Snowshoeing
高原山(八海山神社)2010/01/30
栃木県矢板市 [1539m (八海山神社)]所要時間:5時間9分
初挑戦! スノーシューで山登りGPSログ記録はこちら(別窓)

八海山神社

■Introduction

今年は、高原山にもずいぶん雪が積もりました。
しかし悲しいかな、しょせんは中級山岳に過ぎない高原山、少しでも天気のいい日が続くと
折角の積雪もあっという間に溶けていってしまいます。

こうして日に日に雪が少なくなっていく高原山を見ていると
もったいないなと思ってしまうものです。
そして、ふと考えてみれば、あの山は八海山神社辺りまでは危険箇所もなく、傾斜も緩やかなので
雪山ハイキングとしてはもってこいなんですね。

となれば、これはもう登るしかないでしょう!
先日の小田代ヶ原で、平地歩きなら十分使えると分かったドッペルギャンガーのスノーシューが
傾斜地でどれほど通用するのか試してみるのにもいい機会ですしね。
という訳で、夏以来四ヶ月ぶりに再び高原山を訪れたのでした。



■冬場の登山口は「山の駅たかはら」から

今回も矢板側からの登山になりますから、まずは山の駅たかはらへ向かいましょう。
一度通ったことのある道ですから気楽なものです。

ただ、一つ気がかりなのは、雪山登山と言えるほどの雪が残っているのかどうかということ。
最後に雪が降ってからずいぶん経つんですよね。もしこれでスノーシューが不要な程度だったら
今日のスノーシューイングは、登りもせずにいきなり敗退という羽目になりますので…(><)

…で、実際どうだったのかと言いますと、八方ヶ原入口付近は雪の影も形もなく焦りましたが
上の方はそれなりに雪があって、まずはOKと言ったところでした。

ちなみに県道56号線(塩原矢板線)は、少なくともこの日は除雪はしっかりされていましたし
基本的に片側一車線分の復員は確保されている道路ですので、離合の心配もほとんどなく
(対向車とすれ違うこと自体も稀ですが)安心して走れて助かります。
もちろん降雪直後はチェーン必須でしょうけどね。
あ、それと、この道路は冬期は山の駅たかはらから先(塩原側)は通行止めですのでご注意を。

山の駅たかはら

山の駅たかはら到着9:55。ちょうど従業員さんが開店準備をしているところでした。
(冬期は10:00〜15:00の短縮営業なのです。でも、冬期は採算割れ覚悟で営業してくれて
 いるんでしょうから、我々ハイカーとしては感謝すべきところですね)
ちなみに、夏場はここが唯一のトイレになるのですが(キャンプ場にもあるという説も?)
そのトイレも冬期は使用不能です。用は麓で済ましておきましょう。


さて、夏に来た時はここから車で大間々台まで上がりましたが、
冬期は大間々台への道路が閉鎖されるため、登山はここから始まることになります。
準備を整えたら、まずは56号線まで戻りましょう。道路の向こう側に登山口があります。

登山道入口

では、いよいよ初の雪山スノーシューイングへ、Let's go!



■確かに雪はある しかし…

ここから、ピンクのリボンに導かれつつ、まずは大間々台駐車場を目指して登り始めます。
トレースもしっかりしていて迷うことはなさそうです。

トレースはカッチカチ

ただ… 雪面はこれ以上ないくらい締まっていました。
溶けて凍って溶けて凍って、の繰り返しでしょうから、当然と言えば当然なんですけど
これだとスノーシューの出番はないですね。
トレースに残っているのもツボ足と山スキーの跡だけで
スノーシューを履いている人はいないようです。
ということで、スノーシューはザックにくくりつけて歩き出しました。うっ、背中が重い…(><)

もっとも、スノーシューの重みさえ我慢すれば、初の雪山登山ですから気分は悪くありません。
無音の世界の中に、僕が雪を踏みしめる音だけが響いていきます。
こうしてみると、ツボ足で歩くのも結構楽しいものですね。
慣れていない分、新鮮に感じる面があるのでしょうけど、それを差し引いても
無雪期の登山とはまた違った面白さを覚えました。やみつきになりそうです(^-^)

そうこうしていると、上から山スキーの方が颯爽と降りてきました。
挨拶を交わしたかと思ったら、もう次の瞬間には僕の脇を駆け抜け
あっという間に下方に消えていきます。
あ〜、あれもすごく気持ちよさそうですね! いつか挑戦してみたいなぁ…


さて、明瞭なトレースが残っていたのは小間々まで。
どうも先行の方々はここから舗装路に出ているようで
ここから大間々方面のトレースには雪が被っていて、足跡といえるほどのものは見あたりません。

