Trekking
燧ヶ岳   【日本百名山】2010/07/18
福島県南会津郡檜枝岐村 [2356m]所要時間:6時間25分
消費カロリー:3577kcal
尾瀬が最も鮮やかに彩られる季節GPSログ記録はこちら(別窓)

尾瀬沼東岸より燧ヶ岳を望む

■Introduction

待ちに待った梅雨明け宣言。
ここからいよいよ本格的な夏山シーズンの開幕です。

今年は北アルプスに初挑戦する予定ですが、その前に準備運動を…
ということで、梅雨明け一発目は、去年至仏山から眺めて
いつか登りたいと思っていた尾瀬の燧ヶ岳に挑むことにしました。

至仏の時は盛夏だったため、尾瀬の花々はだいぶ散ってしまっていましたが
今年はちょうど花盛りの時期。その意味でも楽しみです。



■朝日に輝く湿原

今回は、御池から沼山峠を経て一旦尾瀬沼に出た後、長英新道を通って燧に登り、
そこから御池まで下りる、というルートをとることにしました。
そこでまずは御池に向かいます。

…しかし、この西那須野塩原IC→御池間がそれはもう遠くて…
ICを降りてから、国道400号→121号→352号、と走ること約117km。
普段下道の長距離を走ることがないので、これがとっても辛かったです。
帰りもありますから、ドライバーは交代要員を用意しておいた方が無難かも。

御池駐車場

尾瀬御池の駐車場に辿り着いたのは5時頃。
アプローチの悪さを考えれば、それなりに早く着いている方だと思うのですが
それでも駐車場にはギリギリ停められた、といったところでした。
やはり、みんな梅雨明けを待ちわびていたようです。

ここからはバスで沼山峠へ。そしてそこから尾瀬沼までのハイキングになります。
この沼山峠から尾瀬沼までは、まず最初に樹林帯の登りがありまして、
木道歩きとはいえ、人波にもまれながら見通しの利かない中を淡々と登っていくのは
ちょっとだけ疲れるかも知れません。
もっとも、尾瀬沼への行程で登りはここだけなので、この程度の苦労がないと
ハイキングにしては物足りなくなるでしょうし、このくらいでちょうどいいのかも。

やがて視界が開けると、そこは大江湿原です。

湿原へ

ん〜! 清々しい夏の朝ですね−!
空の青さや湿原の緑が目に眩しく、梅雨が明けたことが実感されます。
木道上は相変わらず混んでいますが、それでも先ほどまでの山道に比べれば
人の密度はだいぶ下がり、快適になってきました。

燧ヶ岳

そしてしばらく歩くと、右手に今日の目的地である燧ヶ岳が見えてきます。
いくつものピークがありますが、今日登るのは右のピークである俎ー(まないたぐら)。
中央奥に見える、最高峰の柴安ー(しばやすぐら)に登るかどうかは
俎ーに辿り着いた時に決めることにしています。

尾瀬沼が見えてきた

やがて遠くに尾瀬沼が見えてくる頃になると、足下がニッコウキスゲで埋め尽くされるように。
去年の尾瀬ヶ原は枯れ野原のようでしたから、いい季節に来られたな、と
余計に感動が増します。これはもう、絵ハガキの世界のようですね。

ニッコウキスゲ

爽やかな夏の朝



■夏山で初めてスパッツを使った…

余りに雰囲気が良かったので、尾瀬沼まで足を伸ばしてしまいました。
もうこれで半分満足した気分でしたが、今日の目的はあくまで登山。
と言うことで、戻って燧ヶ岳に向かいましょう。

長英新道入口

長英新道の入口はこちら(目立たないので、見落とさないようにご注意を)。

長英新道は、最初のうちはとにかく斜度がありません。ほとんど平坦地を歩いている感覚。
歩いても歩いても角度が変わらないため「本当にこれは山頂に向かっているのか…?」と
一抹の不安を抱いたりしますが、疲れにくい、いい登山道だと思います。

ただ…

ぬかるみ地獄

先日に降った雨のためか、登山道はご覧の通りぬかるんでいます。
これがもう半端でなく、登り初めからず〜〜っと何kmもぬかるみの状態。
写真の場所は木があるからまだ救われますけど、
どうして泥沼に足を踏み入れなければならない場所も数え切れないほどありました。

長英新道には登山道特有の厳しい岩場などはないため、道の状態が良ければ
ローカットのトレッキングシューズや、それこそスニーカーでも山頂まで行けるかも知れませんが、
こんな泥炭状態だと、どうしてもハイカットのシューズが必要になってきますね。
実際、最後の頃はもう避けるのが面倒になって、泥沼を突っ切って歩いていました。
こんな時、浸水しないゴアの靴は本当に助かります。

それと、パンツの裾が泥だらけになるため、スパッツも必須でしょう。
個人的に、晴れた登山道にもかかわらず、中高年ハイカーがスパッツを着けている光景を
目にすると、何とも言い難い気分になるのですが(何か考えて装着しているとは思えないので)、
ここに関して言うなら、絶対に持ってきておいた方がいいです。
帰りの車内が悲惨なことになりますからね。

