Trekking【日本百名山】【栃木百名山】
男体山2009/06/27
栃木県日光市 [2486m]所要時間:7時間27分
全てはここから始まった…GPSログ記録はこちら(別窓)

山頂の影向石

■Introduction

9月に富士山登山を控え、春先に太平山、古賀志山と低山ハイキングを重ね
ちょっと調子に乗ってきた僕は、次のターゲットをこの男体山に定めました。
富士山は約1400mの登り、それに対して男体山は約1200mの登りですから
前哨戦にはちょうどいいと思ったわけです。
しかし、この時はちょうど食事制限ダイエットの真っ最中。
ただでさえ乏しい体力が更に衰えていることに気づいていなかった自分にとって
これは前哨戦どころか超ハードな登山になったのでした…



■コースタイムは7時間

男体山の登山道は表側(二荒山神社 中宮祠)と、裏側(志津乗越)からの2ルートがあります。
今日は初登山ですし、裏側からは高低差が少ないためトレーニングとしては不十分ですので
正攻法である表側から登山することにしました。

梅雨の晴れ間を狙って登山決行。まずは中禅寺湖まで車を走らせます。
僕はよく奥日光に遊びに行くので、男体山を間近で目にすることは何度もあるのですが
今日の男体山は、登ることを意識しているためか、やけに大きく見えました。
本当にこれに登るのか…と思うと、ちょっと気が引き締まってくる感じがします。

表側の登山口である中宮祠に到着したのは7時ちょっと前。

日光二荒山神社 中宮祠

中宮祠には登山者用の駐車場が用意されていまして、
そちらに停める場合はこの鳥居を車でくぐっていくことになります。
でも、僕は混む駐車場は嫌いなので、ここから少し戻ったところにある、県営の湖畔第一駐車場に車を置きました。
有料ですけど¥300前後ですし、トイレもあって便利ですしね。
ここの駐車場の構造はよく分からなくて屋上に停めてしまいましたが、
夏場は立体駐車場の中に停めておけば、車内が無駄に熱くならなくて済みそうです。

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では、準備も整いましたので、GPSロガーの電源を入れて、登山に出発しましょう(7:11)
この季節だと地元(栃木県南)はもう暑いのですが、
ここは標高1,000mを越える湖畔ですから、朝の爽やかな風が気持ちいいです。

中宮祠の境内に入って、まずは社務所で登拝料\500を払い、マップとお守りをもらっていきます。
今日が初めての挑戦ですと話すと、ちょっとした説明をしてもらいました。
標準ペースで登りが4時間、下りが3時間、計7時間ですよ、とのこと。
7時間! さすがに近場の低山とは段違いで、燃えてきますね!
ここは一つ、6時間くらいで降りてきてやろう、と、この時点では全然余裕だったりしたのでした。
この後に待ち構えている苦労も知らずに…(^-^;



■なんだか…最初からずいぶんきついような…

さて、それでは登拝門をくぐって、いよいよ登り行程の始まりです。
ここから三合目までは、静かな樹林帯の中を真っすぐ登っていくことになります。
足下は土ですから特に歩きにくいこともなく、森林浴にでも来たような清々しい空気に浸りながら
のんびりと… …のんびりと… あれ…何だか妙にきついぞ…? と思ってふと横を見ると、

この傾斜でも直登だと結構キツイ

!?
え、しょっぱなからこの傾斜?Σ(゚Д゚;≡;゚д゚) ちょっと甘く見てたかも…
少し先に登り始めた、年配の単独女性の方と「いきなり疲れますね〜」なんて言いながら、
ダラダラ登っていきました。ちなみにこの女性の方とは、八合目くらいまでつかず離れず
一緒に歩いて行くことになります。(つまり、八合目あたりで置いていかれました…)

三合目着7:54。歯ごたえのある斜面直登は一旦終わって、ここからしばらくは傾斜の緩やかな
林道歩きになります。正直、ホッとしてしまいました。心理的に余裕ができたので
麓側の写真を撮りに行ってみたり。

眼下には中禅寺湖

いい天気ですね! 梅雨時にこれだけ晴れてくれたのは嬉しいことです。
道路から空を見上げてみても…

新緑と青空

新緑と青空が目に鮮やかです。山に来て良かったと思う瞬間ですね(^-^)



■ひたすら真っ直ぐ登ります

さて、そんなルンルン林道歩きですが、実は何気に距離があって時間だけはかかるのでした。
四合目についたのは8:18。ここからまた登山道に入ります。

四合目の鳥居

三合目までは土の上を歩いていましたが、四合目から上はだんだん岩場になってきます。
と言うか、四合目の鳥居をくぐったところから既にこの状態。

早くも岩が…

それと、三合目までの登りの時も思ったのですが、何だか登山道が斜面に対してずいぶん真っ直ぐに
設けられているような気がします。
普通、登山道って言うのはもっとジグザクに切られるものだと思うんですけど…
直登(=斜面に対して真っ直ぐ登ること)だとは知っていましたが、本当にここまで直登だとは…
この辺りから「これは一筋縄ではいきそうにないぞ」と思い始めました。

でも、この時点ではまだ余裕がありました。
振り返れば木々の間から中禅寺湖が見えて、そうして気分をリフレッシュしながら歩いていきます。

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五合目通過8:40。
ところで、ここは日本百名山と言うこともあって、この時間でも登山者がそれなりにいるんですけど
会う人会う人、みんな口を揃えて「いや〜っ、きついね!」とか「これは予想外だなぁ」なんて
言っています。
僕は子供の頃からそれなりに山には登っていますが、こんなに大勢の人がキツイと言っているのを見たのは、他の山では富士山だけです。
やはり直登は誰にとっても厳しいんですね。

