Trekking
鬼怒沼2012/08/15
栃木県日光市 [2020m]所要時間:6時間13分
消費カロリー:計測せず
麓は晴れてるんだけどね…GPSログ記録はこちら(別窓)

鬼怒沼

■Introduction

天候に恵まれない今年のお盆休み。
9連休にできたのもむなしく、前半4日はとても山に行こうと思う天気ではありませんでした。

でも、そんな天気もようやく好転してきたため、後半は奥穂に向かおうと思っています。

しかし、前回の登山から少し間があいているのが不安材料…
過去の山行を思い起こすと、テント泊の初日は必ずバテバテになっているのですが、
それは恐らく、身体がまだ登山モードになっていない状態で
いきなりハードな運動をするからだと思います。

そこで、奥穂の前日に、まず地元で足慣らししておこうと考えました。
そして、栃木で今、一番訪れてみたいところと言えば、鬼怒沼をおいて他にはありません。
毎年、候補地としてリストアップしておきながら、距離の遠さについ二の足を踏んでいた場所。
これを機に、ようやく重い腰を上げることになったのでした。



■女夫渕は予想外の満車

栃木側から鬼怒沼に向かう場合、マイカーで女夫渕まで入り、
そこから奥鬼怒温泉を辿っていくことになります。

そこでまず、女夫渕に向かうのですが、これが遠いの何の…
県外の山は、たいてい直近のインターから登山口まではそう遠くなく、
せいぜい20〜30kmも走れば登山口に辿りつけるところが大半なのに、
栃木や、栃木・福島県境付近の山は、なぜかやたら下道を走らされることが多いです。

今回の女夫渕も、ナビで検索すると76km(><) 下道76kmは苦痛だよ…

そして実際に走ってみたらみたで、距離の長さに加えて、最後の県道23号線が大変。
この23号線は、道路そのものはしっかり舗装されたきれいな道ですし、ミラーや落石防止柵など
整備もしっかりされているのですが、ところどころ狭隘な上に、山の道にしては交通量が多くて…
民家の脇を通ることもあって、スピードも出せませんし、神経が磨り減りました。

夫婦渕

そんなこんなで早くも疲れながら、女夫渕の駐車場に着いたのは6:53。
…すると、何ということでしょう、駐車場は満車になっているではありませんか( ゚д゚ )

確かにもう7時近くなので、夏山のスタートにしては遅い時間ではあります。
でも、この駐車場は決して狭い駐車場ではありませんし、今日は一応平日。
正直、この展開は予想外でした。

冷静になって考えてみれば、この車の大半は奥鬼怒温泉の利用客の車なんでしょうね。
それぞれの温泉で泊まってらっしゃるのでしょうから、駐車場着が早いとか遅いというのは
あまり関係ないかもしれません。

この盛況を見ると、福一の事故の影響もそろそろ少なくなってきているのかも。
客足が戻っているのであれば何よりです。



■前半は静かな遊歩道歩き

さて、何とか空きスペースに停めることができましたので、いきなりの敗退は免れました。
準備を整えて、7:10、女夫渕駐車場から出発。

今日の行程は、以下の画像の通りになります。

奥鬼怒自然休養林探勝案内図
クリックで拡大(1072*796)

女夫渕から八丁の湯、加仁湯、日光沢温泉を経て鬼怒沼に至るオーソドックスなコース。
ここはなにげに長丁場で、コースタイムだと単に往復するだけでも7時間20分。
ここに鬼怒沼散策の時間も追加すれば、8時間はゆうに越えることになります。

しかし、今日はのんびりしていられないんですよね。
そもそも今の時点ですでに寝坊気味の出発ですし、ここから8時間かかったら帰着は15時過ぎ→
自宅に帰るのが18時→風呂と洗濯・乾燥で20時→テン泊準備で22時…
これでは、徹夜で奥穂に向かうことになってしまいます。
いやいや、いくらなんでもそれは無理!

ということで、今日はちょっと急ぎモードで登ってみることにしましょう。

沢沿いの道を行く

まず初めは、八丁の湯まで、渓流沿いの道を歩いていきます。
道はご覧の通り、登山道というよりは遊歩道。温泉泊まりの方でも問題なく歩けるコースでしょう。
何度か橋を渡るため、橋の前後では少々のアップダウンはありますが
それ以外はきわめて緩い傾斜の道になっています。

静かな遊歩道

朝の澄んだ空気と相まって、気持ちのいい遊歩道歩きが続きます。
八丁の湯まではおよそ4km。
温泉を目当てに来られた場合でも、適度な秘境感を味わえる、ちょうどいい距離かもしれません。

八丁の湯

こうして、まず最初の「八丁の湯」着、8:14。

実はここを訪れたのは人生で二回目でして、遙か昔に、このログハウスに泊ったことがあります。
あの頃は、ずいぶん山奥に来たなあ〜、と思っていたものでした(笑)

なお、急ぎモードですので女夫渕から1時間少々で着いていますが
これは道中の楽しみを削ってもスピードを優先しているからで、
普通に景観や雰囲気を楽しみながら歩いてくるなら、1時間半はみておくことをお勧めします。

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さて、ガンガンいきますよ!
ここからは等間隔に温泉が並んでいます。

加仁湯

加仁湯通過、8:22。

日光沢温泉

日光沢温泉通過、8:32。

どの温泉にもそれなりに泊まり客がいると思うのですが、意外なほど人と出会いません。
皆さん朝風呂を満喫されているんでしょうか?
あ〜、自分も時間があったら入っていきたいんだけどな…



