Snow Trekking | |
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那須岳(峰の茶屋) | 2010/03/14 |
栃木県那須郡那須町 [1725m (峰の茶屋)] | 所要時間:3時間31分 |
ザックザクにしてやんよ! | GPSログ記録はこちら(別窓) |
■Introduction 先月、東篭ノ登山のクラスト斜面ですっかり雪山にビビった僕は、アイゼンを購入しました。 そして、新しい道具を手にしたら早速使ってみたくなるものですよね(本末転倒な気もしますが) ワカンはないので、あまりラッセルせずに登れる雪山を探してみると… あ、そうだ、近くにちょうどおあつらえ向きの山があるじゃないですか! ということで今日は、那須岳の峰の茶屋まで雪山散歩に出かけたのでした。 ■天気は上々、今日なら行けるか…? 最近の山行記録は「寝坊して…」という出だしがやたら多くなってしまっていますが、 今日に至っては登山口(大丸駐車場)着が何と10:30です。遅すぎるだろJK… と言っても今日は寝坊したわけではなく、家で天気図とライブカメラを見ながら、う〜んう〜んと 悩んでいたのです。上では「雪山散歩」なんてお気楽な書き方をしていますが、実際のところ 冬の那須岳ではもう何名もの方が命を落とされているように、本来なら僕のような雪山入門者が おいそれと一人で入山できる山ではないんですよね。 でも今日は、天気図を見る限りでは風もなさそうで絶好の登山日和ですし、ライブカメラでも 珍しく晴れた那須岳が見えていましたので(このライブカメラで那須岳が晴れて見えるのは稀) 少しでも危険な兆候を感じたら即撤退、という制約をつけてやってきたのでした。 那須ICから17号→ボルケーノハイウェイを通って駐車場へ。ここまでは雪なしでした。 那須岳へのハイキングは通常、この上にあるロープウェーを使うか、 その先にある「峠の茶屋駐車場」から出発する事になるのですが、冬期はこの先が通行止めのため ここを起点として登山することになります。トイレや売店もあって便利です。 駐車場係のおじさんと少し話してみると、 時間が時間なので今から上(頂上)までは厳しいかな…ということでしたが やはり今日は那須岳にしては風は強くないようだ、とも言われました。 うんうん、やっぱりそうですよね。ということで少し安心して準備を整えました。 ■まずは峠の茶屋まで行ってみよう さて、それではいよいよ登山…もとい、雪山散歩を開始しましょう(11:03) 駐車場向かって右奥に登山道入口があります。 登山道は、蛇行する車道を突っ切ってほぼ真っ直ぐに峠の茶屋駐車場に向かっていきます。 (歩行距離は長くなりますが、もちろん車道を通っていっても構いません) 登山道入口で早速アイゼンを装着。 ちなみに今回購入したアイゼンは、BlackDiamondのコンタクトストラップです。 これは文字通りストラップで装着するもので、三期用の登山靴でも使用できるのがメリット。 2009年にリニューアルして、刃が錆びにくいステンレスになりました。 おおっ、ステンレスの刃が日の光に煌めいてかっこいいですね! ちなみに、身も蓋もない事を言ってしまうと、もうお昼近くで雪が溶けてきたこともあり こんなところを歩く分にはアイゼンは全く要りません。 ただ、今日の目的は、僕にしては珍しくピークハントではなくて「アイゼンで雪山を歩くこと」の 効果や弊害(≒疲労)を体感することですから、いきなりアイゼン歩行をすることにしたのです。 …で、しばらく登ったところで、ずいぶん今日は眩しいなあと思ってふと気づいたんですが サングラスを忘れてました。危なかった…(^^; 一旦車にサングラスを取りに戻って再出発。だいぶ時間をロスしてしまいました(11:20) ----- 那須岳の主峰である茶臼岳を左手に見上げながら、高度を上げていきます。 この日は気温が5℃もあり、急ぐと汗だくになってしまうので、のんびり、のんびりと。 アイゼンの刃が雪に刺さる感覚が気持ちいいです。 余談ですが、この日の上半身のレイヤリングは、フラッドラッシュスキン+ジオラインM.W.+ R2+ドリューパーカだったんですけど、この気温ではR2は完全にオーバースペックですね。 シャミースで十分だったなぁ… ドリューパーカはベンチレーター全開ですけど、それでも暑すぎでした。 峠の茶屋駐車場着11:52。 冬期閉鎖解除が一週間後に迫っていることもあって、だいぶ地面が見えていますね。 ただ、那須岳全体に雪が少ないのかと言えばそんなことはなくて、例えば道標などはこのように すっぽり埋まっていたりしますから、雪解けはまだまだ先なんでしょうけど。 ■予想外に楽なアイゼン歩行 ここからは売店の前まで上がって、夏道をトレースしていきます。 さすがに那須岳で最もポピュラーなルートだけあって、踏み跡はバッチリ。 ラッセルも全く必要ありませんでした。 これから目指す峰の茶屋までのルートには、傾斜の厳しいところはありません。 峰の茶屋直前では少し雪渓をトラバースしなければなりませんが、そこ以外はスノーシューでも ツボ足でも余裕で歩くことができるでしょう。 でも、そんな雪道をアイゼンで歩くと、これはこれで効果がないというわけでもないのです。 傾斜が緩いと言っても一応斜面ですから、ツボ足で歩けばほんの少しではありますが滑ります。 この「ほんの少し滑る」というのは、雪国育ちの人や、雪山に慣れている人なら 特に気になるものでもないんでしょうけど、 僕はどうしてもそれが気になって、足に変に力が入るため この歩き方をずっと繰り返していると無駄に疲労してしまいます。 