Trekking
那須岳(三本槍岳)【栃木百名山】2009/10/04
栃木県那須塩原市/福島県西白河郡西郷村 [1917m]所要時間:3時間48分
那須岳の最高峰へ お手軽紅葉ハイキングGPSログ記録はこちら>>

山頂直下より

■Introduction

栃木と言えば那須。そして那須を象徴するものと言えばやはり那須岳です。
今年の夏・秋山シーズンの締めくくりはこの那須岳にしましょう。
茶臼岳には何度も登っているんですけど、一度、最高峰の三本槍岳まで行ってみたいんですよね。

ただ、今は紅葉シーズン。茶臼岳から縦走するなら大混雑を覚悟しないといけません。
そして僕は高所恐怖症… 朝日岳の鎖場で手間取って渋滞に輪をかける予感がします。
そんな理由で、登山前日までどうしたものか悩んでいました。
しかし明日の日曜日は久しぶりに秋晴れの予報。これをみすみす捨てるわけにもいきません。

そこで、どうにか別のルートがないかネットに救いを求めていたところ
マウントジーンズ スキーリゾート那須のゴンドラを使えば、中ノ大倉尾根を通って
大した苦労もなく三本槍岳に行けるみたいじゃないですか。
もうこれでいいや! 歯ごたえはなさそうですが、毎週毎週、疲労困憊になるのもアレなので
たまにはのんびり紅葉ハイキングとしゃれこむことにしましょう(^-^)



■駐車場争奪戦、のはずが…?

紅葉シーズンの栃木の朝は早いです。
日光いろは坂は朝5時には車列ができ始めますし、当初の計画で登ろうとしていた茶臼岳も
例えば峠の茶屋駐車場などは、6時には既に満車になるほどです。

今回のマウントジーンズからのルートは、茶臼岳ルートと比べれば知名度は低いうえに
駐車場のキャパシティも第一駐車場だけでも800台とかなり大きいですが、
そうは言っても、お手軽に紅葉が楽しめるとあればやはり混雑が予想されます。
駐車場確保で右往左往するのは嫌なので、早めに着いておくことにしましょう。
ゴンドラの運行開始時間は8時ですが、6時には駐車場にいたいところです。

ということで、4時に家を出ました。
東北道は雨でしたので飛ばせませんでしたが、何とか予定通り6時に駐車場に辿り着きました。
さて、駐車場の状況はどうなっているでしょうか? 停められるかな…!?

人気のない駐車場

…。
前のバスは会社所有のバスです。恐らくバンや軽トラも関係者の方のものでしょう。つまり、

俺しかいない予感!!!

えー!? いくらなんでもこりゃ空きすぎじゃないの? 茶臼とのこの差は一体何なんだ…
ちなみにこの後、7時までに来たのは1台だけ。7時半の時点でも30台程度といったところでした…
返せ! 俺の睡眠時間を返せ!(笑)



■山頂駅から、まずは自然散策路をのんびりハイク

さて、そんな間抜けな話はともかく、8時になりましたのでゴンドラで山頂駅へ向かいます。
ゴンドラでは、もう三本槍は三回目だというご夫婦と一緒になりました。
ちなみに、ご夫婦も茶臼の駐車場の混乱ぶりはご存知でしたので、こちらの駐車場がどの程度混むのか
不安になり、事前に問い合わせたそうです。
その結果、係員からの返答は「8時でもガラガラですから大丈夫ですよ」とのこと…

僕には問い合わせをしようという知恵はありませんでした_| ̄|○

標高1417mの山頂駅着が8:14。いよいよ登山開始です。

※なお今回、GPSロガーが、歩き始めてから45分間ほど正確な位置を測位できなかったようで、
かなりおかしなログになっていましたので、前半部分のログは削除しました。
GPSログ記録が不自然なことになっていますが、実際には時間は45分、距離は約2kmほど加算されます。

案内板

山頂駅からはしばらく自然散策路を歩く事になります。
三本槍への登山道入り口は、この図だと右上部分ですから、まずはそこまで向かうのですが
ルートが2つあってどちらを選ぶべきか迷いますね。
Bルートの方が近そうな反面、Aルートには登山道(北湯〜清水平線)なんて書いてあるし…

で、結論から言うと、単純に早く行きたいのであればBルートを選びましょう。
Bルートはウッドチップが敷き詰められている道で足に優しいですし、高低差もゆるやかです。
Aルートの写真は後で載せますが、こちらは健脚コースですね。登山道に辿り着く前に疲れるかも…?



■紅葉の尾根を通って三本槍へ

Bルートを13分ほど歩くと、清水平への分岐(登山道入り口)に辿り着きます。

登山道入り口

この先からいよいよ登山道です。ここまでは散策路だったこともあって、登山装備のない人は
ここからロープウェイ山頂駅に戻るようにとの注意看板があちこちに立っていました。

と言いつつ、「ちょっと健脚コース」として、"朝日岳・紅葉展望コース"の案内もあります。
この先の中ノ大倉尾根は展望が非常に良いので、確かに紅葉目当ての観光なら
ここで帰るのは損でしょう。
では、実際にそこまで登山装備なしで行けるか、というと、今の時期ならギリギリかな、という
ところでしょうか。登山道はゆるやかで難所は全くないため、雨上がりでなければ
ハイキングシューズでも充分だと思います。ただ、ガスが出やすく、また高所のため寒いので
もし急に雨に見舞われても大丈夫なように、防寒具と雨具は完備していないと危険かも知れません。