■急登の先に待つものは…

さて、お遊びはここまでだ―――

日光沢温泉の建物をくぐると、道の勾配は一変。いよいよ本格的登山の始まりです。
ここから鬼怒沼までの標高差は約600m。その間、ひたすら上り坂が続きます。

本格的な登りの始まり

特に序盤はなかなかの急登でして、見通しのきかないつづら折りの道ををただ淡々と登っていくのは
精神的にも肉体的にも、けっこうきついものがありました。

しかし、ここまでの道中で2パーティほど追い抜いてしまっていまして、もし追いつかれたものなら
ペース配分のできないヘタレ初心者だと思われるのは明白(笑)
ここは意地でもバテるわけにはいきません。時間も押してますしね!

もう一息!

そんな上り坂も、終盤にはだいぶ傾斜も緩みます。
ここまでくれば、あとは楽勝。かっ飛ばしていきましょう。

ただ気になるのが、高度を上げるに従って、ガスが増えてきたこと。
下から見ていた時も、ちょうど山の上の方にだけ雲がかかっていたんですよね。
せめて鬼怒沼だけでもいいから晴れていてくれ!
…そんな祈るような思いで、最後の坂を登り切ると…

鬼怒沼入り口

(T▽T)だめでしたか…

まあ、当然といえば当然ですけど…
ほんの100mも下れば晴れているのを考えると、ちょっと悔しいですね。

もともと僕は湿原好きなので、これはこれで悪くないとは思うものの
やっぱりどうせなら青い空をバックにした姿を見たかったな。

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ともかく、湿原を一周してみることにしましょう。
風はそこそこ強いので、もしかすると散策している間に晴れるかもしれませんしね。
ということで、まずは対岸の木道終点まで行ってみます。

木道終点

木道終点着、10:40。

そうか… 大清水から来るって手もあるのね。
次に機会があったら、そちらのルートを歩いてみることにしましょう。

ところで、ここから「尾瀬沼」方向に50分ほど歩くと、栃木百名山「鬼怒沼山」があります。
ヤマレコなどを見ていると、鬼怒沼まで来た登山者はたいてい鬼怒沼山までは行くようです。
でも僕は行く気ナッシング。なぜなら、鬼怒沼山は展望がないんですよね。
せめてどちらか一方だけでも開けていれば、まだ話は違うんですけど…

晴れていれば…

ということで、ここでUターン。

振り返れば、湿原の中にまっすぐ伸びる白い木道。
さすがに尾瀬には及びませんが、ここもなかなか広い湿原で、晴れていればいい画がとれそうです。

ちなみに、湿原の花々はもう大半が散ってしまっていました。
至仏山(2009/08/23)の時にも思いましたが、ホント、高層湿原の夏は短いですね。
花々が咲き誇る光景を見たければ、遅くとも7月の中旬までに訪れる必要がありそうです。

湿原に根付くものたち

ただ、花の咲いていない湿原でも、目を引かれることは沢山あります。
最近はアクアリウムを始めたこともあって、こういう湿原の植生には興味津々。

趣味の幅が広がると、モノに対する見方もずいぶん変わるものです。
アクアリウムで、人工の水槽の中にいかにして自然感を出すか日々考えるようになると
山を歩いていても、以前は気にも留めなかった道ばたの草花に、妙に心惹かれるようになりました。
おかげで、よりいっそう山歩きが楽しくなった気がしています。

金沼

さて、こうして時間稼ぎをしていても、一向にガスは晴れず…
むしろ一雨来てもおかしくないくらいの勢いになってきました。

仕方ない… 今日は運がなかったですね。
また来年に期待することにして、今日はここで下山します。



■早ければいいってもんじゃない

下山し始めると、やはり少しも歩かないうちに、登山道に日が差してきました。

晴れてきた…

皮肉か…(^-^;
ちょっと戻りたい衝動にも駆られましたが、ガマン、ガマン。
あくまで今日は前哨戦で、成功させたいのは明日からの奥穂ですから、全力で降りるのみです。

鬼怒沼山まで行かなかった上、ただただ急いでいた結果、先行5パーティは全てごぼう抜き。
そのたびに「早いですね〜!」と言ってもらいましたけど、
向こうは山歩きを楽しんでいるのに対して、こっちはただ駆け下りているだけですから…
早ければいいってものでもないですよね。

沢の冷気に救われる

八丁の湯につくころにはもう日差しは強烈なほど。
道が沢沿いにあるのが本当に救いでした。
実際の気温にはさほど影響はなくても、精神的に涼やかな気分になります。

一般の方にとっては、淡々と樹林帯を登っていくような道は面白くないと思いますし
(というか自分もですが)そういう意味でも、この奥鬼怒温泉郷の道は変化に富んでいて
家族連れで訪れた場合でも、お子さんが飽きずに歩けそうな印象でした。

女夫渕

女夫渕に帰り着いたのは13:19。朝出発してから6時間ちょっとでの往復です。
急いだ割には早くない気もしますが、今の体力ならこんなもんでしょう。


今回の登山は、期待の鬼怒沼が真っ白だったので、不完全燃焼で終了。
でも、明日に向けて足慣らしはできましたし、まあ良しとしましょうか。
来年以降にまたチャレンジしてみたいと思います。

さて、これから全速力で帰宅して明日の準備だ!
少しは寝る時間が取れるといいけど…

EXIT