Snowshoeing
日光 小田代ヶ原2010/01/16
栃木県日光市所要時間:4時間6分
スノーシューイングの世界にようこそGPSログ記録はこちら(別窓)

泉門池近くの分岐

■Introduction

暖冬という長期予報とは裏腹に、今回の冬は日本各地で多くの積雪が見られています。
冬の間は低山歩きで我慢すると決めた僕でしたが、せっかく積もったこの雪を活かさないのは
それはそれでもったいない気がします。
しかし、だからといっていきなり雪山登山というのはあまりにも無理がありますよね。

そんなとき、たまたまAmazonで\5,880という激安のスノーシューを見つけました。
これならお試しで買ってみて、もし失敗しても後悔が少なそうです。
そして、栃木には戦場ヶ原/小田代ヶ原という絶好のスノーシューイング・フィールドがあります。
となれば、黙って見ている手はないですね!
ということで今年は、スノーシューイングにチャレンジすることにしたのでした。



■三本松駐車場は-10℃

今日のコースは、赤沼→小田代ヶ原→泉門池→光徳入口、を計画しています。
そこでまずは三本松の駐車場に向かいました。

赤沼発なのになぜ三本松なの?と思われるでしょうけど、赤沼の駐車場は冬期は閉鎖されますから
赤沼茶屋周辺にはせいぜい10台程度しか停められないんですよね(停めていいのかどうかも不明)
駐車に神経を使うのは嫌なので、何の気兼ねもない三本松の県営駐車場に停めることにしたのです。

この時期の奥日光の運転は結構大変。
いろは坂は、大雪の後でもない限りは路面が見えるのでまだいいんですが
竜頭の滝から先辺りは圧雪路になるので、スタッドレスだと急傾斜カーブの上り下りが
ちょっと怖いです(><)

三本松・県営駐車場

三本松県営駐車場着9:11。
冬晴れの空と、凛と張り詰めた空気が気持ちいいです(^-^)
出かけてきて良かったと思う瞬間ですね。

三本松駐車場には売店・トイレがあり、売店ではスノーシューのレンタルもしていますから
冬の奥日光ハイキングでは基点にすると何かと便利です。あとは光徳、湯元辺りでもいいでしょう。
ちなみに、売店のではなく、県営駐車場側のトイレは、以前は冬期閉鎖と聞いていたのですが、
今日訪れてみた時は開いていました。暖房も入っていましたから改装したのかも知れませんね。
ありがたいことです。

風はさほど強くありませんでしたけど、吹きさらしにじっとしているとさすがに寒いので
車を盾にして、風下側でいそいそと出発準備を開始。
なお、この時、話のネタで気温を測りたかったため、温度計が付いているザックを
風上側に置いておきました。
そして、これが後で思わぬ悲劇(喜劇かも)を招いたのでした…

結局、この日の気温は-10℃。先日、たまたまライブカメラで見た日の最低気温は-17℃でしたから
-10℃というのは奥日光にしては暖かい日なのかも知れませんね。

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ところで、冒頭で書いた激安スノーシューはこちらになります。

DOPPELGANGER スノーシュー SW-7

DOPPELGANGER(ドッペルギャンガー)の2009-2010年モデル、SW-7M。
本格的な山登り用、いわゆるアセント系スノーシューが\30,000〜\40,000もするのに対し、
平地歩き限定のコイツはたったの\11,025と、庶民にはとてもありがたい価格設定になっています。
さらにAmazonで47%OFFの\5,880でしたから、反射的にポチってしまいました。

アセント系と比べればクランポンがいかにも心許ないですし、ヒールリフターもありませんけど
今日のコースはほとんど平地ですから、コイツでも何とかいけるのではないかと…
実際使ってみて果たしてどうなのか、不安半分、期待半分といったところです。



■赤沼から新雪のフィールドへ

スノーシューイングとはいえ、雪原に向かうとなると、さすがに準備は大変ですね。
夏山トレッキングのようにすぐに歩き出すというわけにはいかず、結構時間を食ってしまいました。
ということで9:35、赤沼に向け出発。

で、いきなりネガティブな話になってしまいますが、三本松から行動を開始する場合は
ここから赤松や光徳入口に移動する際に、国道(120号)を歩かないといけません。
これは三本松の唯一のネックですね〜
道幅は広いので、端を歩いている分には車の邪魔にはなりませんし、通行量も少ないですけど
なにぶん圧雪路ですから車がまっすぐ走ってくれるとは限らないわけで、ちょっとヒヤヒヤします。

ツボ足で歩くこと約15分で、赤沼に到着。
ここからいよいよスノーシュールートが始まります。

赤沼(麓方向から)

左端に少し見えているのがトイレで、トイレの前の駐車スペースはトイレ使用時限定の仮置き用。
右側には赤沼茶屋があり、冒頭で書いた10台程度停められる〜というのはそちら側になります。
さすがに少ししかない駐車場は一杯でした。

