Trekking
高原山(釈迦ヶ岳)【栃木百名山】2009/09/13
栃木県日光市/矢板市/那須塩原市/塩谷町 [1795m]所要時間:5時間17分
高原山の盟主の名は伊達じゃないGPSログ記録はこちら(別窓)

八海山神社

■Introduction

近場の何気ない山であっても、毎日眺めていると何となく登りたくなってしまうものです。
通勤中に嫌でも目に入る高原山は、僕にとってそんな山でした。

いつかあの山頂から麓を見下ろしてみたい…そう思い続けて早三年。
ついに積年の想いを果たす日がやってきました。
中級山岳である高原山は、先週の富士登山のクールダウンとしてはもってこいですしね。
では、いざ行かん、あの頂へ。



■大間々駐車場に吹き荒れる暴風

今日の目標である高原山最高峰の「釈迦ヶ岳」への登山道は、大きく分けて二つあります。
一つは日塩もみじラインから鶏頂山を経由するコース、そしてもう一つが矢板市側の大間々から
八海山神社を経由するコースになります。
今回は矢板市側から登ることに決めましたので、まずは八方ヶ原を通って大間々台駐車場に向かいましょう。

東北道矢板ICを降りて県道30号線を泉交差点で左折、県道56号線に入って八方ヶ原を駆け上がります。
この県道56号線(塩原矢板線)は、漫画「頭文字D」でいうところの東堂塾のホームコースで
日曜の早朝ということもあって、夜の峠で燃え尽きた走り屋さんが次々と帰って行くところでした。
僕の車は一般人から見ると結構アレな見てくれになっているのですが、
走り屋さん達はどこで判断しているのか(車高かな?)、同類だとは思わなかったようで
あまり興味を持たれませんでしたね。

さて、このまま直接大間々台駐車場に向かってもいいのですが(というか向かったのですが)、
大間々台のトイレは「水不足で浄化できないため使用を自粛して下さい」とのことでしたので
まずは56号線沿いにある「山の駅たかはら」に寄っていきます。
食堂・トイレ完備で、八方ヶ原周辺散策の拠点にすると便利です。
ただ、営業時間がちょっと短いのが玉に瑕。

ということで、ここで準備を整えた後、改めて大間々台駐車場へ(7:52)

大間々台駐車場

ヤシオツツジのシーズンには争奪戦になるこの駐車場も、今の時期なら余裕で停められます。
…と思いましたが、下山の時は結構混んでいたようなので、それなりに早く向かった方がいいかもですね。
この下の駐車場である小間々からここまでは結構な距離がありますので。

とまあ、ここまでは良かったのですが…

高原山がたまたまそうなのか、それとも県北の山全体がそうなのかは知りませんが、
車外に出るとやたら風が強いのです。
夏山だし、晴れてるし、しょせん中級山岳でしょ…ってことで、上半身のレイヤリングは
先週の富士山と同じく、アンダーにTHE NORTH FACEのLightWeight S/S Crew、
その上にIGNIOの吸汗速乾半袖シャツ(半袖)という軽装なんですけど、これだとちょっと厳しいかも…

あああ、せめて長袖にしてくればまだ違ったのに〜!(朝、どっちにするか悩んだのです)と
後悔するも、まさに後の祭りですね。
まあ、そうは言っても、行動中は何とかなるだろう、と思うことにします。
最悪、耐えきれなくなったらレインウェアに頼ることにしましょう。



■眼下に広がる雲海

登山道はここを起点に、「見晴らしコース」と「林間コース」に分岐します。
山登りは綺麗な景色を見てこそ!が信念である僕は当然見晴らしコースを選択。
駐車場からしばらくは平坦な林道歩きで、10分ほど先に登山道入口があります。

見晴らしコース登山道

ここからはしばらく樹林帯の登りが続きます。
…って樹林帯? え〜と… あの〜、見晴らしは? 俺の見晴らしはどこに!?
何だよ〜看板倒れだよー!(T▽T)

もっと展望のいい中を登っていけると思っていたので意気消沈。
大した登りではないんですけど、なんだか妙に疲れる気がします。
でも、そんな道をトボトボと20分ほど登っていくと…

見晴らしコース尾根道から
クリックで少し拡大(903*600 182KB)