足跡は足跡でも…

こういう足跡ならいっぱいあるんですけど、これについて行ったら遭難してしまう(笑)
もっとも、大間々台まではまっすぐ登っていくだけなので方角は問題ないのです。
問題なのは、トレースがないところではツボ足だと埋まるということ。
でも、ここまで来て今更スノーシューを履くのもなぁ…と思って
ズボズボ埋まりながら登り続けました。
アホですね(^^;

大間々台駐車場

とは言え、もう大間々台は目と鼻の先。ということで、11:30、大間々台駐車場に到着しました。



■行くべきか、行かざるべきか、それが問題だ

山の駅(学校平)〜大間々台間は2.5km、標高差はたったの229mと
夏場のハイキングなら余裕のコース。
でも雪道だとこれが意外と大変だったのでした。
ちょっと疲労を感じたので、展望台で一休みすることに。
軽く食事していると、2人パーティーが脇を通り過ぎて山頂方面に向かっていきました。

駐車場の展望台(この展望台からの景色はなかなかのもの)から、その先にある別の展望台まで
足を伸ばしながら、これからどうするか考えてみます。
大間々台から八海山神社までは夏なら1時間の距離ですが
積雪を考えると今日は少なくとも1時間半はかかりそうです。
そして、雪山ですから遅くとも15時には山の駅に戻っていたいところ。
逆算すれば、八海山神社から降り始めるタイムリミットは引っ張っても13時半が限界です。
今12時ちょっと過ぎですから、今から登り初めたら八海山神社に辿り着けるかどうかはギリギリ…

でも、ここで帰ってしまうのは少し物足りない気がします。それに、ここで帰ってしまうと
また毎日「八海山神社まで登りたいな」と思いながら日々を過ごすことになりそうです。
そこで、とりあえずまずは登り始めることにしました。そして、もし途中で13時半になったら
その時点で八海山神社は諦めて下山することにしましょう。

-----

この辺りでは踏み抜きも多くなってきましたから、いよいよスノーシューの出番です。
夏期と同じように、まずは見晴らしコースの登山道に向かって林道を歩いていきます。

ペタペタと林道歩き

この辺りから徐々にスノーシューの足跡も増えてきました。

見晴らしコース登山道

見晴らしコース登山道はそれなりの積雪でした。大間々台で引き返す人が多いのか、ここはそれほど
踏み固められておらず、ツボ足の人は大分埋まっているようです。
ようやくスノーシューの面目躍如というシチュエーションに出会えました。

ただ、そうは言っても、スノーシューという重りを足に付けた状態で斜面を上がるのは、
やはりそれなりの重労働になります。夏にはなんてことのなかったこの登山道を上るのにも一苦労。
急傾斜ではないため、このスノーシューの"なんちゃってクランポン"でも
滑ったりはしないというのが唯一の救いでしょうか。

それでも25分ほどの登りで、何とか展望の良い尾根まで出られました。

見通しの良い尾根

ここまで来れば、しばらくは平坦な尾根歩きを楽しめます。

道中で、下山中のいかにもベテランっぽい登山者の方とすれ違いました。
「矢板市最高点」まで行った帰りだそうで、そこから先はトレースがないから厳しいね、とのこと。
(その方はツボ足でして、ツボ足でラッセルしていくのは大変、という意味です)
「それ(=スノーシュー)なら行けますよ!」と言われましたが、装備面では問題なくても
残念ながら僕の体力では、それ以上先に進むのは無理でしょうね(^^;

八海山神社まであと少し、なんだけど…

八海山神社が近づいてくると再び登りが始まります。全くなんてことのない傾斜なんですけど
足が重くてこれが結構堪えるのでした… 逆に考えれば、この程度の登りでこれだけの運動負荷が
かけられるということは、お手軽に体力トレーニングができていいのかも?

と、そんなこんなで、ようやく本日のゴールである八海山神社に到着しました(13:12)
結局、大間々台からほぼ1時間の道のりでした。思っていたほどには時間はかかりませんでしたね。
行程のほとんどで他人のトレースを利用しましたから、その分、楽をさせてもらったのでしょう。
下山開始リミットまでまだ18分もありますから、お昼を食べながらのんびり休むことにしました。



■八海山とレイヤリングと

では、ザックを降ろして昼食を… っと、その前に風景を眺めておきましょう。

八海山神社からの展望
クリックで拡大(4032*600 786KB 画面下スクロールバーで右方向へ)