左側に写っている東屋を使わせてもらって、ここでスノーシューを装着します。

ちなみに、僕は三期用の登山靴しか持っていません。
スノーシューはサイズさえ合えばどんな登山靴でも使用できるのですが、
雪の中を歩き回る以上、今の登山靴では浸水が不安です。
一応ゴアですけど、もう年期入ってるしなぁ…

そこで、今回はモンベルのシンプルオーバーシューズも併用しました。

SW-7M & シンプルオーバーシューズ

これで防水面は完璧です。通気性や透湿性は恐らくゼロですが(ただのナイロンの袋だし)
今日は4時間程度のウォーキングの予定ですから問題ないでしょう。
\2,205の安物にしてはインクブルーの輝きが結構いい感じで
思ったほど安っぽく見えないのもグッド。

ここには結構人がいまして、皆、思い思いの格好でコースに繰り出していきます。
ざっと見た感じ、スノーシューが7割、その他はスパイク長靴やアイゼンといったところでした。
目的もスノーシューイングから、雪原ハイク、写真撮影と様々なようです。

さて、それでは僕もいよいよ雪原へ歩き出すことにしましょう!



■雪原ウォーキングは最高!

慣れないスノーシューを履いて恐る恐るコースに乗り込んでみると、そこは一面の雪の中。

樹林帯の中は風もなし、音もなし

雪国の方にとっては迷惑でしかない積雪も、普段雪に触れない僕の目にはとても新鮮に映ります。
樹林帯の中のため無風である上に、他のパーティとも散り散りになって辺りは静まりかえり
足を止めると、真っ青な冬晴れの空から降り注ぐ日の光と、これ以上ないくらい
澄み切った空気だけが自分を包み込んでいて…
日常では絶対に遭遇することの出来ない世界がそこにはありました。

やばい、もう楽しくなってきた!

ルート上には一定間隔でピンクのリボンが結ばれているので、道迷いの心配はありません。
この辺りは多くの人が通るルートですから、トレースがしっかりしていて
スノーシューのメリットは活かされないのですが、それでも
スノーシューでポコポコ歩いているだけで、なんだかとても幸せな気分になってきます。

僕は、周りからは結構思い切りのいい(無鉄砲とも言う)人間だと思われているみたいですが、
実のところは、山行の前は必要な装備の値段を見て購入を躊躇していたり、
当日朝も、眠いから今日は行かないことにしようかな、なんて逡巡していたりします。
でも、そうした悩みを振り切って実際に出かけてきてみると、ほとんどの場合は
期待していた以上の満足感を得られるんですよね。
今回も、もうこの時点で、来て良かったなと思っていたりしました。

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ところで、ここで一つアクシデントがありました。
それは、いつものようにハイドレーションからエネルゲンを飲もうとした時のことです。

あれ? なんか吸えないぞ…?
どういう訳か、開栓状態になっているのに、吸っても吸ってもエネルゲンが出てきません。

あれれ? なんでだろ… と思ってよく見たら 凍ってるし!
まだ歩き出して間もないのに、こんなに早く凍るものかなぁ…と思って冷静に考えてみたら、
三本松で気温を測る時に風上に置きっぱなしにしていたことを思い出しました。

そりゃ凍るわ_| ̄|○

幸い、凍っていたのはマウスピースの部分だけだったので(ホースの中は半凍結状態)
マウスピースを外して何とか給水することができて一安心。
最近は給水をすべてハイドレーションに頼っているため、これが使えなくなるとヤバイのです。
次は気をつけよう…

小田代ヶ原の南端を歩く

防鹿柵のゲートをくぐると、小田代ヶ原東側を北上する道と、南側を周回する道に分岐します。
天気もいいし体力も十分でしたから、ここは南コースへ。
この辺りになると人も少なくなりトレースも減りますから、たまに膝まで潜ったりします。
でも、こうしてパウダースノーと戯れるのも楽しいものですね(^-^)

ここから一旦車道に合流してしばらく歩いた後、再び防鹿柵をくぐると小田代ヶ原見晴台に到着。
ここまで、赤沼から約一時間半の道のりでした。(11:32)

小田代ヶ原展望台
クリックで拡大(2658*600 600KB 画面下スクロールバーで右方向へ)

手持ちパノラマですので、なんだか傾いていますがご愛敬(^^;
ここからは小田代ヶ原が一望できます。日光連山もクリアに見えていて気分爽快ですね!

…でも、今日はこれとはまた別にとっておきのパノラマがあるのです。それはまた後ほど(^-^)



■泉門池でランチ

ここからは小田代ヶ原の外周を歩いて、次の目的地である泉門池(いずみやどいけ)に向かいます。

三本松にいた頃はちょっと懸念していた今日の風は、もうすっかり穏やかになりました。
時折、外山の方から思い出したように風が吹きつけてくると、木々に積もっていた粉雪が
日に照らされてキラキラ輝きながら舞い降りてきて、寒さよりもむしろ心地よさを感じます。

