■Introduction
お盆休みに奥穂の山頂を踏み、大満足している今年の夏シーズン。
しかしその代償として、以前から痛めていた右膝の調子がかなり悪くなってしまいました。
これでは長時間の登山は無理。でもせっかくの夏ですから山には行きたい…
と考えた時に、こんな状態でも登れて、かつ以前から登りたいと思っていた山があるのを思い出しました。
それは栃木百名山の一つ、田代山。山頂に広い湿原が広がっている、湿原好きにはたまらない山です。
コースタイムは3時間半で、これなら今の膝でもなんとか登れるでしょう。
たまにはのんびり登山で、湿原散歩を楽しんでくることにしました。
※行程が短いのと古い記録なので、今回は超ダイジェスト版になります。
■登山口までが最大の山場
さてこの田代山ですが、行きたいな〜と思ったのはもうずいぶん昔のことです。
それにも関わらず今まで保留していたのは、この山、アクセスするのにちょっと苦労するんですよね。
登山口は猿倉登山口と言いまして、栗山舘岩線の途中にあります。
で、この栗山舘岩線は栃木から福島まで通じている道路なので、栃木県民としては栃木からアプローチしたいのですが、栃木側はなぜかやたら通行止めなのです。
ですから仕方なく福島側にまわるのですがまずこれが遠いし、そして登山口までの最後の10kmが未舗装路でして…
この未舗装路、当時はもう穴だらけだし路面はうねってるしデカイ石は落ちてるし…でヒヤヒヤでした。
普通車なら大丈夫、というレポを信じて行ったらマフラーをガンガン地面に擦る羽目になって恐ろしかったです。
路面状況は客観的な視点で書いてください…
この記録を書いている今(2014年)は当時に比べればだいぶマシになったようなのですが、それでもまだ「怖くてスピードが出せない…」というようなレポを目にしますので、特に車高の低い車の方は要注意です。
神経をすり減らすドライブを終えて、登山口へ。
登山口付近には駐車スペースが二つあります。登山口に一つ、その200mほど手前に一つ。
この写真は登山口の方ですが、手前の方が広いですし、そちらにはトイレもありますのでお勧めです。
登山口の看板。「田代山湿原まで2.0km 帝釈山まで4.5km」と書いてあります。
帝釈山には行かないので、今日は片道たったの2kmの登山。
あ〜、気合いを入れなくていい登山は久しぶりだ〜!
では早速出発… とその前に、登山口にあったストックに関する掲示を一つ。
クリックで拡大(1072*712)
山の自然環境への負担を極力かけない登山を心がけましょう。
皆さん一人一人の山への気遣いで貴重な自然を守りましょう。
この時は無人でしたが、南会津町の方がここで啓蒙活動をされていることもあるようです。
地元の方の山を愛する思いを踏みにじるような行為は慎みましょう。
そもそも、ここはストックが必要な山じゃないですので。
■会津の山
では改めまして、6:40、登山開始。
登山道はこんな雰囲気で始まります。しばらくは展望のない樹林帯歩きで、何というか、いかにも会津の山という雰囲気です。
この山は栃木県にまたがっていますが、何かが栃木の山とは違うという印象でした。
自分は植物に関しては無知なのに、何かが違うと思ってしまうということは、会津の山には特徴があるんでしょうね。それが何なのかは分かりませんが…
尾瀬もこんな雰囲気で、久々にこういう山に来たなぁ、と思いながら登っていきます。
登山道は全般的に細め。下の方は完全に林の中なので風が吹かず暑いです。
そこそこ急登で汗をかきそうなので、できれば朝早いうちに登り始めると快適な登山になるでしょうね。
この日も、こんな時間にも関わらずもう降りてくる人がいるくらいでした。
1時間ほど登るといったん開けた場所に出ます(7:35)ここが小田代湿原です。
ここからは快適湿原歩きかなと思いきや、登山道は再び林の中へ。
ただ、ここからは頭上が開けて、見通しが良くなってきます。
後方を振り返るとかなたにぼんやり浮かぶのは高原山の姿。
そして南方には日光表連山(女峰、大真名子、男体、太郎)が見えます。
日光連山を裏から見るのは初めてかも。
こんな感じで、飽きることなく登っていけます。
