Trekking
赤薙山   【栃木百名山】2009/11/07
栃木県日光市 [2010m]所要時間:4時間22分
雪化粧の日光連山をちょっと覗いてみようGPSログ記録はこちら(別窓)>>

赤薙山 山頂

■Introduction

今年、一度行ってみたいと思っていたのが、霧降高原からの女峰山でした。
しかし、もたもたしているうちに表日光連山はすっかり冠雪してしまいまして、
こうなるともう、僕の技量・知識・装備では女峰山には登れません。

ただ、実際に雪が積もった日光の山がどれほど寒いのかは体感してみたい気がします。
それに、来年、このルートで女峰に登る場合、行程が長いので歩き出しは夜明け前になるのですが
一度も歩いたことのない道をヘッドランプで歩くのは少々不安です。

そこで、女峰とはいかないまでも、その手前の赤薙山まで行ってみることにしました。
赤薙山なら霧降高原から二時間程度の距離ですし、危険な箇所もほとんどなさそうです。
もちろん、天候悪化の予兆があれば、途中でも速やかに下山することにしましょう。



■霧降高原はガラガラ、天気は快晴!

前日は職場の飲み会で真夜中に帰宅しましたから、当然寝過ごして起床は6時に。
これが女峰だったら、もう登り始めていないと間に合わない時間ですね。
でも、今日は赤薙山なのでこれでOKなのです。

日光の紅葉シーズンが終わったため、日光宇都宮道路はいつもの平穏さを取り戻していました。
霧降高原道路もガラガラ。というか、この時期の霧降高原は見所がないですからね(^^;
そんな訳で特に苦労することもなく、8:40頃、元霧降高原スキー場の第三駐車場に到着。

駐車場から小丸山、赤薙山、丸山を望む

霧降高原から赤薙山を目指す場合、この駐車場が最も登山口に近い駐車場になります。
トイレもあって便利です。
ニッコウキスゲのシーズンには空き待ちで大渋滞になるこの駐車場も、
今日は登山者のものと思われる数台が停まっているのみでした。

それにしても素晴らしい晴天です! これならしばらく天気は大丈夫そうですね。
ちなみに今日の目標の赤薙山は、上の写真の中央のピークです。
その左手にある草原のような斜面は、元霧降高原スキー場のゲレンデだったところで
そのピークが小丸山。赤薙山へは、小丸山を経由して行くことになります。
なお、右手前の山は丸山。こちらは、帰路で余力があれば寄ってみることにしましょう。



■実は意外と大変な小丸山への登り

さて、準備も整いましたので、9:02、いよいよ登山開始です。
ネットで他の方の山行記録を見ましたが、この駐車場から赤薙山登山道までの取り付きが
いまいちよく分からなかったので、その部分だけ詳細に書いておきますね。

まず、トイレの左手にある地下通路を通って道路の下をくぐります。
階段を上がって(左手に大山ハイキングコース入口がありますが無視)旧ゲレンデ方面に少し進むと
右手に丸山ハイキングコース入口があります。ここが、赤薙山・女峰山への登山道入口になります。

丸山ハイキングコース入口

って、全然迷う要素がないですね(^^; 案内図に赤薙山も書いてあるし…

ちなみにここから小丸山まではリフトがありますので、行程を短くしたい場合は
リフトを利用を使うのも手です。
ただ、リフトは冬期は運行していないのと、営業時間が朝8:30からなのでご注意を。
今年は11/3、つまりつい4日前に営業終了になってしまったので乗れません_| ̄|○

※聞く話によると、リフトは平成22年度で運行終了のようですね。
 その後、このニッコウキスゲの名所を日光市が観光地として
 どう活用していくつもりなのか、興味深いところです。


※(2013/11/2追記)現在はリフトは廃止され、再整備されました。
 この頃とは様相が変わっていると思うので「キスゲ平園地」などをご参照ください。

小丸山への登山道

小丸山までは樹林帯の登りになります。
この登山道、以前はだいぶ荒れていて通過するのに難儀したようなのですが
今はよく整備されていて、技術的には特に苦労することなく歩けるようになっています。

ただ、時間帯が微妙に遅いため、雪が溶けかけていて滑る滑る!
一足ごとの段差が大きい箇所も多々あるので、足下が不安だと注意が必要でやけに疲れます。
傾斜も、最初の頃こそ緩やかなものの、小丸山に近づくにつれて徐々に傾きを増してきて
山頂直下では結構な急坂になったり…
そんな訳で、ハイキングコースの割には随分と体力を使う行程になりました。
他の方の感想を見ていると、赤薙山頂上直下の急坂がきつかった!という意見が多いようですけど
個人的には、今日の行程で最も疲れたのはここでしたね。