「うおっ!?」 思わず小さく叫んでしまいました。
"八海山神社まで0.8km"の道標があるところから景色は一変、一気に視界が開けます。

でも、驚いたのはその展望にではなく、見下ろした平野が一面の雲海に包まれていたこと。
いっぱしの山屋さんには珍しくもない光景なのかも知れませんが、
先週の富士山のような標高の高いところならともかく、こんなたかだか海抜1500m程度の尾根道で
雲海が見られるというのは、自分にとってはまさに衝撃的な出来事だったのです。

雲海に浮かぶは筑波山
クリックで少し拡大(903*600 102KB)

ちょっと霞んでますけど、雲海の向こうには筑波山が浮かんでいます。
こりゃすげー! と、さっきまでのトボトボ歩きはどこへやら、
知り合いへ写メを送りまくったりしながら(迷惑だw)テンションMAXで
一気呵成に八海山神社に到着しました(9:02)

八海山神社

八海山神社からの展望写真は帰路の方で載せますが、とにかくこの尾根からの眺めは最高の一言。
尾根自体の傾斜は緩やかなものの、背の高い樹木がないため視界を遮るものが何もなく
矢板や塩谷方面を文字通り一望できます。

ここまで大間々からわずか1時間、子供連れのハイキングで来たとしても1時間半あれば十分でしょう。
たったそれだけの歩きで、これほどの展望を得られる山はそうはないです。
また逆に言えば、たったの1時間半とは言っても自分の足で歩いてきたわけですから
ロープウェーで辿りつけてしまうような展望台と比べれば、それなりに達成感も感じられると思います。
そんな訳で、特に栃木県北で小さなお子様を持つ方々、ここに登らない手はありませんよ!(^-^)
あ、ただ風は強いですから、ウィンドブレーカーなど防寒装備はしっかりと。



■山頂直下の登りはちょっと怖いかも?

さて、あまりに気分がいいのでつい長居してしまいそうになりますが
今日の目的地である釈迦ヶ岳はまだまだ先です(↓の右側のピークが釈迦ヶ岳)

八海山神社への尾根から釈迦ヶ岳を望む

八海山神社から道標に従って左奥に進み、少し登ったところが「矢板市最高点」。
登山道はここから一気に50mほど急降下します。
あまりに下っていくので、あれ、間違えたかな…?と不安になってくる頃に出会うのが大入道への分岐。

分岐では道標の通り左に進むことになるのですが、ここは一つ、剣ヶ峰に寄り道してみましょう。
大入道方向に一分ほど登れば、そこがもう剣ヶ峰です(9:25)

剣ヶ峰

ちなみにこの剣ヶ峰は、名前からイメージされるようなギリギリ感は全くありませんし、
樹林の中で見通しも利かず、何が剣ヶ峰なのかは正直よく分かりません(^^;
知らずに来るとがっかりする人もいるようですね。

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分岐から少し先がこのルートの最低鞍部になり、この辺りから道は笹藪に覆い隠されるようになってきて
いよいよ登山道っぽい登山道に突入していきます。

笹藪の登山道

笹の緑が日に照らされてキラキラ輝き、空の青さと相まって何とも鮮やかに感じられます。
やっぱり夏の登山道はこうでなくちゃね! と気分は高揚、急坂も足取り軽く進んでいけました。
ただ、後ろを振り返ってみると…

矢板市最高点からずいぶん下ったようで…

「矢板市最高点」がずいぶん高く見えます。やっぱり結構な急降下だったんですね。
帰りにあれを登り返すのはちょっと大変かも(^^;

ここからはしばらく展望のない、緩やかな尾根歩きが続きます。

事前情報だと、この尾根は北側(スッカン沢側)が切れ落ちているということで、
高所恐怖症の僕は内心ビビっていたのですが、
実際に通ってみると、確かに落ちたら死にそうではあっても、道が狭いわけではないので
普通に歩いていればまず落ちないでしょうし、樹木があるので高度感もないですし
危険な箇所にはロープを張ってくれていたりしますから、特に不安になることもなく通過できたのでした。

それよりむしろ問題なのは、北側から吹いてくる冷風の方だったり…
これはもう明らかに秋の風だよ! この辺になってくるとちょっと耐え難くなってきましたので
やむを得ず、一時しのぎに綿の長袖シャツを羽織ることにしました。
綿ですから汗をかいたら終わりですけどね(^^;

山用のシャツは高いので、今までケチって購入してなかったんですが、これからの時期はもう
ちゃんとしたシャツがないとダメですね。これで風邪でもひいたらアホらしいですから
次の登山までには準備しておくことにしましょう。

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そんなのんびり尾根歩きも、山頂が近くなると一気に傾斜を増してきます。
ここが最後の踏ん張りどころです。頑張りましょう!

