Trekking
赤雪山   【栃木百名山】2010/01/10
栃木県足利市 [621m]所要時間:3時間45分
名草巨石群からのハイキングコースGPSログ記録はこちら(別窓)

赤雪山山頂

■Introduction

冬の低山歩きも三ヶ月目。太平山は少し飽きてきましたので、次は場所を変えてみましょう。
栃木周辺には他にもたくさん低山がありますが、どうせなら
今まであまり訪れたことのない地域に行ってみたいと思います。
雪がなく、それなりに歩き甲斐のある山があり、見晴らしも良さそうな地域を考えてみると
西の足利か、東の茂木辺りが良さそうですね。
そこで今回は、まず足利の山を訪ねてみることにしたのでした。



■仙人ヶ岳まで周回する予定が…

足利には栃木百名山に数えられる山が六山もあります。ただ、最高峰の仙人ヶ岳でさえ663mと
決して高い山域ではないため、どうせ行くなら(家から足利まではそれなりの距離なので)
一気に数山まとめて歩いてきたいものです。
そこで今日は、松田川ダムから赤雪山→仙人ヶ岳の周回コースを歩いてこようと考えていました。

…ところが、やってしまいました。そう、寝坊です…
慌てて出発したものの、今日の行程を考えると、仙人ヶ岳からの下山が16:00過ぎになってしまいそうです。
この季節に、初めての山道をヘッデンで歩くのは正直怖かったので
急遽予定変更、今日は赤雪山登山だけにすることにしました。
その場合、松田川ダムから赤雪山では行程が短すぎるため
栃木百名山ガイドブックに載っている名草厳島神社からのコースを歩いてみることにしましょう。

名草巨石群入口駐車場

名草巨石群入口駐車場着10:00。
15台ほど停められる駐車場も、この時間には僕の他にもう1台が停まっていただけでした。

余談ですが、僕は車の運転…というか車幅感覚に自信がないため、こうして駐車場に向かって
走っている時に、道路が狭隘路になると憂鬱な気分になったりします。
その意味では、ここへのアクセス道路になる県道218号線は、それほど狭い道ではなくて
助かりました。対向車もほとんど来ませんでしたしね。

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駐車場発10:30。まずは名草厳島神社に向かいます。

さて、今回は今年初の登山になるわけですが、今年は少し本気で山をやろうと思い立ちましたので
それなりに装備も充実させてきました。

まずはストック。これは今まで使っていたLEKIのULマイクロアンチSLS(シングル)から
Black Diamondのトレイルショック(ダブル)に変更。
デジイチ(D90)を持ち歩いている都合上、ダブルだと不便だったため
今まではシングルだったのですが、ダブルの推進力の誘惑に負けて購入してしまいました。
果たしてどれだけ変わるか楽しみです。

ウェアの方も大分冬用の装備が整ってきまして、まずミドルレイヤーは
ジオライン3Dサーマル〜からシャミース インナージャケットに変えました。
それから小物類として、帽子(シャミース キャップ ウィズイヤーウォーマー)、
ネックゲーター(シャミース ネックゲーター)、手首の保温用にサーマテックのパームウォーマーと、先月の太平山の時と比べると防寒性は格段に上がっています。
これでもう冬の低山の寒さなど恐るるに足らず!となるのでしょうか? はてさて。

名草厳島神社

駐車場から緩やかな坂道と階段を15分ほど歩いて行くと、名草厳島神社に到着。
ここからは、天然記念物である巨石群の間をくぐるように進んでいきます。
僕は石/岩に対する造詣は深くないのでスルーしてしまいましたが、岩マニア(?)の方には
たまらない場所なのかも。
ちなみに、この辺りには赤雪山への道標はありませんけど、沢沿いに真っ直ぐ進んでいけばOKです。
細かい分岐はあまり気にしなくていいでしょう。最終的には合流しますので。

ところで… 歩き出してすぐに気づいたことではあるのですが…
今日の気温(6℃)でこの格好は暑すぎる!(特にネックゲーターの暑さは異常)
というわけで、先ほどご紹介した小物類は早くもお役ご免となりました(^^;
冬の低山歩き程度にはここまでの防寒装備は必要なかったですね。
雪山に行った時にでも改めて使ってみましょう。



■赤雪山登山口への林道歩き

巨石群を越えると林道に出合い、ここから赤雪山登山口までは林道歩きになります。

木漏れ日の中の林道歩き

ちなみに、この林道は先ほどの駐車場から繋がっていますから、駐車場に停めずにそのまま
赤雪山登山口まで車で行こうとすれば行けます(どこに車を停めるかという問題がありますが)。

でもそれだと、本当に単なるピークハントになるからなぁ…
林道歩きを嫌がる登山者は多いですけど、ここの林道はほとんど車も来ませんし
冬の引き締まった空気と、意外なほどに暖かな木漏れ日の中で、静かな林道を歩いていると
とてもリラックスできると言うか、心が洗われる気がします。

僕はどちらかと言えばピークハンターですけど、そうは言ってもやっぱり登山の過程は大事にしたいものです。
道中で楽しかったり辛かったり嬉しかったりした経験があるからこそ、登頂できた時の喜びや満足感が大きくなるのではないでしょうか。
栃木百名山ガイドブックのコース紹介も、単に赤雪山の山頂に立つことだけを目標にするのではなく
ハイキングとして過程も楽しんで欲しいと思ったからこそ、このようなルートにしたのではないかと
考えてみたりしました。

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林道は二回ほど分岐がありますが、道標が整備されているので安心です。
20分ほど歩くと、坂道の前方が開けてきました。

この坂をのぼれば…

これは…! 好展望の予感がしますね。わくわくしながら進んでみると…

足利の山々
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やっぱりキタ――(゚∀゚)――!!!