しかしアイゼンなら滑りませんから、雪道だと意識することなく普通に歩くことができるのです。 アイゼンが必要ない場面でアイゼンを履くデメリットは、主に「重い」という点と 「ひっかけて転倒すると危険」という点が挙げられると思いますが、 前回まで両足で2kg近いスノーシューを履いて歩いていたのと比べれば、コンタクトストラップの 820gなんぞは、ものの数に入りません(笑) ※SW-7Mが無駄に重いわけではなく、大抵のスノーシューは2kg弱くらいの重量なのです。 それともう一つの「ひっかけ」ですが、これは10本爪のコンタクトストラップを 選んでいる時点で、ほとんど心配ありません。 僕は山歩きで足先を反対側の足に掠めることは良くあるため、どうなるのかと 敢えてガニ股にせずに歩いてみたりもしましたが、刃が靴の外に出ていない構造なので 予想通りひっかけることはありませんでした。 前爪をひっかけるとか、よほどとんでもない歩き方をした場合には この限りではないでしょうけど(^^; そんな感じで、初のアイゼン歩行はとても好印象だったのでした。 しばらく登っていくと、やがて正面右手の鞍部に峰の茶屋跡避難小屋が見えてきます。 この辺りは雪が薄く、ところどころ地面が露出しているためアイゼンをどうするか迷いました。 結局、アイゼンのまま突破しましたが、新品のアイゼンの刃が早くもすり減ったような気がする… それと、ここから風の通り道になりますから、さっきまでの平穏な雪山散歩とは打って変わって 突然暴風を浴びる事になります。5℃と言っても風は冷たいですので、耳や手などの保温対策は しっかりとしておきましょう。 強風を耐えながら、なんとか峰の茶屋に到着したのは12:44。 中は結構混んでいそうだったので、外のベンチで昼食休憩にする事にしました。 寒いわけではないので、風さえ防げれば外の方が気持ちがいいかも。 ■那須高原に向かって一直線 さて、茶臼岳を見上げつつ、これからのプランを考えてみます。 ここから山頂まではさほどの距離ではありません。しかし時間は既に1時ちょっと前ですから 僕の自主規制である「下山開始は遅くとも1時半」にはさすがに間に合わなさそうです。 それと、風がちょっと半端なく強いです。 駐車場係の方が仰っていた通り、「那須岳にしては」穏やかな方だとは思いますが (本当に強い時は、匍匐でも前進できないほどだそうで…) そうは言っても、直立した姿勢を維持できないほどの風が吹いているのです。 先ほどの登りの途中で、山頂から下山してきた方に訊いてみたところでは 「山頂の方は(峰の茶屋辺りに比べたら)まだ穏やかですよ」とのことなのですが、 ここから山頂を見ていると… 【この動画】(WMV9/2.95MB)を見て頂ければ少しは伝わりますでしょうか。 山腹から吹き出している噴煙の流れっぷりが笑えるほどです。 それと、この音はノイズじゃなくて風の音だったり(^^; 今日はピッケルも持ってきていませんし(というか持ってない)、万一滑落したりすれば 関係者に多大な迷惑をかける事になりますから、今日は大人しくここで帰ることにしました。 アイゼン歩行の様子見という当初の目的は果たせましたしね。 ----- ということで、小屋から少し上がったところで恒例のパノラマ写真を撮って撤収します。 クリックで拡大(4802*600 960KB 画面下スクロールバーで右方向へ) ※今回は、前述の通り立ち姿勢を維持できなかったために、いつもより歪んでしまった結果、 空の一部をレタッチで補正しています(=描いています)。上の方は見ないで下さい(T▽T) そうだ、余談ですけど、ここからは茶臼岳の他に、反対側の朝日岳へも登山道があります。 この朝日岳への登山道は、峰の茶屋から剣が峰をトラバースするルートでして 無雪期なら別に難しくないんですけど、冬場に同じ道を通ろうとすると… (矢印の上にうっすら見えるのがトラバースルートです) 怖っ(lll゚Д゚)!! いやいや無理だから! みんなよくあんなところ通れるよなぁ… 高所恐怖症の僕としては、ピッケルがあっても 絶対通りたくないルートです。百歩譲って単に通るだけなら通れたとしても、対面から人が来たら 斜面の途中でどうにもならなくなるでしょうし(^^; あんなところで方向転換はとてもムリ。 どうしても朝日岳に登りたくなったら、反対側の清水平から登ることにしようっと。 ----- さて、話がそれてしまいましたが、それでは下山を開始しましょう(13:30) 下りは風が適度な追い風になるので楽なものです。 それに、目の前には那須高原のダイナミックな眺めが広がっていて気分も上々。 ただ、落石にだけは気をつけました。この道中ではあまり停滞しない方がいいでしょうね。 後はもう降りて行くだけ。途中で無意味にアイゼンを付け外ししたり、峠の茶屋(13:53)で 小休止してみたり、なぜか異様に存在感のあるカーブミラーを撮ったりと 無駄に時間がかかっている気もしますが、14:24に駐車場まで戻ってきました。 これで今日の行程は終了です。さらば那須岳、また来る日まで。 アイゼンを使っての初めての雪山登山に臨んだ今日でしたが、天候に恵まれたこともあり 特に大きな問題もなく下りてこられたことは収穫でした。 もちろんこれで何か雪山の登山技術が身に着いたわけではありませんから これからも行けるのはある程度難易度の低い山に限られますが、 アイゼンがあることで、今までよりも安心して歩ける部分が確実に増えるのは助かります。 それにしても、アイゼンで雪の上を歩く感覚っていうのは新鮮で面白いですね! 来週あたりもまたどこかに行ってみようかなぁ… |