釈迦ヶ岳直下の急登

特にこのロープが張ってある辺りはまさに急登です。
先ほどのスッカン沢側の谷よりも、むしろここの登りの方が高度感があって少し怖かったりしました。
この日は晴れていたから良かったですけど、雨の後なんかでは滑って危なそうですね。

そんな登りも、鶏頂山への分岐を過ぎればもう終わったも同然。
やがて視界がパッと開けて…

釈迦ヶ岳 山頂

いつも麓から見ていた、あの山頂に飛び出しました。
大げさですけど、三年間何となくずっと「登りたいな…」と思い続けていた山頂ですから
やっぱりこうして辿り着けると嬉しいものがありますね(^-^)
そんな訳で、栃木百名山・第14座「釈迦ヶ岳」登頂完了です(10:37)



■山頂からの展望は抜群。そう、これを見に来たんだ

山頂は吹きっさらしですが、日差しを遮るものもないため、暑すぎず寒すぎず
爽やかな空気に包まれていました。
既に到着していた先行パーティーの方々も、それぞれこの穏やかな時間を満喫しているようです。

そんな中、僕は一人であっちに行ったりこっちに行ったり…
だってね、山頂からは北東方向の一部を除く約300°の大展望。
まずはこれを思う存分眺めてからでなくては、落ち着いてお昼を食べる気にもなりません。
ということで、山頂からのパノラマはこんな感じに。

釈迦ヶ岳山頂からの展望
クリックで拡大(3370*600 729KB 画面下スクロールバーで右方向へ)

夏場なので遠望は利いていませんけど、他の方の登山記録を見ると結構ガスに巻かれていたりしますから
これだけ見えていればむしろ幸運で、個人的には十分満足。

ちなみに登山道はこのまま隣の中岳(画面中央やや左のピーク)、西平岳へと続いています。
中岳まで行ってみようかな、とも思いましたが、山頂直下に見えるあのザレ場のような場所は何だろう…
もしあそこを通過しないといけないのだとすると、僕は滑って谷に落ちていきそうな気がします(笑)
事前調査もしていませんし、今日はここまでにしておくのが無難ですね。

それと、ここからだと見づらいですけど、同じく釈迦ヶ岳の隣にある鶏頂山はこんな様子。

鶏頂山
クリックで少し拡大(903*600 225KB)

日塩もみじラインから釈迦ヶ岳を目指す時は、ここを経由することになります。
次は向こうから来てみようかな。



■八海山神社はピクニックには最適

山頂の展望も堪能しましたし、少し早いですがお昼も食べました。
今日の行程はここまでにして下山にかかりましょう。

帰路はほとんど下りですから、問題はほとんどありません。
と言っても、山頂直下のあの急坂はやはり下りの方がより怖かったですし、
矢板市最高点への登り返しでは途中でばてて、単独の女性にあっさり抜かれたりしましたが…
下山開始(11:07)→矢板市最高点通過(12:26)→八海山神社(12:35)と、
まずは八海山神社まで戻ってきました。

ここまで来ればもう駐車場までは降りる一方ですから、ここで一息ついて、改めて景色を眺めてみます。

八海山神社からの展望
クリックで拡大(1764*600 413KB 画面下スクロールバーで右方向へ)

写真ではうまくスケール感が出せていませんけど、やはりここからの眺めは秀逸です。
釈迦ヶ岳のようないわゆる"山頂"からの展望とはまた少し違った趣があって、
いつまでもここでのんびりしていたい、そんな気分にさせてくれます。

…と言いつつ、今日は寒いから帰っちゃいますけどね(^^;
展望を楽しみながらゆっくり歩きたかったので、復路も見晴らしコースを選択。
13:21に、無事、大間々台駐車場に辿り着きました。

大間々台駐車場 帰りは結構混んでいました



いつか登りたいと思いながらなかなか行動に移せずにいた今回の高原山登山。
いざ登ってみると、予想外の展望に恵まれ、麓で想像していたよりもずっと楽しい山行になりました。

交通アクセスは悪くなく(塩原矢板線は走りやすい)、山の駅たかはらもすぐ近くにあるなど
環境も十分整えられていて、登りに行くのに不安材料がない
まさにトレッキングにはもってこいの山だと思います。
またいつか訪れてみたいな… そう思いながら、駐車場を後にしたのでした。

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