さてさて、汗だくになりながら登ること40分ほどで
最初のピークである小丸山に辿り着きました(9:50)

小丸山(キスゲ平展望台)

この小丸山の斜面である旧スキー場ゲレンデは「キスゲ平(キスケ平とも)」と呼ばれているために
この山頂は「キスゲ平展望台」でもあります。
所詮リフトで辿り着けるようなしょぼい展望台でしょ、と思うなかれ。
ここが意外にも素晴らしい展望ポイントなのです。

展望台からの眺望
クリックで拡大(4433*600 967KB 画面下スクロールバーで右方向へ)

…と言っても、この写真じゃ上手く伝わらないかも知れませんね。
恐らくシーズンには観光客で賑わうであろうこの場所も、今日は人影一つなく
それどころか赤薙山、丸山を含めて周囲には誰もいないようです。
この「山を独り占めしている感覚」になれるのは単独行の大きなメリットだなぁ、と
改めて思ったのでした。

風もほとんどなく、穏やかな日差しに包まれながら日光市街を眺めてしばし休憩。
なんとも気持ちの良い"非日常感"を味わうことが出来ました。



■いよいよ山頂へ…しかし積雪が

気分が良かったので、写真撮影だけのつもりが10分ほどの小休止になってしまいました。
それでは、いよいよ赤薙山(パノラマ写真中央のピーク)へ向かいましょう。

ここからはしばらく見晴らしの良い稜線歩きになります。
踏み跡が縦横無尽にあって、どれが本来の登山道か分かり辛いことを除けば、傾斜も緩やかですし
のんびりハイキング気分で登っていけるでしょう。
…と言いたいところですが、登山道は周囲よりくぼんでいる=日陰になっているので、雪が溶けずに
積もったままなんですよね。
で、これが結構馬鹿にできないくらい積もってまして、場所によっては膝まで潜ったりします。

登山道は雪だらけ

全部が全部こんな状態ではないので、突破は出来ましたが
せめてスパッツくらい持ってくれば良かった… と反省しきり。

そんなこんなで悪戦苦闘しながら焼石金剛を通過し(10:33)
10分ほど歩くとコメツガ林に入ります。

コメツガ林。濃霧時は要注意

ここは"山と高原地図"でも【迷】マークがついている通り、明確な踏み跡もありませんし
一見してどこが登山道なのか分かりにくいところですが、最近はプレートが整備されているので
晴天時であれば問題なく通過できるようになっています。ありがたいことですm(__)m
もっとも、基本的に稜線歩きですので、登りの時は高い方を目指せばいいだけですから
迷うほどでもないでしょうけどね。
反面、下りの時にガスに包まれたりすると結構怖そうです。

さて、道迷いの不安からは解放されたわけですが、このビミョ〜に残った雪がまた滑るんですよ…
このコメツガ林後半は、駐車場から赤薙山山頂までの間で最も急傾斜なので
辛いと言われるポイントだったりしますが、
僕はそれ以前に、楽に通れるルートファインディング(=要するに先行者のトレース探し)や
次はどこに足を置けば滑らないか、なんて考えながら、極めてチンタラ進んでいましたので
傾斜がどうとか感じる余裕はありませんでした(^^;

ちなみに、どうも足跡を見ていると、滑っているのは僕だけっぽいです。
何か歩き方に問題があるのかも?

巻き道への分岐

なお、山頂の下には巻き道への分岐があります。
女峰山への縦走の時はショートカットに使えそうですが
今回は赤薙山がゴールですので、そのまま急坂を登っていきます。
すると、前方に鳥居が見えてきました。あれは、もしかして…

赤薙山山頂、到着

やっぱり山頂ですね! 11:01到着、お疲れ様でした(^-^)
山頂はご覧の通り樹林帯の中で展望はありませんし、登り始めてから二時間も経っていませんから
いつもの登山であれば達成感はあまり感じられないような状況ですが、
今日は初めての雪道登山だったためか、妙に大冒険したような気分になっている自分がいたり(笑)

ちなみに、展望がないと言っても全く何も見えないわけではなくて、写真の右奥にある木の隙間から
女峰山を眺めることはできます(足下注意!)