視界が開けてきた

そんな長英新道も、ミノブチ岳が近づくにつれて徐々に傾斜を増してきます。
ただこの頃になると視界が開けるため、気分はむしろ高揚してくるのでした。

俎ー

俎ーが見えてくる頃はそれなりの急登になり、登山道は渋滞気味になります。

こんな時、道を譲ってくれない集団がいると困るものですが、
逆に譲ることに慣れているオバチャン達の厚意にも、時には困らせられることがあります。
こちらはオバチャン達と比べてそれほど体力的に優れているわけでもないのに
「特急が来たわよ〜! どいてあげて!」と、集団に譲ってもらってしまうと、
急いで追い抜いてあげなければ、という心理になって、すごく疲れるんですよね(^-^;
「いや! 各停ですから! 鈍行なので!」って言ってみても、若いから〜と一蹴されるし…
いやいや、若くないって! オッサンですから!!(笑)

そんなこんなで無意味にヘトヘトになりながら、ミノブチ岳に到着(9:59)

ミノブチ岳

俎ーへの最後の登りを前にして、ホッと一息付けるスポットです。
頭上に雲が流れているので暗くなっていますが、
実際には爽やかな風が吹き抜けて実に心地いい場所でした。

眼下には尾瀬沼が広がっています。

尾瀬沼
クリックで少し拡大(903*600 183KB)

夏!ですね(^-^)

ただ唯一気になるのは、虫の多さ… 特にこの辺りは半端ないです。
虫除けは絶対に忘れないようにしましょう。



■熊沢田代はまさに天上の楽園

さて、それではいよいよ今日の目的地である俎ーに向かいましょう。

俎ーへ

と言っても、実際には俎ーはもうすぐそこです。
最後が岩場の急登なので少し渋滞していました。

俎ーから柴安ーを望む

俎ー到着、10:49。長英新道を登り始めてからおよそ2時間50分。
高低差700m弱の登山の割には意外と疲れたかも。

でも、頭上から降り注ぐ夏の日に照らされて鮮やかに輝く尾瀬の全景は
これこそ夏!と感じさせてくれるもので、夏山大好き人間にとっては
これ以上の眺めはない、と思うほどでした。

なお、目の前に見えているのは燧ヶ岳の最高峰である柴安ーで
ここから往復するのは大した労力ではありませんけど、
渋滞で時間がかかりそうなので、今回は止めにしました。

なにせ、この俎ー山頂でさえ…

俎ー山頂は大混雑

この有様ですからね(^-^; さすが百名山、恐るべし。

ということで、昼食を採ったら即座に下山開始です。

俎ーから尾瀬沼を望む

下りながらも、目は周りの風景に奪われて…
う〜ん、夏ですね−! この季節が来るのを毎年ずっと待ってるので、感無量です。

ここから熊沢田代への下りは、一部、ルートが分かり辛いところがあります。
道中に立看板など注意書きがあるはずなので、見落とさないようにご注意を。

残雪

それと、7月だとまだ雪渓が残っていることがあります。
緩傾斜なので滑っても途中で止められそうですが、ストックがあると安心ですね。

そうこうしているうちに、熊沢田代が見えてきました。

熊沢田代

この熊沢田代、尾瀬のガイドブックなどで写真を目にしたことがある方も多いかと思いますが
実際に見てみると予想以上の綺麗さでビックリ。
樹林帯を抜け出して目の前にこの風景が広がった時は、思わず「うわぁ…!」と呟いたほどでした。

ワタスゲはそろそろ終わりかけですけど、それでも十分満足できる光景でした。
暑すぎない日差しと、澄んだ空気… 二つの池塘の上を爽やかな風が吹き抜けていきます。
もうずっとここに住んでいたいと思うほどの、まさに天上の楽園でした。

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ただ、楽だったのはここまで。
ここから広沢田代を通って御池駐車場に戻るまでの下りは、
疲れた身体にはとてもハードだったのです。
自分の乏しい登山経験の中で、もう二度と歩きたくないと思う下りルートは
今のところ、鳳凰三山の中道の下りと、ここだけ…
ここは距離で言ったらそんなに長くないんですけど、岩が多くてペースが上がらないんですよね〜
濡れてて滑るから神経も使いまして、下りきる頃にはヘトヘトでした。

御池へ帰還

そんなこんなで、這うように御池の駐車場に辿り着いたのが12:58。
下りは辛かったなぁ… お疲れ様でした。



とまあ、最後はなんかブルーな感じでレポが終わってしまいましたけど、
今回のように天気に恵まれれば、日本でも指折りの美しい景色に出会えることは保証できます。
前年の尾瀬が枯れ野原のようだった反動で、こうも鮮やかな緑を目にできて感無量でした。

…あ、ただ、西那須野塩原ICまでは遠いですから、下山で体力を使い切らないように(^-^;

EXIT