Snow Trekking
四阿山   【日本百名山】2012/02/12
長野県上田市/須坂市/群馬県嬬恋村 [2354m]所要時間:7時間43分
消費カロリー:計測せず
初めてのプチラッセルGPSログ記録はこちら(別窓)

灰色の稜線へ

■Introduction

今年どうしても登っておきたかった山の一つが、この四阿山(あずまやさん)。
そんな訳で年始の1/8に早速チャレンジしてみたのですが、その時は暴風でやたら寒かった上に
道を間違えてしまい、タイムアップで敗退…という悲しい結果に終わってしまいました。

こうなると、もうどうしてもリベンジせずにはいられません。
次こそは絶対に頂上を踏んでやる!と意気込んで、再び挑戦しに来たのですが…

※今回は写真が少ないため、シンプルなレポになります。



■前回より悪条件なんでは?

この日の天気予報は、あるサイトでは快晴、あるサイトでは雪と、何を信じれば…という状態。
これは晴れる方に賭けるしかない、と、中央道を駆け抜けてみたのですが
上田菅平ICからR144に入ると白いものが舞い始め、やがて本格的な降雪になってしまいました。

しかし、晴れの天気予報もあることですし、ここまで来て何もせずに帰るのも…と逡巡した結果
とりあえず行くだけいってみることにしました。
天気図を見る限り、ここから更に悪化するとは考えにくいですし、
また、ヤバイと感じたら登頂にはこだわらないようにする、という方針で臨むことにします。

登山者用駐車場

あずまや高原ホテル駐車場に着いたのは6:00頃。
前回より一時間近く遅いですが、あまり早く着いても、日が出るまでは寒すぎて行動しないという
自分たちの根性のなさがよく分かりましたので、今回はのんびり来ることにしました。

あずまや高原ホテルには、登山者用の駐車場が用意されています。(ホテルの駐車場の一段下)
冬季は端の方が雪に埋まるため、キャパは最大で15台くらいになるかと思います。
前回は先客さんは1台だけでしたけど、今回はもう5台ほど。
中には、雪中テント泊をされている豪気な方々もいらっしゃいました。

6:35、トップバッターとして駐車場を出発。

牧場に向かって

出だしは、牧場に向かって林の中を歩いていきます。
このルートにおいて、この駐車場から牧場までが、唯一、安心して歩ける区間です。
そこから先は吹きっさらしなので…
傾斜も緩やかですから、足慣らしにもちょうどいいですね。

何の音も聞こえない静かな林の中を30分ほど歩くと、牧場の端に到着。
天気が良ければ、ここから山頂が見えるのですが…

山頂は見えず…

今日はこの有様。
まあ、分かっていたことなので、天候の回復を信じて淡々と進むことにします。
なんかちょっと晴れ間も見えてる気がするし!

更にここから10分ほどで、牧場の入り口(?)へ。

牧場入り口

ここからはコース取りが自由にできるようになります。
ヤマレコなどを見ていると、ここから牧場を突っ切って登っていく方が多いようですね。
前回の我々もそうでした。

牧場作業道分岐

でも、初めて四阿山に登る場合は、牧場の入り口から少し西に行ったところにある分岐
(上の写真)から素直に夏道を辿ることを強くお勧めします。
牧場を突っ切ったとしても、いずれは夏道に合流することになるんですが
初めてだと、どのタイミングで夏道に戻ればいいのか分からないまま
牧場の北端にたどり着いて戸惑うことになりかねないからです。

前回はまさにそれで、藪漕ぎが嫌だった我々は延々後戻りして夏道に合流…
このせいで40分ロスして、敗退のきっかけが生まれてしまったのでした。
「藪漕ぎしてもいいじゃん」という向きもあるかもしれませんけど、
よほどルートファインディングがうまくない限り、藪漕ぎは時間がかかるだけです。

実際、前回は後続のパーティが続々と我々のトレースを辿ってきた挙句、
後戻りする我々を横目で見ながら藪の中に突っ込んでいったのですが、
こちらが夏道まで戻り、そこから夏道に沿って里宮まで登って、20分ほど休憩した頃に
藪に突っ込んでいったパーティがようやく登ってきたような状況でしたから。


今回はルートは分かっていますが、牧場を突っ切ってもショートカットになる訳ではないので
おとなしく夏道を歩いていくことにします。

この辺りは足首程度

夏道は強風で雪が吹き飛ばされるためか、スノーシューを使用していると、沈んでも足首程度。
この辺は、まだまだ体力的には余裕なエリアです。

あ、そうそう、今回からスノーシューはMSRのEvo Ascentに替えました。
前回まではドッペルのSW-7Mで雪山を歩き回っていましたが、戦場ヶ原や車山のような
起伏の乏しいフィールドならともかく、四阿山のように本格的な登りには不向きだということが
実際に経験してよく分かりましたので…
(足首の稼動範囲が狭いのと、クランポンが大して効かないのが痛いのです)

国内で買うと異常に高いので、弟がアメリカ出張に行った時についでに買ってきてもらいました。
運良く現地ではセールになっていて、159.93ドルだったそうです。
1ドル76円の頃なので、\12,000と少しといったところでしょうか。
海外購入なので国内代理店のアフターサービスは受けられませんけど、
アフターサービスのために倍払う気はしませんね。2個買えるんだぜ…



■吹雪、道迷い、そして股下ラッセル

さて、期待とは裏腹に、進めば進むほど天候は悪化してきました…

視界が…

牧場を通り過ぎる頃にはもうこんな状態。今や吹雪といっても過言ではないほどです。

新調したバラクラバ(ORのソニックバラクラバ。これはいいものですよ!)のおかげで
-14℃の中でも寒くはないのですが、100m先が見えないし、カメラも雪まみれに。
いつも雪の上にカメラを放り投げたりしている僕とはいえ、
さすがにこんな状況だと、カメラを出しっぱなしにしておくのは不安になります。