小田代ヶ原を北上中

小田代ヶ原はご覧の通り柵沿いを歩きますので、道迷いの心配は皆無です。
また、小田代ヶ原を含めた今回のコースでは、分岐には必ず周辺地図が用意されていますし
トレースもしっかりしていますから、不安になることはないでしょう。
これでコースはほとんど平坦、見晴らしも十分と来ますから、まさにスノーシューデビューには
うってつけのフィールドだと言っていいでしょう。
何人かの方とすれ違いましたが、皆さんそれぞれ楽しそうです。


見晴台から30分ほど歩くと、小田代ヶ原東側から北上してきた道と合流し
更にそこから北へ20分ほど進んだところが、泉門池になります(12:27)

泉門池

今回のルート上で明確な休憩場所があるのはここだけということもあり
ランチ休憩の方々で賑わっていますね。僕もここで昼食にすることにしましょう。


エクステンションパッド 30

以前、赤薙山で雪の上に直接ビニールシートを敷いて座ったら寒かった(当たり前だ)ということが
ありましたので、今回から↑の「エクステンションパッド30」(モンベル)を導入しました。
断熱パッドは他にも選択肢がいくつもありますけど、これは今後購入予定の
U.L.コンフォートシステムパッドに連結して使えるので一石二鳥なのです。
値段も\1,400と安価ですしね。

それと、先日から使い始めたテルモス(山専ボトル)は、まさにこんな時のためにあるようなもの。

山専ボトル FEK-500(バーガンディ)

今回はさっぱりしたものが飲みたかったので、クノールのオニオンコンソメを入れてきました。

登山したことがある人はよく経験されているかと思いますが
山で食べる食事は不思議と旨いものですよね。
僕は子供の頃、何度か那須の三斗小屋温泉に連れて行かれたことがあり、
その道中の河原で飲んだオニオンスープの旨さが異常だったことが強烈に記憶に残っていました。
ただの粉末のスープなのに… その後、下界で何度か飲みましたが、当然と言えば当然ですけど
別に特筆するほど美味しくはないのです。
今回のオニオンコンソメも、家で飲む分にはまあ普通の味だったのですが…

ここで飲んだら これがまた超ウマい!

氷点下の世界で冷えた身体に、玉葱の旨味が染み渡っていきます。
こりゃたまらん(゚∀゚)
樹林の中なので風に吹かれることもなく、澄んだ日の光を浴びながら
のんびりと至福のランチを満喫できたのでした。



■帰路は戦場ヶ原を一望

さて、そろそろいい時間になってきましたので、今日はこの辺で切り上げることにしましょう。
湯滝まで行ってみたい気もしますが、それはまた次の機会のお楽しみということで。

ここからは戦場ヶ原を横切って、光徳入口に向かいます。
ちなみに戦場ヶ原は木道歩きになり、階段や小さな坂も多いので少しアクロバティックになります。
スノーシューだと木道の上を歩くのは大変ですね。踏み外さないように注意していきましょう。
なお、泉門池にいた他のパーティは赤沼に向かって南下したのか
これ以降は人には会いませんでした。

樹林帯の中をのんびり歩いて行くと、やがて視界が開けて戦場ヶ原に飛び出します。
木道は戦場ヶ原を横断していて、周りは湿原ですから当然視界を遮るものは何もなく
まさに360°の素晴らしい眺めになります。空の青と雪の白のコントラストが気持ちよかったので
何とかの一つ覚えでアレですが、320°程度のパノラマを作ってみました。

戦場ヶ原展望
クリックで拡大(4567*600 1008KB 画面下スクロールバーで右方向へ)

画面左の尾根から少し頭を出しているのが太郎山。
そこから右に小真名子、大真名子、男体山ときて、案内板の向こうにあるのは高山、
画面右端にそびえているのが外山。
ここからは見えませんが、その外山の奥には前白根、奥白根が控えています。
しかしこうして見ると、湯元から外山尾根を通って奥白根に向かうのはかなりハードそうですね…
去年の奥白根はロープウェイのお気軽登山だったため、今年は下から行こうと思ってたんですけど
僕の体力だと厳しいかも知れません(^^;


ここまで来たら今日の行程はもう終わったようなものです。
再び樹林帯の中に入り、木道を降りて少し歩けばそこはもう光徳入口(13:25)

光徳入口

後はもう車道を南下していくだけです。
もうスノーシューは要りませんが、外すのが面倒なのでそのままパタパタと歩いていきます。
15分ほどで無事、三本松に戻ってきました。これで今日の行程は終了です。

三本松駐車場に帰着

こうして、初のスノーシューイングは大満足の一日になりました。
やっぱり雪の中を歩くのは、低山ハイキングとは全く違った感動がありますね。
歩いた距離にしたら10kmたらずなので、ハイキングなら物足りない気分になるものですけど
今日はとても充実した気分で帰路につくことができました。

それと、ドッペルギャンガーのスノーシューが、平地を歩く分には十分だと分かったのも収穫です。
次はちょっとした登山にチャレンジしてみようかな、なんて考えてみたり。

ただ一つ、平地の10km歩きにしては帰宅してからの筋肉痛が結構きつかったです(^^;
やっぱり足に重りが付いていると、知らず知らずのうちに疲労が蓄積していくものなんですね。
でも、これはこれでいいトレーニングになるのかも。

EXIT