登山道は、初めのうちは樹林帯の中を進んでいき、しばらく経つと笹原に出て
この辺りからはっきり尾根道だと感じられるようになります。

中ノ大倉尾根

那須岳は総じて風が強いことで知られていますが、ここは笹原が風を遮ってくれるので寒くもなく
快適な尾根道歩きができます。紅葉もちょうどピークのようです。
あ〜、これで晴れてくれれば言うことないんだけどなぁ… 恐らく天気自体は晴れなんでしょうけど
茶臼の方からガスが絶え間なく流れてきて視程はよくありません。

今日は休日とあって、僕の他にもずいぶん沢山のパーティの方々がいましたが
皆さん、やはり嬉しさ半分、がっかり半分といった表情をしています。
単独のカメラマンさん達も、どうしたものかと悩ましい様子。
「いや〜、晴れませんね、惜しいですね〜」といった会話を何度したか分かりません。
せめて三本槍岳に辿り着いた時には、うまく晴れていて欲しいものです。

朝日岳

朝日岳山頂には既に人影が見えます。さすがに茶臼岳ルート組は行動が早いようで。


この中ノ大倉尾根は恐ろしく整備されていて、もはやハイキングコースと言った趣です。
僕のような「整備された登山道しか歩けないハイカー」の目線で見ても、
ここは登山道とは言いかねるくらい手入れが行き届いています。
これなら、まだ太平山や古賀志山のコースの方がよほど登山道と言えるかも。
(そうは言っても、途中で何度かガレ場を通過しますので、靴はちゃんとしたものが必要です)

急登と言えるほどの登りもなく、手を使わなければならないような岩場もなく…
苦労するとしたら、吹きっさらしで強風を浴びた時の寒さをいかに防ぐか、ということぐらいでしょうか。
とにかく、1900m峰に登るにしては異例なほど楽なコースだと思います。

山頂駅から1時間35分で、清水平の分岐に到着(9:50)

清水平分岐

茶臼岳→朝日岳→三本槍岳と縦走する時は、ここに左方向から降りてくることになります。
ここから朝日岳までは割と楽に行けそうですが、今回はこの天気なのでやめておきましょう。

道標に従って右方向にガンガン進みます。この辺りは平地か下りなので、自然と歩みが速くなりますね。
ただ、道は狭いので、すれ違う時は譲り合いが必要です。混んでいるとちょっと時間がかかるかも。
「三本槍岳 0.5km」の道標を過ぎて(一番上の画像)、最後の登りを越えると
そこが三本槍岳山頂です(10:16)

三本槍岳山頂

栃木百名山 21座

あれれ… ずいぶん簡単に辿り着いちゃいましたね。
山頂駅からここまでの高低差はちょうど500mなんですけど、ここまでの道のりを思い返してみても
本当に500mも登ったの?と思うほど、どこで高度を稼いだのか全然分かりません。

後でGPSを見てみると、ここまでの水平距離は5km弱ですから、やはり傾斜はかなりゆるやかでしたね。
富士山や社山の傾斜と比較すると半分です。
距離も山頂駅から2時間と手軽ですし、これで晴れていれば360°の展望ですから
ハイキングとして考えると、容易に絶景が望めるお得なコースになるのではないでしょうか。
今日は残念ながら何も見えませんけど…(´・ω・`)




■後ろ髪をひかれつつ山頂を後に

山頂でお昼休憩を取って少し待ってみましたが、ガスが晴れる気配はありません。
それに、停滞しているとさすがに少し寒いです。こんな天気でも山頂はそれなりに賑わっていて
あまり長居しているのも気が引けたため、今回は展望は諦めて下山することにしました。
次は茶臼から縦走してこようと思います。絶景を眺めるのはその時のお楽しみということで。

下りはサクサクかと思いきや、前述の通りすれ違いで結構時間がかかったり。
それにしても登ってくる人がずいぶんいました。
「頂上は360°の展望ですか?」って訊かれた時は答えに窮したものです。
360°の展望なのは間違いないけど…今日は何も見えないですよ、とは言えなかった…

紅葉は今がピーク

下山中に写した紅葉。来年以降のためにメモしておくと、今年は平年より一週間早いそうです。


山頂から1時間20分ほどで登山道入り口(自然散策路の出口)まで戻ってきました(11:50)
ここで再びBルートを通って山頂駅に戻ったのではあまりに芸がないので、ここは一つ
Aルートがどんなものか確かめてみましょう。

Aルートはまさに登山道の趣

…と思って気楽に通ってみたら、これが結構きつかったのでした。
Bルートと違っていかにも山の道ですし、アップダウンも激しいです。
特に帰路で使った時は、最後の山頂駅付近でかなり急な登りになるので疲れるかも?
というか、今回の登山ではこの登りだけ疲れました(^^;
そんな訳で、楽に三本槍岳を目指したい方には往復ともBルートを通ることをお勧めします。

山頂駅もすっかりガスの中

12:07、山頂駅に帰還。下りは1時間40分といったところでした。
この頃にはもう山頂駅もガスの中。さすがにこれでは周辺を散策する気にもなれず
早々にゴンドラに乗り込んで麓に降り、今回の登山は終了となりました。



今回はガスに包まれて少々残念な行程になってしまいましたが、
本文中にも書いた通り、技術的にも体力的にも難しいところはありませんので
晴れていれば楽しいハイキングになるのではないかと思います。特に登山初心者の方にお勧め。
(くどいようですが、高山なので特に服装面の装備は怠らないようにお願いします)

ちなみに、那須高原SAまで降りてきたら、下界は気持ちのいい秋晴れでした。
今年は那須岳に二度行きましたが、どちらも下は晴れていたのに
山はガスに包まれていたという悲しい結果になっています。
那須岳の晴れ間を狙うってほんとに難しいですね。

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