僕も六合目辺りからだんだんバテてきました。

目には優しく身体には厳しく

登山道は新緑が実に綺麗ですし、このように軽いルートファインディングが必要になってくるような岩場は近所の低山にはありませんから、
いかにも高い山に来た!という感じがして気分的には楽しいのですが、いかんせん体力がついてきません。
だって傾斜は…

延々と続く登り

ずっとこんなだし(;・∀・)

そうそう、この「ずっと」というのも直登の厳しいところで…

一般的に、登山道というのは、ある程度登ったら一旦平坦になったり少し下ったり、というのを繰り返して高度を稼いでいくものです。
そして、登山者は、この「平坦になったり」というように、登山道の傾斜が変わる(=区切りがつく)ところの前後で休憩を取ることが多いと思います。
例えば「あの平らなところまで登ったら休憩しよう」とか「あの坂の前で少し休もう」とかね。

富士山でも、登山道でみんなが休んでいるのは、コースが折れ曲がる角のところでしょう。
それはもちろん角なら邪魔になりにくいという面もあるでしょうけど、角は一つの区切りなので
心理的にそこで休憩しようという意志が働きやすいんだと思います。

しかし、直登の場合はそのような「区切りがつく場面」というのが少ないのです。
同じような角度の登りが延々と続いていくので…
坂の途中というのは、気分的にはあまり休みたくないところですから、ちょっと疲れたなと思っても
なかなか休めずに登っていくんですけど、登っても登っても坂は坂のままなので、
結局、今の登りのペースを維持できなくなって、バテて休憩することになります。

そして、このような登り方はとても疲れるものです。
この当時はまさに行き当たりばったりの休憩の仕方をしていたので、この疲れる登り方のパターンに
すっかりハマってしまっていたのでした。



■あれ、高山病かな…?

う〜ん、なんだか変な感じだなあ…と思い始めたのは、八合目に差し掛かる頃だったでしょうか。
妙に頭が痛くなってきて、いくら休憩しても心拍数が下がらなくなり、食欲もなくなってきました。
先ほどまである程度近くにいたはずの単独女性も、いつの間にかいなくなっていて…
別に一緒に登っていたわけではないので、いなくなった事自体は別に何もおかしくないのですが
いついなくなったのか気づきもしなかったので、よほど頭が回っていなかったのだと思います。
GPS記録を見ても、この区間は平均速度が1.4km/hと、尋常ならざる遅さですし…

※この後の9月に登った富士山の一番キツイ区間(八合目〜頂上)ですら1.7kmは出ていましたから
どれだけ遅かったのかと…

とにかくもう息も絶え絶え。少し歩いたと思ったら即休憩という感じで、フラフラ登っていきます。
今や完全にグロッキー状態です。高山病かなあ…?
でも、やっと2200mを越えたくらいの標高だし、単に疲れすぎているだけなのかも。

森林限界を越えて

九合目を越えると、このように樹林帯を抜けて視界が開けてきます。
一気に展望が広がりますから、いつもなら「テンション上がって来たー!」というところなのですが

砂礫地獄

最後の登りはこの通り砂礫になってまして…
足が沈むので、ヘロヘロの足にはこれが極めて負担になります。
これは何かの罰ゲームですか、と思うほど(^^;


でも、そんな亀のような歩みでも、いつかは山頂に辿り着くものです。
11:12、どうにかこうにか登り切る事ができました。

と…到着…!

日本百名山「男体山」制覇です(死にかけですが…)



■下りはもはや落っこちてるのと同じ

男体山の山頂はそれなりの大きさの広場のようになっています。
本当の山頂は上の画像の右手(剣が立っているところ)なので、とりあえずそこまで行って写真を撮り、広場に戻って昼食にする事に。

でも、やっぱり食欲がありません。
頭が痛いのは休んでも治らず、めまいもしてきたため、これは長居は無用と決めつけて
早々に下山することにしました。

※なお、山頂は360°の大展望ですが、かなり霞んでしまったため写真はありません。
この時期に展望を期待するとしたら、もっと早く登らないとダメですね。
ご参考までに、2010/07/10に登った時の、山頂直下からの写真を貼っておきます。

中禅寺湖方面の展望
2010/07/10 表ルート登山道 山頂直下から中禅寺湖方面を望む
クリックで拡大(2481*600 441KB 画面下スクロールバーで右方向へ)

さて、その下り行程は、もはや半分自由落下状態(^^;
足に力が入らないのに傾斜はかなりあるため、一度勢いがつくと足では止められません。
木にしがみついたりして姿勢を制御するのが精一杯でした。
その状態で1200m降りるのは半端じゃなくきつかったです。
降りても降りても風景が変わらないから、全然進んでいない気がするし…

…ということで、適当レポになってしまってすみません。
写真を一枚も撮ってない辺りに自分の余裕のなさが現れています。

登拝門

14:36に、命からがら中宮祠まで帰ってきたのでした。



結局、反省と苦い思いだけが残った今回の男体山登山。
道中で出会った他の登山者の方には全員に追い抜かれましたし(自分が追い抜いた人はいません)
頭痛は翌日も治らなかったため会社も休む羽目になったりと、散々でした。
やっぱり、普段ろくに運動もしてない人間がいきなり挑むのは無理がある山でしたね。

でも、今のままでは今年の夏の富士山は危ないという事が実感できたのは収穫でした。
根本的に基礎体力から作り直さないとダメなようです。
それに、自分より二回り以上年上の登山者にこうも簡単に置いていかれるというのは
あまりにも情けないと思わずにはいられません。

駐車場から男体山を見上げて

夏の富士登山までに、せめて人並みの体力を身につけておこう…
キツイ洗礼を浴びせてくれた男体山を見上げながら、そう心に誓ったのでした。

EXIT