澄み渡る冬晴れの空の下に脈々と連なる足利の山々。
この山域を訪れたのは初めてなので興味深い光景です。
それにしても、今まで見通しの利かない林道を歩いてきた反動で、こうして遮るもののない展望に出会うと余計に嬉しく感じますね。
この道は松田川ダムからも車で上がってこられるんですけど、車で来ていたらきっとこの喜びは味わえなかったことでしょう。

さて、ここまで来れば赤雪山登山口はもう目と鼻の先。

赤雪山登山口

展望を楽しみながら歩くこと数分で、遂に登山口に辿り着きました(11:22)



■意外にハードな尾根歩き…そして山頂へ

さて、それではいよいよ登山の始まりです。
…と言っても、ここから赤雪山まではもう1.4kmしかありません。
一方ここから名草巨石群までは1.8kmで、更にその先から来たことを考えれば、もう行程はかなり消化してしまっているんですけどね。

まずは階段をひと登りして尾根へ出ましょう。

枯れ葉舞う稜線の踏み跡

ここからはいくつかの小ピークを経由して赤雪山山頂を目指すことになります。
で、この尾根歩き、登山道入口と山頂の高低差(130m程度)を考えると楽勝に思えるのですが
これがアップダウンに富んでいて、なかなか歯ごたえのある道のりなのでした。

それと、低山とは言えどもここは尾根。
風が結構容赦ないレベルで強いです。冬場に歩く時は、防寒には十分気を遣いましょう。

木々の間に東屋が

やがて木々の間から山頂の東屋が見えてきます。
もう、すぐ近くに見えるんですけど、こうやってうかつにゴールが見えている時は
歩いても歩いてもなかなか近づかないような気がするんですよね(^^;

なお、道中の大きな分岐は、送電塔の下、570mピーク、それに山頂直下の鞍部、の計三回あります。
百名山ガイドブックには「迷いがち〜」と書かれていますが、現在は各分岐に立派な道標が整備されていて、まず迷うことはないでしょう。
ありがたいことです。

松田川ダムへの分岐

ここが最後の分岐である、山頂直下の鞍部。
松田川ダムから登ってきた場合はここで合流することになります。赤雪山の最短登山ルートですね。
この後、山頂で会った方々に訊いたところでは、やはり皆さんこちらから登ってくるようです。

ここまで来れば山頂はすぐ目の前。
しかしこの最後の登りは笑えるくらいの急登です。最後の一踏ん張りで、ゼエゼエ言いながら登り切ると…

静かに流れる山頂でのひととき

到着〜! ようやく赤雪山山頂に辿り着きました(12:10)
事前に考えていたよりもだいぶアップダウンが激しくて、なかなか面白い山歩きでした(^-^)

山頂からは、足利方面(南面)及び、足尾方面にそこそこの展望があります。
東屋やベンチもあり、休憩するには最適ですね。
今日の行程はここまでですから、お昼を食べながらのんびりすることにしましょう。

やがて、僕より先に山頂にいて、仙人ヶ岳方面に歩いて行った男性二人パーティが、
強風のため仙人ヶ岳への縦走を中断して戻ってきましたので、
三人でしばらく歓談に興じることになりました。



■なぜ山に登るのか?

会話は「今日の行程」から始まって、最近登った山、足利の名山、最後にはなぜか長男論(笑)

ちなみにこの会話の中で一番印象に残ったのが「なぜ山に登るのか?」ということ。
元々僕が去年夏から山登りを始めたのはダイエットが目的でしたが(これは今もですが…)
山の良さは、山登りをしない人に対しては、いくら言葉で伝えようとしても
絶対伝わらないものだと思います。
傍目から見ればただ辛いだけですし、実際に自分が山を歩いている時も
登っている時は「なんでこんなことしてるんだろう…」なんて思うこともありますしね(^^;

でも…
静かな森の中を、季節を感じながらゆっくり歩いてみたり、
連続する岩場をヒヤヒヤしながらくぐり抜けたり、
ヘトヘトになって辿り着いた山頂で、予想以上の絶景に出会って胸が一杯になったり…
山に行くと必ず、変化のない日常では絶対に得ることのできない"何か"を発見することができます。

人間は、歳をとると時間の流れを早く感じるようになります。
そしてそれは、新たな感動に出会うことが少なくなるからだそうです。
でも、去年の夏に山に登り始めてからのこの半年は、非常に長く感じられました。
自分なりに日々が充実していたんでしょうね。それだけでも、山登りを始めて良かったと思うのでした。

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さて、気づいたら一時間近く話していまして、さすがに寒くなってきました。
そろそろ下山に取りかかることにしましょうか。ということで、12:57頃、下山開始。

下り行程は、送電塔への登り返しを除けばほぼ一方的な下りですし、行程の半分以上は
林道や散策路歩きですから、体力的にも精神的にも楽勝です。
今回から導入したダブルストックのおかげもあり、ペースは快調。
14:10、無事に駐車場に帰り着きました。

駐車場に帰還

行きは静かだった巨石群周辺にも観光客の方の姿がちらほらと。駐車場も盛況でした。
さすがに天然記念物だけのことはありますね。あんまり到着が遅くなると停められないかも。



休憩時間も含めて4時間弱だった今回の赤雪山登山。
お手軽でありながら、巨石群など道中に見所あり、それなりに変化に富んだ尾根歩きも楽しめて、
春や秋のハイキングにはぴったりのコースだと思いました。
自分としては足利の山の雰囲気が知れたのが大きいですね。次は、仙人ヶ岳まで歩いてみたいと思います。

EXIT