので防寒装備が多いのに加え、テントも冬用外張りや整地用のスコップが必要で、70Lのザックがパンパン。 重量は恐らく25kgを越えています。山岳部の方から見れば鼻で笑うようなレベルでしょうけど、自分としては思わずふらついてしまうほど。 今日は甲武信小屋まで1,400m近くも登らないといけないのに、この重さで大丈夫なのか…と、一抹の不安がよぎったのでした。 7:15、駐車場を出発。 まずは徳ちゃん新道の入り口(西沢山荘の手前)まで、舗装路を2kmほど歩いていきます。 しかし舗装路だといってなめてはいけない。 路面は前日ハンパに溶けた雪が再凍結してガチガチ。 ただでさえ冬用登山靴+激重ザックで歩きにくいのに、足下はツルツルでまさに三重苦です。 こけたらまともに受け身を取れるとも思えず、ねんざや骨折でもしようものならいきなり敗退… ということで、出だしからいきなり神経がすり減りました。 ■踏み込んだが最後 苦戦しながら歩くこと45分で、徳ちゃん新道の入り口に到着。 さて、本当に厳しいのはここからです。 この先、甲武信小屋までは標高差にしておよそ1,300m、コースタイムは5時間20分。 小屋までひたすら登りが続きます。しかも距離は5.5kmほどと短いため、必然的に傾斜は急になるわけで… Googleに「徳ちゃん新道」と入力すると、予測検索で「徳ちゃん新道 きつい」とか「徳ちゃん新道 急登」と出てくるように、その厳しさは山屋の間で広く知れ渡っています。 その急登を積雪期に70Lザックで登るのですから、今年一番のハードな行程になるのは確実。 コースタイムを巻けるはずもなく、6時間を越えるのを覚悟せねばなりません。 軽アイゼンを装着し、決意を固めて登山道に取り付きました。 林の中の急勾配な登山道をひたすら登っていきます。 ひたすら… ひたすら… ひたすら… うえぇ、分かっちゃいたけどこりゃきついわ… (;゚Д゚) しかも気温は朝からほとんど上がらず、木立を突き抜けて冷風が容赦なく吹き付けてきます。 冬山で汗だくになるのは危険なので行動着は軽装にしていまして、今のところ運動による発熱と風で冷やされる分がちょうどイーブンになっている感じですが、少し休んだりすると凍えてしまうきわどいバランス。 今は体力に余裕があるので多少バランスが崩れても何とかなりますが、後半は体温維持に気を遣わなければなりません。 後方を振り返ると富士山が見えてきました。 あの雲のたなびき方から見て、向こうも相当な強風が吹き荒れているようです。 ただ、今日は晴れているだけ救いなのかも。 この年末年始は天候が良くなく、北アルプスや八ヶ岳では初日の出を拝むのは絶望的。 比較的天気の良いここも29日まで大雪、晴れるのは31日と1日だけで、2日からはまた雪の予報でした。 その大雪のためか、28日に西沢渓谷から入山された方が一名遭難。 今日は我々の頭上を捜索のヘリが飛び回っていました。 午後4時頃に発見されましたが、残念ながら亡くなられてしまったそうです。 北アや八ヶ岳よりは厳しくないといっても、ここも標高2,000mを越える雪山。 夏山と違って、死はすぐ近くにあります。 少しでもリスクを下げるためにも、晴れているうちに小屋にたどり着かなくては。 10:54、近丸新道との合流点に到着。 徳ちゃん新道を登り始めたのが8:00なので、約3時間かかっています。 コースタイムは2時間半ですから、早くも30分ほど遅れてしまいました。 残りはコースタイムで2時間50分。今の体力から考えて3時間半はかかるでしょう。 まだ3時間半も登るのか…と思うと、気が遠くなります。 この辺りから積雪量が増えてきて、ハンパに凍っていたこれまでの道より歩きやすくはなりました。 しかし荷物の重さによる体力の消耗も尋常ではなく、ペースは落ち気味。 ネガティブですみませんが、自分は「こんな過酷な環境で頑張ってる俺かっけえ!」と思うタイプではなく、苦行を"楽しい"に変換できるマゾ的気質も持ち合わせていないので、この行程はただひたすらに辛かったです。 正直、もう帰りたいと何度思ったことか… でも、帰るには登りすぎてしまっていますし、こんなところで一晩耐えきる自信もなし。 ここまで来てしまったらもう登り切るしかないのでした。 展望の開けたところで、もう何回目かも分からなくなった休憩タイム。 日が昇るにつれ暖かくなるだろうという予想は外れ、気温は朝から全然上がりませんでした。 実際には上がっているんでしょうけど、高度上昇による低下で相殺されてしまっている感じです。 時刻は既に13時半を過ぎました。 冬山では午後になると急激に気温が下がりますから、時間がかかりすぎるのは危険です。 疲れた身体に鞭打って、最後の登りへ。 13:57、甲武信ヶ岳と破風山への分岐に到着。 そこから甲武信ヶ岳方面に15分ほど登ると、木賊山(とくさやま)の山頂に出ます。 そして展望のない山頂を抜けてさらに進むと… キタ―――(゚∀゚)―――!! ようやく甲武信ヶ岳が見えました。ここまで来れば小屋まではあと一息です。 しかし油断は禁物。ここから一度開けたところに出るのですが、風の通り道のようで暴風が吹き付けてきます。 その風の冷たさたるや尋常ではなく、体力もない今、これ以上冷やされるわけにはいきません。 広場を全力で駆け抜けて、どうにか樹林帯に逃げ込みました。 これでやっと一安心。後は林の中をトラバースしていくだけです。 こうして、14:29にようやく、ようやく甲武信小屋に到着しました。 ふうぅぅ〜、疲れたよ…! 駐車場を出てから実に7時間半。間違いなく、これまでの登山で一番疲れた登りでした。 ■無事に夜を越せるか…? さて、こうして一息ついたのもつかの間、今日の仕事はまだ終わっていません。 小屋で受付をしてテント設営を開始。 (小屋では年越しということで甘酒を振る舞ってもらいました。ありがとうございます!) まだ14時半だというのに、気温は既に−10℃。 早くテントを張って中に逃げ込まなくては…と、大急ぎで整地→設営を終えました。 ちなみにこの日のテントは、自分の分を合わせてもたったの3張り。 ここで年越しをするにあたり、事前にネットでテント泊の記録を探したところほとんど見つからなかったのですが、この状況ではそれも納得ですね。 テント場が埋まっていたらどうしよう…という心配は杞憂でした。 なお積雪の状況は毎年違うと思うのでご参考までですが、この日は少なくとも40cm以上の積雪があり、テントは冬用外張り+雪用のペグ(割り箸ペグとスノーアンカー)という完全雪山用で設営しました。 ----- テントを張っているうちに曇ってきてしまったのと、もう行動しようという意欲が全くないので、甲武信ヶ岳山頂には明日登ることにして今日はこのまま寝ます。 こうしている間にも気温は更に低下。 今回は装備万全とはいえ、これまでで最も寒い中での就寝になるので不安で一杯です。 果たして無事に夜を越すことができるのでしょうか… >2日目へ |
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