Trekking【日本百名山】 | |
---|---|
鹿島槍ヶ岳 | 2011/10/08-09 |
富山県黒部市/立山町/長野県大町市 [2889m] | 所要時間:17時間13分 |
黎明の北アルプスはかくも美しく | GPSログ記録はこちら(別窓) |
■Introduction 9月の西鎌で凍える夜を経験し、今年の北アルプスはもう打ち止めだと思っていました。 しかし、一気に冬に向かって突き進むかに見えた季節はいったん足踏み。 多少の降雪はあったものの気温は下がらず、体育の日の三連休は快晴の予報。 どうやら、北アルプスはもう一回だけ登るチャンスをくれるようです。 そしてもう一回、もう一山登れるのなら、行くところはあの山しかありません。 それは去年、日帰りにチャレンジするも悪天候で敗退した鹿島槍ヶ岳。 はたして今度は晴れてくれるのでしょうか…? ※2日目へのショートカットはこちら。 1日目 10/8(土) 【 扇沢 → 冷池 】 2日目 10/9(日) 【 冷池 → 鹿島槍ヶ岳 → 冷池 → 扇沢 】 ★ 1日目 10/8(土) 【 扇沢 → 冷池 】 今回の登山も、一番オーソドックスなコース… すなわち 扇沢から種池山荘を経由して鹿島槍ヶ岳を目指すことにします。 初日は冷池山荘のテント場で泊まり、翌日、山頂まで往復してから扇沢に戻るプランです。 扇沢の駐車場に着いたのは金曜日の深夜。 車内でしばし仮眠を取った後、4:55、駐車場を出発しました。 ※ちなみに鹿島槍の登山口は、扇沢駅から少し大町方面に戻った橋の脇にありまして その周囲にも駐車スペースがあるため、鹿島槍に登るのならそちらに停めた方が近いのですが、 そちらの駐車場の方が早く埋まるのと、トイレの利便性を考えて 自分はいつも扇沢駅の駐車場に停めるようにしています。 少し登ると、早くも空が明るくなってきました。 前回は小雨の降る中をトボトボ歩いたものですが、今回は上々の滑り出しですね。 さて、登山口から最初のチェックポイントである種池山荘までは、およそ1,100mの登り。 テン泊装備でいきなり1,000mオーバーの登りとくれば、いつもならいきなりバテバテで もう辛いとか帰りたいなどという言葉が並ぶことになるでしょう。 しかし、今回だけは違います。 なぜならこの登山道は、安心、快適の柏原新道。 北アは登山道の整備が行き届いていて、一般的な登山道はおおむね歩きやすい道ばかりですが その中でもこの柏原新道の歩きやすさは群を抜いています。 その理由はというと、とにかく段差がないこと。 本来段差があったであろうところは、全て岩でうまく埋められているため 足を大きく持ち上げなければならないような場面は一切ありません。 おかげで、ゆるやかな斜面をただ歩いていたらいつの間にか1,000m以上登っていた――― そんな感覚になります。 登山口から種池山荘までの6km以上の山道をこれだけ整備するというのは 考えただけでも気の遠くなる作業ですよね。関係者の方々の苦労には頭の下がる思いです。 ですので道中では何の苦労もなく、したがって書くこともないのですが しいていうとこのガレ沢は少し注意が必要です。 めったに崩れてくることはないでしょうけど、多人数のパーティで登る時は 全員で一気に通過せず、上の様子をよく観察するようにすべきですね。 ということで、全く疲労感もなく種池山荘にとうちゃ〜く!(8:45) あ、そうそう、柏原新道は前述の通りゆるやかな傾斜が続きますが 出だしと、この種池山荘の手前だけは少々きつい登りになりますので ペース配分には気をつけてください。 ■気分はヨーロッパアルプス さすがに三連休だけあって、種池山荘は大賑わい。 あまりのんびりしている状況でもないので、軽く食事を取ったらすぐに出発しましょう。 ここからは正面の爺ヶ岳を経由して、冷池山荘を目指します。 稜線に上がると、左手前方に鹿島槍の姿が見えてきました。 