という事で、ここから山頂までは僕の写真はありません。
弟は無謀にもKissX4で写真を撮っていたので、何枚か借りて載せておきます。

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そして、この辺りから雪山の厳しさが徐々に牙をむき始めたのでした。

降雪のため、今回のルート上には、先人のトレースはほとんど残っていません。
そこで必然的にルートファインディングを強いられる訳ですが、四阿山は尾根が緩やかで
今、自分が尾根の中央にいるのか端にいるのか、よほど注意していないと分からなくて…
風景と地形図を照らし合わせて現在地を確認しようにも、吹雪のため視界がなく
どうやって自分の位置を特定すればいいんだろう?という状態でした。

で、こんな状態で初めての山を迷わず登れるスキルは、我々にはない訳でして
途中で案の定ミスコースをやらかしました。

自分では夏道沿いに歩いているつもり、でもコンパスを見るとやけに東に進んでいるような気が…
おかしいな、もっと北寄りに道があるはずなのに…? と思いながら歩いていたら
ついに尾根を外れて谷に向かっていってしまったのです。
(GPS記録だと的岩の上辺りでコースが別れていますが、東方向にぐるっと回っているのが間違い)

慌てて樹林帯を突っ切ったところ、何とか夏道に合流できたから良かったものの、
肝を冷やした場面でした。

※ちなみに、我々が先陣を切っていたため、後続パーティの方々の多くが
 このトラップトレースに引っかかってしまうという被害も出たのでした…(^-^;

ミニモンスター

ただ、それでも、ここまではまだ体力も残っていまして
夏道に戻ってからしばらくは、吹きさらしの風が冷たいものの、順調に進めました。
一時期はあきらめかけていた登頂も、考えていたほど大変ではないかも、と思ったものです。

しかし、本当の苦労は「四阿山 →700m」の道標を過ぎたところから始まったのでした…

山頂は、山頂はどこ?

ここから山頂直下までは木々の間を抜けていくことになります。
この木々のおかげか、風は遮られるのですが、その代わりに積もった雪の量が尋常ではなく…

上の写真ではたまたままともに歩けていますが、この直後に太股まで埋まってしまいます。
すると、そこからしばらくは股下ラッセルをすることになるのですが
いや〜、ラッセルって、予想していたよりもはるかにきついんですね。
ここまで進めないものだとは思いませんでした。

ものの数メートル進むだけで、莫大な体力が消費されていく…(><)

おかげで、この最後の700mは死ぬほど疲れました。
特に最後、山頂直下のやせ尾根は、勾配と相まって亀のような歩みに。
山頂を目前にしながら、敗退の文字が頭をよぎったものです。

四阿山・山頂

それでも、最終的には何とか登りきることができました。11:51、山頂に到着。
久々に達成感のある登山でした…!

ちなみに、山頂に着いた直後、後続パーティの方々も到着したのですが、
後続の方々が駐車場を出発したのは8:10。我々よりも1時間40分ほども後になってからです。
自分らはどんだけ遅いんだか(^-^;

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さて、山頂もご覧の通りの天候ですので、休憩もそこそこにして早々に下山を開始します。
帰りはただただ下るだけですし、後続のパーティのおかげでトレースもしっかりしてきましたので
踏み抜いて潜ることもほとんどなく、快適に歩いていくことができました。
(我々のせいで、一部ルートが間違ってるトレースになってましたけど(笑))

なお、山頂到着、および下山開始は(敗退された方々を除けば)我々が一番早かったのですが、
下山途中では何組ものパーティに追い抜かされています。
というのも、今日の登山者は大半が山スキーの方々でして。
スノーシューは自分たちを含めて2パーティだけでした。

登りでもスノーシューより埋まりにくいようでしたし、こういう急峻な斜面がない山では
山スキーは有効ですね。
装備を整えるのに出費が大きいので躊躇しますが、いつかはチャレンジしてみたいものです。

あずまや高原ホテル

14:17、無事にあずまや高原ホテル駐車場に帰還。
この頃になると天候はだいぶ回復してきました。まあ、いつものことさ…


今回は、初めて雪山で1000m近い登りを体験することになりましたが、
やはり雪山登山は一筋縄では行かないな…と改めて実感することになりました。
今日は本格的にラッセルが必要な区間が短かったから良かったものの、
もしこれが最初からラッセルだったら、間違いなく登頂は不可能だったでしょう。
常日頃から体力作りを怠らないようにしないとな、と思ったのでした。



■余談

さて、下山したからには温泉、温泉!(・∀・)
ということで、前回に引き続き今回も、あずまや高原ホテルの日帰り入浴(\1,000)を
利用させていただきます。

ここを利用している理由は、単に近いことや、駐車場を無料で整備してくれているお礼、という
こともありますが、何よりも快適だからです。

まず、この時期のこんな時間ともなると入浴客が少なく、ほとんど貸切状態になります。
また、脱衣場は広く、洗い場も10人程度対応と、下手な日帰り入浴施設よりもむしろ
設備がしっかりしています。この辺はホテルの面目躍如といったところでしょうか。

そして何より、露天風呂からの展望が素晴らしいの一言に尽きます。
高原にあるという立地を最大限に活かした露天風呂からは、
眼下に広がる森と、その向こうに聳え立つ浅間山が一望。
これほど開放感のある露天風呂は、他ではそうそうお目にかかれないでしょう。

そんな訳で、登山後の温泉として超お勧めです(混んでいるとまた印象が違うかも知れませんけど)
次にまた来る機会があったら、今度はホテルにも泊まってみたいと思ったのでした。

EXIT