ん〜! 相変わらず素晴らしいですね♪ この解放感がとても幸せな気分にさせてくれます。

八海山神社付近は相変わらず強風で、風をまともに浴びているとさすがに寒いです。
周りには誰もいないため、神社を風よけにさせてもらいながら昼食を採ることにしました。

山専ボトルとオニオンコンソメ

昼食の内容はおにぎりとサンドイッチという芸のないものですが
それでも熱々のオニオンスープを飲みながらだと、麓で食べるより格段に美味しく感じます。
このクノールのオニオンスープも、隠し味として一味唐辛子を入れておくと、
これがまた寒い時はとても旨いんですよ(^-^)



■林間コースの下りはアクロバティック

昼食を採っていると、先ほど大間々台で先行していった2人パーティが林間コースから登ってきて、
寒かったためか、すぐに見晴らしコースに向かって降りていきました。
時間が迫ってきましたので、僕もそろそろ出発することにしましょうか。

さて、普段の登山だとここで往路を逆戻りするため、登山記には特に書くこともなく、写真もなく
数行で麓についてしまったりするのですが、今日は林間コースから戻ってみることにしました。

林間コース

すると、一歩目から足がズボズボと潜っていってビックリ。
あまり歩かれていないのと、風が吹かないためか、雪はフカフカのままでした。
しかも結構な傾斜で、先ほどの2人はここをツボ足でラッセルして登ってきたわけですから
結構な重労働だったのではないかと思います。そりゃ時間もかかるってものですね。

スノーシューでもご覧の通り

しかし、そうは言ってもこちらは下りですし、スノーシューもありますから
ツボ足での登りに比べれば疲労ははるかに少なくてすみます。
というか、こういう雪質を歩くのがスノーシューの真骨頂なので
バフバフ埋まりながら歩くのはとても楽しかったりするのでした。

気持ちの良いスノーハイキング

細かいアップダウンを何度も繰り返しながら下っていきます。
静かな森の中を、穏やかな午後の日差しに包まれながら歩いていると、
冷え切った空気ですら却って気持ちよく感じられるようになってくるのは不思議なものです。
たまにスノーシューだと歩きにくいところがあって何度か転倒したのですが
ウェアが完全防水なので濡れることはありませんから、
むしろそのまま雪と戯れていたい気分になったりしたのでした。

ただ一つ注意があるとすると、見晴らしコースと違って、こちらはどこが夏道なのか分かりません。
僕はここを通るのは今回が初めてということもあって、人のトレースのすぐ横を歩きましたけど
もしトレースがなかったら、めちゃめちゃなコース取りをしていたのではないかと…
地図読みに不安があるなら、見晴らしコースを通るのが無難だと思いました。

-----

さて、歩くこと50分で、大間々台駐車場に戻ってきました。
なんだかずいぶん時間がかかってしまいましたので、ここからの下りは林道を通って
スピードアップを図ることにします。

大間々台から学校平への林道

ただ、この林道の下りは、歩くこと自体は楽でも、道が単調なのであまり面白くはないです。
正直、スキーかボードか、それこそソリでもいいので、何か滑走用具が欲しくなりましたね。
もっとも、こんなアイスバーンを僕がスキーで降りていったら、絶対曲がれませんから
コーナーで林に突っ込む羽目になりますけど(^^;;

ということで途中で飽きて、小間々台からは往路の樹林歩きに戻りました。
歩くのはちょっと大変でも、やっぱりこっちの方が楽しいですね(^-^)
予定を20分近くオーバーしてしまいましたが、15:19に無事、山の駅に到着。

山の駅へ帰還

道を整備してくれたお礼というとおこがましいですけど、少しでも山の駅でお金を使わないと…と
思っていたのに、目の前でシャッターが閉まったのがちょっと悲しかったりしましたが
(短縮営業なのを忘れてた…)
それはともかく、やっぱり雪山歩きは楽しいですね! 体力を使っているのが分かるので、
平地のスノーシューイングとはまた違った充実感があります。ドッペルギャンガーのスノーシューも
このくらいの緩斜面ならずり落ちることもなく、十分使えると感じました。
トラクションがあまり掛からないのは、下りではむしろ有利ですしね。
次はもうちょっと高い山にチャレンジしてみたいと思います(^-^)



さて、終わる前に一つ、お勧め情報を載せておきますね。
折角ここまで来たのなら、帰りついでに「尚仁沢はーとらんど」に寄ってみてはどうでしょう。
ここは日本名水100選に選ばれている「尚仁沢湧水」を手軽に汲める施設として
県内はもとより、県外からの来訪者も多い、知る人ぞ知るスポットになっています。

尚仁沢はーとらんど

ここの水は、味音痴で水の味なんて分からない僕ですら美味いと思うくらいでしたから
大きめのペットボトルなり、ポリタンク持参で是非どうぞ。

EXIT