天気はまさに快晴! テン場までは問題なく行動できそうです。 そして振り返れば、立山・剱の勇姿が(゚∀゚) 数日前に降った雪と、種池山荘の赤い屋根のコラボによって それはまるで本場ヨーロッパアルプスを眺めているかのようでした。 ただですね… 爺ヶ岳の登山道は稜線の北側についているため、この辺りになると残雪が出てきました。 これがまた中途半端に滑ってヒヤヒヤもの。 テン泊ザックで転ぶのは御免こうむりたいので、爺ヶ岳・南峰は華麗にスルー(;・∀・) あっさりと巻き道を選択します。 とはいえ、このまま爺ヶ岳のピークを全部巻いていくのも芸がないですね。 爺ヶ岳を目指して登山する方も多いですし、前回はガスガスで全く何も見えなかった 爺ヶ岳・山頂からの展望も目にしてみたい… ということで、中央峰には登っておきました(10:20) クリックで拡大(3430*600 803KB 画面下スクロールバーで右方向へ) うんうん、いい眺めですね。日帰りでここに登るだけでも楽しそうです。 ■橋を架けてくれ〜! さて… 扇沢を出てからここまで、およそ5時間半。 いくら柏原新道が反則級に楽な道といえども、テン泊ザックでの長時間行動で さすがに疲れてきました。 しかし行く先に目を転じてみれば、登山道はここから急降下。 鞍部である冷乗越まで落ちていった後、今度は一転、冷池山荘まで登り返すことになります。 しかも、今日のゴールであるテン場へはそこから更に登ることに。 (冷池山荘の真上の稜線に白く見えているところがテント場) 今すでにテン場と同じ高さまで登ってきているのに なぜわざわざ降りて登り返さなければならないのか――― いつものことながら、こういう光景を見ると登山の不条理さを感じずにはいられません(笑) 誰か、ここからテン場まで橋を架けてくれー! しかも、写真だといかにもポカポカ陽気のように見えると思いますが ここは10月の北アルプス、そうは問屋が卸しません。 実際には東側から冷たい風がビュオオオォォォォ〜!と容赦なく吹きつけてくるのです。 ぎゃあぁ! こりゃたまらん! ということで、冷池山荘についた時にはもう疲労困憊(11:42) ただ、ここで倒れるわけにはいきません。まだ一仕事残っているのですから。 山荘でテン場の申し込みを終え、フラフラしながら登ること数分で… ついたぁぁ! ようやくテン場に到着です。 あ〜っ、最後はきつかった… さて、何はさておき、まずは今宵の宿を設営しましょう。 このテン場はあまり広くなく、また稜線を切り開いて作られたテン場ですので 水平な場所は数えるほどしかありません。 到着が遅くなると、かなり斜めったところに張らざるを得ないことになりますから 斜めだと寝られない方は、早めの到着を心がけた方がいいと思います。 実際この日も、自分たちが着いた時にはまだスペースがあったのですが 夕方頃には傍目に見ても「あれじゃ寝られないよな…」と思うような場所に 仕方なく張っているケースが目立ちましたので(;・∀・) ----- こうしてテントを張り終える頃になると、辺りはガスに包まれて 折角の展望がなくなってしまいました。 気温も10℃を切ってしまって寒いので、今日はそうそうに眠りにつくことにしましょう。 ただ、ここで注意しなければならないことがもう一つ。 それはいつトイレに行くかということです。 なんせ、トイレに行くということはすなわち、山荘まで降りるということですからね。 (テン場にはトイレはないのです) 往復だと10分を越えますし、疲れますので、できれば何度も行くのは避けたいところ。 しかも、ただ疲れるだけならともかく、この山荘⇔テン場間の道は少々危険なのです。 道中、東側が切れ落ちている部分がありまして… 事実かどうかは分かりませんが、ここで滑落して亡くなられた方もいるとか。 意識明瞭ならまず落ちないとしても、夜中に寝ぼけ眼で歩くのはイヤなので うまくタイミングを計らなければ… >2日目へ |