ただ、やっぱり日差しが強いと暑いかも…
田代山は標高1,971mで、このように標高2,000mに満たない中級山岳は、真夏の昼間に登るのは少々厳しいですね。
帰路では登ってくる方々と何度もすれ違いましたが、皆さん暑い暑い!と連呼されていました。
早く出てきて良かった(;・∀・)
こうして15分ほども登ると、やがて前方が開けて…
ポンッ、と田代山湿原に飛び出したのでした(7:51)
■黄緑色の楽園
こうしてたどり着いたお目当ての湿原は、予想以上に広大。
一枚の写真ではとてもこのスケール感を表現できないので、少し進んだところでパノラマを撮ってみました。
クリックで拡大(6496*600 1007KB 画面下スクロールバーで右方向へ)
左側の木道の向こうから来て、中央の木道を進んでいくことになります(一方通行です)
尾瀬のように山に囲まれた平地が湿原になるのは分かるのですが、こうして山頂が湿原になっている光景は自分にとっては不思議で、とても珍しい眺めでした。
湿原を吹き抜ける風が心地よく、もうこの時点で来て良かったなと(^-^)
展望を満喫しながら、のんびりと木道を歩いていきます。
弘法沼と呼ばれる地塘を右手に眺めながら進んでいくと…
田代山の山頂標識があります。
ここには三角点があり、標高は1,926mとのこと。でも明らかにこれから進んでいく左手の方が高いですよね。
一番高いのはこの先の弘法大師堂があるところで、そこの標高が1,971mなんだそうです。
黄緑色に埋め尽くされた湿原を、弘法大師堂に向かって。
ふと下を見れば、水辺では植物が色鮮やかに短い夏を楽しんでいました。
高層湿原の夏は短いです。6月はまだ雪が残っていますし、9月になれば一足早く秋の装いになりますから、見頃を狙うのは難しく。
今は8月も下旬ということでピークを過ぎた感はありますが、それでもまだ草花は原色の輝きを見せてくれてラッキーでした。
それに、空には登山者の味方であるトンボ様がたくさん。
湿原は水場ですからどうしても羽虫が多く、アブやブヨが乱舞している頃はもう虫を追い払うので一杯一杯になったりするのですが、そんな羽虫たちもトンボの出現と共に数を減らしていきます。
もともとトンボは好きな虫ではあるんですけど、登山を始めてから改めてそのありがたみを実感。
ありがとう、君達のおかげで今日は快適だよ!(・∀・)
湿原入り口から30分ほどで、弘法大師堂(避難小屋)にたどり着きました。
(弘法大師堂の写真は撮り忘れ)
この時は工事中でしたが、今はここに立派なトイレがあるそうです。
ここからは帝釈山への登山道が延びているのでちょっと様子を見てみましたが、出だしが↑のような道でして、ああこれは今の膝で歩きたい道じゃないな、と即Uターン(笑)
今日はピークハントをしにきたのではなく湿原を見に来ただけなので、帝釈山に未練はないのでした。
ということで、湿原の残り半分をゆっくりゆっくり歩き、心残りのないよう充分に湿原を満喫してから帰路に。
9:53、猿倉登山口の駐車場に戻ってきました。
朝ここを出てから3時間13分の山旅。うん、たまにはこういうのんびりした登山もいいですね。
膝も痛くならなかったし、湿原が思っていたよりずっと広くて大満足です。
停まっている車の数を見れば分かるように、地味ながら人気の山。
アクセスは良くないけれど、訪れるだけの価値のある山だと思います。尾瀬国立公園に編入されたのも納得でした。
栃木とは一風異なる雰囲気を持つ会津の山々。次は会津駒ヶ岳にも行ってみたいと思います。
■余談
帰路は塩原温泉・華の湯に立ち寄り。
ここは大きい施設ではありませんし、これ!という特色もないものの、なぜか居心地が良くてつい寄りたくなってしまう温泉の一つです。
お湯は一部加水循環のようで入浴料もやや高め(\700)ということで温泉というよりも入浴施設の趣ですが、そのせいか空いていてのんびり過ごせるのがメリットですね。
(と思ってネットを見ていると、週末は混むというレビューも。自分はいつ行っても風呂に5人以上いたためしがないんですが…)
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