女峰山はまだ遠く

こうしてみると、改めてこの霧降ルートは長いなあと実感します(女峰山は中央のピーク)
来年は、是非ともあのピークに立ってみたいものです。体力作りに頑張らないといけませんね。



■帰路は丸山へ寄り道してみよう

さて、山頂でお昼を食べて一息つきました。
時間的にはもう少し進んでもOKなんですが、少しガスってきましたので
当初の予定通りここで引き返すことにしましょう。
ということで、11:16、下山開始。

※余談ですが、雪の上にビニールシートを敷いて座ると寒いですね…
 当たり前と思われそうですけど、敷物のことまで頭が回っていませんでした。
 次はそれなりに断熱を考えた敷物を用意しないと。

下りは、道や距離が分かっている分、登りより心理的に楽になります。
問題は庚申山で痛めた右膝で、下りになるととたんに痛みが出てくるのですが
いろいろ試行錯誤したところ、何回か屈伸運動をすると15分ほど痛みが治まるようです。
治っているわけではないですから、これでごまかしているのが良いのかどうか微妙ですけど
とりあえず今回はこれで凌ぐことにしました。

尾根の下り。左手には高原山も

コメツガ林を抜けた後の尾根の下りは見晴らし抜群で、楽しく歩いていけました。
左手奥に高原山も見えますね。
今日は少し霞んでいますけど、空気が澄んでいたら最高の展望になりそうです。


ところで、この下山ルートは、キスゲ平から少し上の所に、丸山への登山道の分岐があります。
体力は全然使っていませんし、まだお昼になったばかりで下山するのはもったいないですから
ここは一つ、丸山にも登ってみることにしましょう。

丸山。結構高いように見えるけど…

分岐には立派な道標がありますので、無雪期なら見逃すことはありません。
道標によると丸山まで550mだそうで、距離としては全然大したことはないですけど
上の写真のように、丸山は見た目的には結構なインパクトがあって、ちょっと大変そうに思えます。

…でも実際登ってみると、案外あっけなく到着してしまうのでした。
ということで丸山山頂到着(12:22。分岐から約15分)。登山道はよく整備されていますし
特に難しいところも、長い急坂もありませんでした。まあ、ハイキングコースですからね。

ちなみに、赤薙山を振り返ってみると…

赤薙山はガスの中

こんなことになってました。長居しなくて正解でしたね。
穏やかだった空も、この頃になるとだいぶ風が出てきて、雲行きも怪しくなってきました。
天気が決定的に悪くなる前に、とっとと下山してしまいましょう。

※そうそう、書いていなかったレイヤリングについてですが、
 結局この日は寒くなかったので、上半身は
 ・ベース:フラッドラッシュスキンメッシュT(ファイントラック)
 ・アンダー:ジオライン L.W.ラウンドネックシャツ(モンベル)
 ・ミッド(実質アウター):ジオライン・3Dサーマル ロングスリーブジップシャツ(モンベル)
 という、ほぼ夏山装備で問題なく行動できてしまいました。
 寒いと思ったのは、この丸山山頂で強風を浴びていた時だけでしたね。

 ただ、停滞用に保温性の高いミッドレイヤーが一つ欲しいな、とは思いました。
 手持ちのライトシェル・アウタージャケットは、防風性は高くても保温性はさほどではないので
 本格的に気温が低くなってくると、これだけではいささか厳しくなりそうです。


さて、そんな訳で、景色を眺めてのんびりする余裕もなく、即時撤退開始しました。

駐車場が遠く見えます

ここからまたキスゲ平に戻るのは芸がないので、このまま進んで丸山の北東側斜面を下り、
八平ヶ原を経由して帰ることにしましょう。
出発地の駐車場は見えてますし(画像中央やや右)、もう大した距離じゃないですしね。

…と思って進んでみると…

踏み跡が…

こちら側は人通りが少ないのか、前回の刈り払いから日が経ったためかは分かりませんが
こんな感じで、登山道がいまいち不明瞭になっていました。
道自体は分からないほどではないのですが、足元が見えないのが困りもの。
凍結した階段があったりして危なかったので、恐る恐る進むことになり
大分時間をロスしてしまいました。


もっとも、その苦労も八平ヶ原まで。そこから先は道も明瞭になりました。
八平ヶ原から"小丸山への登山道"に合流するまでの時間が、地図でイメージしたよりずいぶん長くて
ひょっとして道を間違えたのかと思いましたが、よっぽど道路に降りてしまおうかと思った頃に
ようやく登りの時の登山道に合流し(13:11。八平ヶ原から約20分)、あとは一気に
駐車場まで駆けおりました。

ということで、13:24、第三駐車場着。今日の登山はこれで終了です。

標高1335m

ちなみにこれは駐車場から道路を挟んで反対側にある標識。
今日はだいたい700mほど登ったことになりますね。9時からの登山にしては十分、十分(^-^)

これで駐車場から赤薙山までのルートは分かりましたし、
この時期にはもうとても女峰には登れないことも実感できましたから、
今日の登山は自分にとってはとても有意義なものになりました。
(今日までは、登れないことが理屈で分かっていても体感で分かっていないので
 何とか登れないのかなぁ、なんて毎日悶々としていたのですが、これでスッキリしました)

来年、再びここに来る時は、いよいよ女峰への挑戦になります。
それまでにしっかり体力をつけておこうと心に誓ったのでした。

EXIT